■動画 モンハナシャコの脅威の異生物感とシャコのスーパー視覚 Mantis shrimp's super colour vision
▶ True Facts About The Mantis Shrimp - YouTube
Mantis shrimp's super colour vision debunked : Nature News
Mantis Shrimp : カマキリエビこと、シャコの凄い異生物感に溢れた映像をご紹介する。
眼の動きが素晴らしく奇妙。まず360度回転するようにあちこち向き、そしてその眼球の中がカメラの絞りを高速に動かすように、目まぐるしく稼働する。
このカンブリア紀感溢れまくりの凄い映像に触発されて、シャコの視覚について調べてみた。究極映像研のテーマのひとつは、もちろん異世界の視覚である。
驚異のシャコ(PDF)
" シャコのすぐれている点は、驚異のパンチ力だけではありません。科学者たちを驚かせているのはその眼の特性です。12 原色を感じる光受容体をもつシャコの仲間がいます。
人間の眼は 3 原色を感じる光受容体しかないので、色彩に関しては、シャコの方が4倍すぐれていると言えます。人に見える可視光線だけでなく、赤外線や近紫外線も見分けられるのです。
さらに、シャコにはすぐれた光受容細胞があることもわかってきました。眼の中の偏光板を回転させて、 特定方向の光だけを通過(偏光)させることができるのです。サングラ スにも偏光(ポラライズド)のものがあり、それをかけると反射する光 を通さないので、まぶしさを抑えられます。
人工の偏光板は範囲が限られていますが、シャコの眼のほうが近紫外線、可視光線、そして赤外線にまで幅広く偏光できるため人工のものよりはるかにすぐれているのです。
現在、このシャコの眼の偏光の技術をDVDに応用してDVDに蓄えられる情報量を格段に増やす研究なども行われています。"
「円偏光」を感知できる特殊生物、シャコ « WIRED.jp
" どこか奇妙かというと、シャコには円偏光というものが見えるのだ。世界中を探しても、この種の光を知覚できる生物はほかに例がない。 新たに発見されたシャコのこの能力については、『Current Biology』誌のウェブサイトに3月20日(米国時間)付けで論文が掲載されている。
シャコは単独で、全生物が知覚し得る光の性質を1つ増やしたことになる(生物が知覚できる光の性質としてはほかに強度、色、および直線偏光がある)。
シャコの(複眼を構成する)「個眼」の一部が斜めに配置されていたことから、円偏光を感知できるのではないかと思いついたという。
一部のシャコの尾には円偏光を反射する部位があり、それを使って信号を送り合うことで、交尾や縄張りの交渉をしているという。
シャコの目はほかにも不思議な細胞や構造をたくさん備えており、なんと10万もの色を識別できる――人間の実に10倍だ。
カンブリア紀以降、独自の進化の道をたどり、研究者たちに「火星から来たエビ」と呼ばれるほどに奇妙な生理機能を獲得するに至ったのか?「1つ考えられるのは、感覚器が複雑になるほど、脳は単純で済むということだ」とCronin氏は話す。「受容体レベルで分析ができれば、脳で処理する必要がなくなる」"
11-12原色を持ち10万色の色を判別、地球の生物で唯一円偏光を感知するシャコの脅威の視覚。
人の10倍という色彩感覚で世界を見るとどんなものがみえるのであろうか。
そしてその視覚から、トップの動画に見られるような体表の素晴らしい色彩が生まれたのであろう。色に敏感なシャコの視覚は、体表をこのようにカラフルな色彩に進化させた。おそらく色が少ない個体は、その視覚の世界で貧弱に見え、良い伴侶が得られず淘汰されていったのであろう。まさに色彩が淘汰圧として働いたのである。
また人には見えていない別の色も実はシャコには見えているはずである。上の動画のカラフルさの実は10倍の色彩をモンハナシャコは認識しているはずである。
まさにこの地球の上の、異世界を彼らは見ているわけである。動画に見られる奇妙な色彩は、シャコが見ている異世界の一端を、我々の劣る視覚に御裾分けしてもらっているわけである。にくい、シャコ(^^;)。
◆関連リンク
・Current Biology論文
・Biological Sunscreens Tune Polychromatic Ultraviolet Vision in Mantis Shrimp: Current Biology(2014)
シャコの視覚研究は今も引き続き実施されているようです。次はどんな世界を垣間見せてくれるのだろうか。
| 固定リンク
コメント