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2015年4月

2015.04.30

■情報 Oculus Rift用 米 DORA 遠隔操作ロボティクス : Dexterous Observational Roving Automaton


Full 6 DOF Testing from DORA on Vimeo
DORA Oculus Rift用テレイグジスタンスロボットを開発するDORAの公式HP

"Meet DORA, your personal avator.

DORA (Dexterous Observational Roving Automaton) is an immersive teleoperated robotic platform designed for navigation and exploration of remote locations."

 以下は、公式HPからの和訳。

"DORA (巧みに観測し彷徨うオートマトン)は、ナビゲーションと遠隔地の探査のために設計された没入型遠隔操作ロボットプラットフォームです。

間隙の橋渡し
DORAプラットフォームは、画期的な物理仮想インターフェイス( PVI )を確立するために、仮想現実と遠隔操作ロボットの実現技術を開発します。

無線操縦
DORAは、ユーザーがドライブやロボットを操作するために、世界中のどこからでもログインできるように、完全にワイヤレスにしている。

完全没入
ロボットは6自由度全てで微妙な人間の頭部の動きを追跡し、ヘッドマウントディスプレイを介してリアルタイムに視覚と音声フィードバックを提供する、新規な特許出願中の技術を使用しています。

直感的インターフェース
DORAは、自然な応答性、およびクリーンなグラフィカル·ユーザ·インタフェースを介してユーザ·エクスペリエンスに思慮深い注意を内蔵しています。"

 ペンシルバニア州の学生4人によって作られたDORAのテレプレゼンスロボット。

 Oculus Riftのジャイロセンサの動きで頭の移動を捉えて、それを遠隔地のロボットヘッドで再現し、その遠隔地の光景を映像と音で、Oculus Riftの装着者に伝える。
 遠隔地のロボットと視覚聴覚のテレイグジステンスを実現しているプラットフォームがDORAの開発テーマとのことである。

 上の引用動画を見ると、人の頭の動きをHMD Oculus Riftでとらえ、見事にロボットのステレオカメラヘッドを同期させてスムーズに動かしているのがわかる。

 これはまさに1980年に東大名誉教授 舘暲博士により提唱されたテレイグジスタンスの具現化システムである。そして映像は、テレイグジスタンスロボット「TELESAR」の動画にそっくり。


Telesar I - YouTube

Telesar

 この動画がTELESARである。
 TELESARは、右写真に観るようにマスターとスレーブに立体視のHMDとステレオカメラが置かれ、マスターの頭の動きをとらえて、それに同期してスレーブのマニュピレータに着けられたカメラが動くものである。

 DORAのマスター側(Oculus Rift)はジャイロセンサで頭の動きをとらえているのに対して、TELESARは頭の動きを6自由度のゴニオメーターというメカ機構を用いてセンシングしているが、まさに原理は同一である。

 DORAの着眼は、Oculus Riftというマスター機能を実現できる既存装置を使って、できるだけ簡易的にテレイグジスタンスを実現しようとしているところである。
 で、彼らがこの先に考えていることは、以下のようなものである。

20150429_175709

Graphical User Interface (GUI) Prototype on Vimeo
 こちらにDORAが開発中の、ロボットへのアクセスのインターフェース動画がある。既に世界の各所にこのロボットを置いて、Oculus Riftでアクセスすることを計画しているようだ。(赤い点がロボットの置かれた場所を示す)

 まさにここでの狙いも舘暲博士らが提唱しているテレイグジステンスそのものですね(以下のWIRED記事参照)。舘暲博士が研究していた、通産省のプロジェクトR3:Real time Remote Robotics アールキューブ:リアルタイムリモートロボティクスで、本田の二足歩行ロボットP2を用いたものの方が数段遠隔地への「どこでもドア」感は強いと思われますが、このDORAの企画は、インターネットとOculus Riftを使うことで、今すぐにでも実現できてしまう可能性を感じます。

