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2014.12.01

■感想 ミッシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』Mood Indigo


映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』(公式HP)

 ボリス・ヴィアン原作の、ミッシェル・ゴンドリー監督の新作、やっと観ました。WOWOWでゴンドリー特集を放映していて録画観。4作品がエントリーされていたけれど、近作なのに『グリーン・ホーネット』が入っていないのは何故。というのは禁句かなw。

 かなり原作に忠実に映像化しているように思う。しかしそれが紛れもなくゴンドリー作品になっているところ、まさにぴったりの原作選定なのだろう。

 前半のレトロでポップな映像が素晴らしい。
 最初のパーティのダンス。足が伸びる(たぶんワイヤで体を釣った)奇妙なダンス。螺旋階段を水平に駆け上る主人公。このポップと軽率の境界をギリギリ踏みとどまるゴンドリーの映像タッチがまず素晴らしい。

 そしてパリの町を飛ぶ雲型ゴンドラ飛行体の透明な半球ドームと虹の極彩色。サイケな色彩に彩られた60年代のSF的テイストを持った、シュヴァンクマイエル手法によるボリス・ヴィアン映画。

 今までの作品で抑えられていたシュヴァンクマイエルレスペクトが、このポップでシュールで陰鬱な複雑な原作を得て、解放されたかのような印象がある。
 それくらい前半は、シュヴァンクマイエル作品の影響がある。

 実写とコマ撮りの境界のない融合。
 冒頭の主人公の邸宅(ペントハウス?)の愉快な動く料理、スケート場のDJをするカラス(? 黒いニワトリ?)、透明な自動車の中、裸の女達とそれを撫でる黒いブラシ。
 特にシュヴァンクマイエル『悦楽共犯者』へのオマージュに溢れた映像になっていると思ったのは僕だけであろうか。

 反転して陰鬱に描かれる、肺の中に咲く睡蓮による悲劇。
 主人公が妻の基へ走るシーン、後ろにつきまとう黒い影人間の映像が白眉。
 しかしこの後半ではシュヴァンクマイエル的な映像レスペクトは抑えられている(あー、でも原作にもある土に埋めた金属を裸の男たちが温めて銃を培養するシーンはヤン先生仕立てかw)。これを後半の息切れと観るべきか、この陰鬱な物語構成にそぐう映像にチェコ流シュルレアリスムは似合わないと考えたゴンドリーのプラン通りなのか、、、ここは監督ご本人に訊いてみないと真相はわからないんでしょうね。

◆関連リンク ミッシェル・ゴンドリー監督 ビョークPV
映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』コメント.

文学側も映画側も音楽側も納得の映画化。ビョークのデビューPVが永続する懐かしさと斬新さ。 昨今のフランス映画界の充実を代表する永遠に新しい古典。 菊地成孔(音楽家/文筆家/音楽講師)

 というわけで、ここでゴンドリー監督のビョークPVを復習ですw。

▶ Human Behaviour - YouTube(1993)
▶ Björk - Army Of Me - YouTube
▶ björk - isobel - YouTube
▶ Björk - Hyperballad (Official HD Music Video) - YouTube
▶ Björk - Jóga - YouTube
▶ bjork - bachelorette - YouTube
Björk - Declare Independence (Official Music Video) - YouTube
利重剛監督『クロエ』Wikipedia
 日本でも映画化されていたのですね。観てみたい。

◆当Blog関連記事
感想 ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』: L'ECUME DES JOURS
予告篇 ミシェル・ゴンドリー監督『日々の泡 : L'ECUME DES JOURS』

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