 日本初で新たな産業の発信をイメージして開発されてきたテレイグジスタンスの具現化が日本でなく、こうしたアメリカの学生たちによるベンチャーでいち早くとっても簡易的に実現してしまうとしたら、なんだか寂しいものがあります。

 簡易的と言っても、Oculus Riftの臨場感は録画された映像データで体感しても素晴らしいので、自分の頭の動きに合わせて映像が生で送られて来れば、相当なレベルの臨場感提示となり、ネットを使った新たな簡易「観光」としては、今すぐでも相当なレベルを達成できるのかもしれません。
 
 で、この技術、世界の地図データをデジタル化して自身のプラットフォームによる世界征服(^^)を狙っているGoogleが放っておくわけはありません。このベンチャーがもし軌道に乗ったら、きっとGoogleの魔の手wが伸びていくことでしょう。

 今後の展開に注目したいと思います。

◆関連リンク
Oculus Rift and Robotic Heads: A Match Made In Geek Heaven | Popular Science
 DORAのプロジェクトを紹介したポピュラーサイエンスの記事。「ギークの天国」って笑ってしまいますが、当初はそうかもしれないけれど、この技術の世界中の生活への今後の波及効果はスマホを超えるかもしれない、と思うのは僕だけでしょうか(^^)。
 以下の舘博士のインタビュー記事に、テレイグジスタンスにより開かれる広大な世界の一端が語られています。

150119teleexistance01距離も時間も超える「自分の分身」テクノロジー、テレイグジスタンス « WIRED.jp.

"まるで「どこでもドア」のように、自室にいながら世界中の都市を訪れることを可能にする。そんな夢のような技術の開発が進んでいる。しかも、風景を眺めるだけでなく、現地の物を触ることができるというのだ。

東京大学名誉教授の舘暲博士らは、ロボットを通して触感まで伝達できるシステム「テレイグジスタンス」(Telexistance/遠隔臨場感)を開発し ている。「圧覚・低周波振動覚・高周波振動覚・皮膚伸び覚・冷覚・温覚・痛覚」という7種類の感覚を組み合わせることにより、すべての触感を再現する「触 原色原理」というコンセプトを提案。これを応用して、遠くにあるものを本当に触っているかのような感覚を得ることに成功、高性能な遠隔操作ロボットを実現 したのだ。"

NHKスペシャル|ネクストワールド 私たちの未来第4回人生はどこまで楽しくなるのか

"部屋に居ながら世界中に行ける「バーチャル旅行」に夢中の青年は、幼い頃に出会った少女のことが今も忘れられない。一方、最愛の母親を亡くした少女は、父親の手によってホログラムの技術で母親が蘇ったことに激しい葛藤を抱いていた。蘇った母親は、作りものなのか、本物なのか。"

 落合正幸監督によるテレイグジスタンスのドラマが放映されていたのですね。
テレイグジスタンスの研究 - Tachi Lab
 テレイグジスタンスの研究論文、全80報のPDFがこちらで見られます。

 テレイグジスタンスの研究(第13報)―人間型スレーブロボットの試作―
[PDF]
 こちらの文献に安川電機との共同であることが書かれています。
テレイグジスタンスの研究(第76報) -巨人化体験のための視覚伝送系の設計と実時間映像伝送系の実装
 Oculus Riftとドローンを用いた研究、これもマッドですねw。
特許・実用新案テキスト検索(詳細表示)|J-PlatPat

Pat

"【特許請求の範囲】
【請求項1】  ヘルメットを装着した操作者の頭部の動きに応じて、スレーブ装置に搭載した撮像装置により被監視体の映像を、操作者の顔面に設けたヘッドマウント・ディスプレイに、投影するテレイグジスタンス視覚装置において、前記ヘルメットの頂部X,Y,Z軸上に直交させて検出器を内装したジャイロスコープと、前記検出器の回転方向を判定する回転方向判別回路と、前記検出器の出力信号を積分し操作者の頭部の移動距離として記憶するカウンタ装置と、クロックの指令するタイミングに応じ前記カウンタ装置から払い出された移動距離に対応させ動作する前記スレーブ装置に搭載してある雲台のサーボ機構とよりなることを特徴とするテレイグジスタンス視覚装置。"

 この特許は審査請求されていないため、公告特許とはなっていません。だけれどここまで同一の特許が出されていると、これが公知技術となってDORAの動画で示された基本機能の特許は難しいでしょうね。

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2015.04.27

■情報 360度全方位パノラマ動画「idoga イドーガ」

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360度全方位パノラマ動画「idoga イドーガ」

"今までにない360°全方位映像による仮想空間世界を体感ください。『idoga』は360°パノラマ動画から新しいVRを創造してまいります。 

ストリーミング再生もチャンネル再生も対応可能!進化し続けるidogaアプリスマートフォンやタブレットの動きに連動し、デバイスを傾けるだけで見たい方向を見ることができます。
また、タグの埋め込みなどカスタマイズも自由自在!カスタマイズ可能なidogaアプリは、国内にとどまらず、海外でも多くの企業で使用されているスタンダードパノラマアプリです。"

iTunes App Store で配信中の iOS 用 360° パノラマ動画再生ビューア
360° パノラマ動画再生ビューア - Google Play の Android アプリ

 つい先日アップした記事「感想 Galaxy S6用ヴァーチャルリアリティ「Gear VR」 映像の没入感」でGalaxy専用のVRビュアーを紹介したけれど、実はiPhoneや他のAndroidフォンでも使えるVRソフトとビュアーが既に存在していたので、ご紹介。

 先日の記事は、oculusの3D VRだったが、今日ご紹介するのは、3D 360度映像でなく2Dの360度映像。ビュアーと組み合わせて頭を動かせば、その動きをスマホのセンサが拾って映像の向きを変えてくれるため、あたかも自分の周りの空間を360度でぐるりと眺めているような臨場感を得られる。

 3Dが観たければ、Youtube等のサイドバイサイドの3D映像にスマホでアクセスすれば、もちろん立体映像ビュアーとしても使える。

20150425_214005_2

 idogaの撮影用カメラは、右のようなもの。360度周囲を同時に撮れるもの。ただし見てわかるが、映像はステレオではなく2Dのみ。
 GoProを6台組合せた様な記述がidogaの公式HPで紹介されている。何か凄くかっこいい。そのうちこうしたものも一般向けに発売されるかもしれない。

 ちなみにoculusの3Dカメラは、以下のようなもの。

Covordi

 こちらはoculusのHMDと2眼の撮像素子を組み合わせたもの。
 頭を360度動かして撮ることで、その頭の角度情報ごとに映像を撮影し、あとで合成により360度VR映像を作成するものと考えられる。
 ちなみに公式ページ Ovrvision 1にて15900円で売られていたらしい。既に現在は発売終了になっている。

・idogaプロジェクト 001 - 宇宙パノラマ動画プロジェクト始まる。

 そしてidogaのページにはこのカメラをスペースバルーンに搭載し宇宙の360度映像を撮る企画が進んでいる。
 これは名古屋大学の学生グループによるもので、クラウドファンディングを利用して資金調達も実施された模様。
 素晴らしい試みなので、是非実現してほしいものです。既にクラウドファンディングは終了していて、残念ながら簡単に協力はできないようですが、参加できなかった我々にもいずれ映像獲得できた折には、動画の購入ができるようにしてほしいものです。

20150426_184133

 このidogaの動画を利用するために、僕は右の写真のようなVR用ゴーグル型HMDをポチりました。
 これにiPhoneかもしくはAndroidスマホを装着し、idogaビュアーまたはGoogle CardboardといったVRソフトを入れれば、自分のスマホで簡易的に、360度 3D VR映像が楽しめます。

 ビュアーソフトは、iOS用 360Heros 360 Video Library - Google Cardboard ReadyApps for Google Cardboard – Googleの二つが利用できる。
 そして、HMDビュアーは、Get Cardboard – Googleに示されている様にダンボールのも用意されていて、型紙から自作またはAmazonで購入することもできるようになっている。

 先日の記事で、VRも安くなったものだと書いたのだけれど、本当に勉強不足で、今やスマホさえあれば、厚紙でDIYできる時代になったのですね。素晴らしい。
 これでVRがどんどん世界に拡散したら嬉しいな。

◆関連リンク
Air Pano 360° Aerial Panorama, 3D Virtual Tours Around the World, Photos of the Most Interesting Places on the Earth

紙型スコープで驚きの没入感!! 仮想眼鏡°(360 Panorama Scope)

『Andoer Google Cardboard プラスチック製 VR 3Dメガネ セット DIY キット DIY Google Cardboard Virtual reality VR Mobile Phone 3D Glasses VR Bi-convex Head Mount Hands-free 4-6』
『Andoer 3D VR Virtual Reality ビデオムービーゲームメガネ iPhone Samsung 3.5-6』

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2015.04.22

■情報 ユルゲン・ハマーシュミット写真作品 "Life Ball" 2015 erstrahlt in edlem Gold

Life_ball_2015_erstrahlt_in_edlem_g

ART for ART : HIGHLIGHTS

 まるで生頼範義とクリムトを融合したような、素晴らしい作品ですね。
 どういう作品なのか、Google画像検索で調べてみると、、、。

 上記リンク先に © Life Ball / Jürgen Hammerschmid のクレジットがあり、ドイツ語サイトでよくわからないですが、どうやらこれは写真作品! のようです。作家のJürgen Hammerschmidはフォトグラファー。
 このリンク先に同時に撮られた他の作品も掲載されていますが、どれも今回は金色を主題とした作品で、神々しい神の世界を垣間見ているような気分になります。
 さて、撮影は、その神の世界にカメラが侵入して撮られたのでしょうかw。それとも......。

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"Life Ball" 2015 erstrahlt in edlem Gold - "Style Bible" - Video - krone.at - Stars & Society.

Foto: Jürgen Hammerschmid, Inge Prader / Video

 この作品の撮影風景の動画がありました!
 2'40"あたりから詳細が見られます。まさに人間によって演じられたパフォーマンスを撮った写真作品であることがわかります。

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2015.04.20

■感想 ジュゼッペ・トルナトーレ監督・脚本『鑑定士と顔のない依頼人』 La Migliore Offerta di Giuseppe Tornatore


▶ La Migliore Offerta di Giuseppe Tornatore - Trailer italiano ufficiale [HD] - YouTube

 アートを巡る謎の物語。
 絵画ファン(特に女性のポートレート)、オートマタファンは必見w。

 特に前半がいい。謎の女 クレア役 シルヴィア・フークスの繊細な演技が物語を引っ張る。絵画のオークションの世界の表と裏も興味深い。
 そして数字を奏でるもうひとりの謎の女性。

 全体のストーリーもこの女性も、とってもリンチワールドなのだけれど、そこはトルナトーレ監督、リンチほどは映像と音楽に耽溺していくわけではない。
 ラストが予定調和的に見えすぎるのが欠点かもしれないけれど、この前半からクライマックスまでの物語の臨場感に酔っ払ったようになった僕にはとても良い映画でした。オートマタがもっと活躍してたら傑作になっていたでしょう。お薦めです。

◆関連リンク
ジュゼッペ・トルナトーレ監督

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2015.04.15

■感想 Galaxy S6用ヴァーチャルリアリティ「Gear VR」 映像の没入感


Gear VR Demonstration - YouTube

ASCII.jp:映像の没入感が鬼スゴい! Galaxy S6用の「Gear VR」を速攻レビュー (1/2)

"表示も非常にクリアで密度が高い。その理由は解像度で、Oculus Riftでユーザーが入手出来る第2世代開発キット(DK2)は両目で1920×1080ドットなのだが、Gear VRはGalaxy S6シリーズそのままの2560×1440ドットとより高い。注視したときに感じる網目がかなり軽減されており、特に実写の360度コンテンツなどでシャープ感が変わってきそうだ。 価格はオープンで予想実売価格は2万4800円"

 Apple Watchをビックカメラに見に行って、こちらに衝撃(^^)。
 (Apple Watchはネットで見ていた通り、想像以上でも以下でもない感じでしたw)。
 Oculus Riftは未体験だけど、今回試したGear VRのデモ実写360度映像が凄かった。峡谷をヘリで飛ぶ様子を写した動画は、頭の動きに合わせて360度の天空を眺めることができる。この臨場感(下引用動画参照)が、なかなかの高所恐怖を誘発する。
 片眼に入ってくる映像の解像度は2560×1440ドットの半分で1280×1440でハイビジョンの画質を確保している。ただよく観るとこの精細度ではまだ映像そのものは肉眼より随分粗いと感じる。
 ただし人間は自分の頭の動きと眼に入る映像の動きが連動した時に、脳内の映像処理で外界をより高い解像度と感じているのだろう。この臨場感はやはり素晴らしい。

 あと頼むとオプションで、パシフィックリムの操縦室にも立たせてもらえて満足。 Galaxy S6が必要だけれど、この先端機器が2万円強の値段で提供されているというのは凄い。僕はiPhone派だけれど、思わず乗り換えたくなる楽しさ。

 この臨場感があれば、人は観光の楽しみの数分の一をVR機器で得られるようになるでしょう。

◆関連映像


▶ Samsung Gear VR: 360Photos, 360 Videos, VR Gallery (incl. subtitles) - YouTube


▶ Oculus Rift DK2: The Matrix VR - YouTube

◆関連リンク
Oculus VR Share (Beta)
 ユーザーはここからコンテンツをダウンロードできるようです。
 かなり充実しているので、iPhoneからGalaxy乗り換えの誘惑にグラグラw。
VRの始まりの年の終わりに、まさかのVR親孝行。スマホをぶっ挿してVR体験できる“Gear VR”入手リポート - ファミ通.com

" 映画が生まれた時、リュミエール兄弟による「ラ・シオタ駅への列車の到着」は、ただの汽車が到着する風景でありながら、当時の人にとって十分な破壊力を 持っていた。そして初期の映画は、「見たことのないもの、行ったことのない場所」を伝えるメディアとして機能していた。新たな視覚体験は、シンプルで力強 いものであればこそ、人を限定することなく広まっていくのだろう。"

 記者が旅行嫌いの母親に体験させてあげたくだりは、この機器の拡大を予感させます。素晴らしいレポート。
価格.com - サムスン Gear VR Innovator Edition for Galaxy S6 [Frost White] 価格比較
『サムスン Gear VR Innovator Edition / 3D ヘッドマウントディスプレイ』(Amazon)

<当Blog VR関連記事>
東大舘暲研究室  相互テレイグジスタンスの第二世代  テレサ2とツイスター4に関する報告
NHK「放送技術研究所一般公開 2006」  スーパーハイビジョンの超臨場感とアールキューブ
ヒューマノイドロボットHRPの遠隔操縦者インタビュー
相互テレイグジスタンスの第二世代 テレサ2とツイスター4
SFと科学技術におけるテレイグジスタンス型ロボット操縦システムの歴史
  -ジャンボーグAとその後の発展-

 アールキューブの映像有
産総研認定ベンチャー「HRP-2m Choromet」(チョロメテ)
走る人間サイズロボット HRP-2LR 

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2015.04.13

■情報 ヤン・シュヴァンクマイエル 『人形劇・虫・博物誌』Jan Švankmajer "Loutkové divadlo-Hmyz-Přírodopis"

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ヤン・シュヴァンクマイエル 『人形劇・虫・博物誌』.

"★カレル・チャペックとヨゼフ・チャペックの戯曲『虫の生活』を原作にした、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の新作映画「虫」のデザイン画を本書にて初公開!
★全面手彩色の色鮮やかな、『博物誌』シリーズの作品を本邦初掲載!
★人形・人形劇についての録りおろしインタビューも!

著:ヤン・シュヴァンクマイエル
訳:ペトル・ホリー 装幀:ミルキィ・イソベ
■発行:ペヨトル工房
■発売:ステュディオ・パラボリカ
■書名:ヤン・シュヴァンクマイエル 『人形劇・虫・博物誌』
■定価1,200円+税
■A5判/32ページ(カラー) 
■ISBN978-4-902916-34-8 C0090

★パラボリカ・ビス店頭とOnlineshopにて、先行発売中!
お電話:03-5835-1180"

 なんとシュヴァンクマイエルの新作『虫』が、日本の書籍でそのベールを脱ぐ。
 映画公開はまだ未定のようですが、当初2015年公開ということだったので、今年、劇場でお目にかかれるかもしれません。

 冒頭の書影、『ファウスト』のメフィストのパペットと近いイメージですが、どんな幻影を今回観せてもらえるか、期待が高まります。


▶ Interview with Jan Švankmajer / Rozhovor s Janem Švankmajerem - YouTube
 こちらは2014年の、シュヴァンクマイエルインタビュー。しかし、何を話されているか、残念ながらわかりません。「Jan Švankmajer Hmyz」で検索して見つけたため恐らく新作『虫』について語っているのでしょう。

◆関連リンク
ヤン・シュヴァンクマイエル『人形劇・虫・博物誌』(Amazon)

当Blog関連記事
ヤン・シュヴァンクマイエル:Jan Švankmajer監督 新作『昆虫:Hmyz(Insects)』
シュヴァンクマイエル 当Blog関連記事 Google 検索

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2015.04.08

■感想 矢口史靖 監督『WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なぁなぁ日常』

Img_wood_job

 

矢口史靖監督作は自主映画「雨女」から観てますが、本作、一番好きかもしれない(^^)。三重県の奥深い森の魅力。むんむんと匂い立つ自然。何かが映画に宿っている。

 森と人間の関係から、中上健次による熊野を舞台にした小説群、今村昌平の『神々の深き欲望』といったところを想い出すが、こちらの映画も性と生がテーマであった。もちろん中上、今村と比べると、矢口監督のタッチは軽やかである(^^)。
 が、映画に山が宿っているところは、映像の力、映画の演出の真骨頂である。

 特に何かが宿っているような、気が画面から漂ってきたのは、神隠しのシーン。
 結界が張られた山に子供が消え、そこに主人公たちが入っていくシーン。ここが描かれたことにより、最後の祭りのシーンがとても生きてくる。

 矢口作品は、うちの近所、田舎のレンタル屋でも、いつも10本近くのDVDが並ぶのだけれど、今回は異例の2本だけ。こんなに面白い映画なのに、『スウィングガール』や『ハッピーフライト』のように多くの方に見られていないのは残念です。

◆関連リンク
揺れ動くほんものの景色のなかで。 - ほぼ日刊イトイ新聞.

2村の生命力とか、開けっぴろげなエロチズムとか ぼく個人からは出てこない題材も小説のなかにはあって、 それをとても魅力的に感じたし、 撮ってみたいと思いました。 つまり、あの小説のなかには、 ぼくが映像化するときに得意技としている部分と、 手をつけたことがない部分があったんです。"

揺れ動くほんものの景色のなかで。 - ほぼ日刊イトイ新聞.

"矢口 ぼくは『WOOD JOB!』を観た人に 「林業っていいよ、やろうよ」ではなく、 もしかしたら今の生活の延長上に なにか別の世界の扉があって、 その扉を少しでも開くと、 「あ、世界って、こんなに広かったんだ」 ということを感じてもらいたい。 ただ、それだけ。"

 矢口史靖監督と糸井重里の、本作品を巡る長文の対談。とても面白く読めます。
宇多丸が映画「WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なぁなぁ日常」を絶賛 - YouTube
▶ 荻上チキ・SS22 矢口史靖監督 現在公開中の『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』
『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』(Blu-ray)

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2015.04.06

■感想 ウォシャウスキー姉弟監督『ジュピター』

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 ウォシャウスキー姉弟監督『ジュピター』観ました。
 期待して行っただけに落胆は半端ではないw。『クラウド・アトラス』は悪くはなかったのに、これは相当な駄作。こんなにバジェットを投入して、この馬鹿っぽさは何なのだろう(あ、金があり過ぎて強引に映像で作り込むばかりに、物語と人物が馬鹿になってしまった典型例かもしれない)。

 いちいち物語の展開と登場人物の会話が類型的すぎて、映像が頑張っている部分をスポイルしてしまっている感が半端ない。

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 その映像にしても冒頭から前半1/3は、木星の映像とか3Dでなかなかワクワクしたのだけれど、中盤から失速。どこかで観たことのあるような映像の乱れ打ちオンパレード。

 そして右図の「THE ZERO」と名付けられたロボット型戦闘機(?)に代表されるように、少しユニークなデザインなのに、充分物語の中で、活躍しないのが残念でしょうがない。スピーディな戦闘シーンで描かれているため、せっかくの周囲に翼を持った独特の工夫の構造が活きてこない。
 3D映像としても面白くなる可能性大なのに、残念である。

 もうひとつ辛口で書くと、3D上映が字幕しかない、というのは興行的に致命的。しかたなく3Dで初めて字幕版を観たのだけれど、やはり危惧した通り、3D空間の臨場感が字幕で台無し。せっかくの木星映像を返してくださいw。

 冒頭の木星画像のシーンとか、どこかジーン・ウルフ「アイランド博士の死」とか想い出させるのだけれど、このセンスオブワンダーが活かされていない。
 特に後半の木星は駄目駄目で、単なる煙に包まれた秘密基地程度の軽い映像。木星って、とんでもない重力と熱の惑星というイメージが全く活きていない。

公式ページ
 67枚のイメージ画へのリンクされている。

------------------未見の方、以下、注意-------------------------


20150405_132407

 あと少しネタバレですが、メインプロットの「収穫」「DNAで過去の人物と同じ配列の人間が地球に生まれる」というところ、半村良のSFを思い出します。そして主人公が清掃員なのだけれど、実は女王で数々の冒険に巻き込まれる、っていうのも半村良の主人公の妄想チック(^^;)。
 この映画、全く半村SFと雰囲気は違うのだけれど、ネタ的にファンとしては思い出さざるを得ない。

 半村作品で『虚空王の秘宝』は確か木星ならぬ木製w宇宙船が出てきてヴィジュアル的に類型がなくオリジナリティに溢れているので、ここまで半村作品にネタがかぶるならw、ウォシャウスキー、『虚空王の秘宝』を映画化すれば良かったのに(あ、収穫とDNAは『虚空王の秘宝』でなく別作品ネタです、、、)。

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2015.04.01

■動画 モンハナシャコの脅威の異生物感とシャコのスーパー視覚 Mantis shrimp's super colour vision


▶ True Facts About The Mantis Shrimp - YouTube
Mantis shrimp's super colour vision debunked : Nature News

 Mantis Shrimp : カマキリエビこと、シャコの凄い異生物感に溢れた映像をご紹介する。
 眼の動きが素晴らしく奇妙。まず360度回転するようにあちこち向き、そしてその眼球の中がカメラの絞りを高速に動かすように、目まぐるしく稼働する。
 このカンブリア紀感溢れまくりの凄い映像に触発されて、シャコの視覚について調べてみた。究極映像研のテーマのひとつは、もちろん異世界の視覚である。

驚異のシャコ(PDF)

" シャコのすぐれている点は、驚異のパンチ力だけではありません。科学者たちを驚かせているのはその眼の特性です。12 原色を感じる光受容体をもつシャコの仲間がいます。
 人間の眼は 3 原色を感じる光受容体しかないので、色彩に関しては、シャコの方が4倍すぐれていると言えます。人に見える可視光線だけでなく、赤外線や近紫外線も見分けられるのです。
 さらに、シャコにはすぐれた光受容細胞があることもわかってきました。眼の中の偏光板を回転させて、 特定方向の光だけを通過(偏光)させることができるのです。サングラ スにも偏光(ポラライズド)のものがあり、それをかけると反射する光 を通さないので、まぶしさを抑えられます。
 人工の偏光板は範囲が限られていますが、シャコの眼のほうが近紫外線、可視光線、そして赤外線にまで幅広く偏光できるため人工のものよりはるかにすぐれているのです。 
 現在、このシャコの眼の偏光の技術をDVDに応用してDVDに蓄えられる情報量を格段に増やす研究なども行われています。"

「円偏光」を感知できる特殊生物、シャコ « WIRED.jp

" どこか奇妙かというと、シャコには円偏光というものが見えるのだ。世界中を探しても、この種の光を知覚できる生物はほかに例がない。 新たに発見されたシャコのこの能力については、『Current Biology』誌のウェブサイトに3月20日(米国時間)付けで論文が掲載されている。
 シャコは単独で、全生物が知覚し得る光の性質を1つ増やしたことになる(生物が知覚できる光の性質としてはほかに強度、色、および直線偏光がある)。
 シャコの(複眼を構成する)「個眼」の一部が斜めに配置されていたことから、円偏光を感知できるのではないかと思いついたという。
 一部のシャコの尾には円偏光を反射する部位があり、それを使って信号を送り合うことで、交尾や縄張りの交渉をしているという。
 シャコの目はほかにも不思議な細胞や構造をたくさん備えており、なんと10万もの色を識別できる――人間の実に10倍だ。
 カンブリア紀以降、独自の進化の道をたどり、研究者たちに「火星から来たエビ」と呼ばれるほどに奇妙な生理機能を獲得するに至ったのか?

 「1つ考えられるのは、感覚器が複雑になるほど、脳は単純で済むということだ」とCronin氏は話す。「受容体レベルで分析ができれば、脳で処理する必要がなくなる」"

 11-12原色を持ち10万色の色を判別、地球の生物で唯一円偏光を感知するシャコの脅威の視覚。
 人の10倍という色彩感覚で世界を見るとどんなものがみえるのであろうか。
 そしてその視覚から、トップの動画に見られるような体表の素晴らしい色彩が生まれたのであろう。色に敏感なシャコの視覚は、体表をこのようにカラフルな色彩に進化させた。おそらく色が少ない個体は、その視覚の世界で貧弱に見え、良い伴侶が得られず淘汰されていったのであろう。まさに色彩が淘汰圧として働いたのである。
 また人には見えていない別の色も実はシャコには見えているはずである。上の動画のカラフルさの実は10倍の色彩をモンハナシャコは認識しているはずである。
 まさにこの地球の上の、異世界を彼らは見ているわけである。動画に見られる奇妙な色彩は、シャコが見ている異世界の一端を、我々の劣る視覚に御裾分けしてもらっているわけである。にくい、シャコ(^^;)。

◆関連リンク
Current Biology論文
Biological Sunscreens Tune Polychromatic Ultraviolet Vision in Mantis Shrimp: Current Biology(2014)
 シャコの視覚研究は今も引き続き実施されているようです。次はどんな世界を垣間見せてくれるのだろうか。

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