■感想 フィリップ・K・ディック、佐藤龍雄訳『ヴァルカンの鉄鎚 : Vulcan's Hammer』
ヴァルカンの鉄鎚 - フィリップ・K・ディック/佐藤龍雄 訳|東京創元社
"20年以上続いた第1次核戦争が終結したのち、人類は世界連邦政府を樹立し、重要事項の決定を巨大コンピュータ〈ヴァルカン3号〉に委ねた。極秘とされるその設置 場所を知るのは統轄弁務官ディルただ一人。だが、こうした体制に反対するフィールズ大師は〈癒しの道〉教団を率いて政府組織に叛旗を翻した。ディルは早々 に大師の一人娘を管理下に置くが……。ディック最後の本邦初訳長編SF!"
フィリップ・K・ディック『ヴァルカンの鉄鎚』読了。
ディック最後の邦訳長篇ということなのだけれど、充分に面白いですw。
滝本誠師が訳出を試みられたとのことで、ノアール風味を期待したのだけれど、そういう小説ではなく、まさにハリウッドアクションSFになりそうな、エンターテインメント。
師がSF翻訳されるということは他では聞いたことがなく、よほど気に入られたのでしょう。師の好みのシーンは、マリオン・フィールズという名のロリータ登場シーンかなw...と邪推。
引用した画像は各国出版の『ヴァルカンの鉄鎚』表紙。
それにしてもあまりに直接的過ぎませんか。空を飛ぶハンマーには笑うしかありません(^^)。小説でも確かに鉄鎚の表現はあるけれど、これはあくまでも人々にある種の神が鉄鎚を食らわせる比喩のはずなので、もう少しいい感じのイラストをお願いしたいです。
僕的には読んでいる間、ハンマーのイメージは、『電脳コイル』の「2.0」でした。こんなやつ→ http://dic.pixiv.net/a/2.0
それにしても最後の邦訳長篇とは寂しい。
僕はディック長篇はほぼ読んできているので、あとは何故か読みそびれていた『宇宙の眼』を残すのみ。大事なディック最終長篇としてこれをいつ読むか、まずは老後の楽しみかと思いますが、すぐ来月にも手を出してしまいそうで、、、(^^)。
主人公バリスの綴りは"Barris"、"VALIS"とはなんら関係はないですw。
◆関連リンク
・牧眞司/フィリップ・K・ディック『ヴァルカンの鉄鎚』(佐藤龍雄訳)解説全文
・フィリップ・K・ディック、佐藤龍雄訳『ヴァルカンの鉄鎚』
・荒川水路訳『ヴァルカンズハマー』別翻訳 電子書籍
・フィリップKディック/ 三分小説 備忘録-SF短編小説のあらすじ
・Vulcan’s Hammer | Philip K. Dick Reading Club
こちらに各国で出版された『Vulcan’s Hammer』の表紙画が掲載されています。
・ディック 当Blog関連記事 Google 検索
| 固定リンク
コメント
あんまりようさん、こんばんは。
すっかりtwitterも遠ざかり、ご無沙汰です。
>>これから読まれるとは何という至福でしょう!
(^^)。SF全集版を持っているのですが、読まないで取っておいたというか、、、もう少し先の楽しみにしようかとも思っています(^^)
投稿: BP(あんまりようさんへ) | 2015.07.02 22:14
こんにちは、お久しぶりです。
作品未訳が幾つか残ってる段階でちょっとディックからは離れてしまっていましたが、そうですかこれで最期なのですね。最後から二番目は(笑)
宇宙の眼を未読とは意外でした(゚▽゚*)自分は大学生の時に創元推理文庫版の「虚空の眼」、その後の様々なフィクションへの影響が計り知れない傑作でした。これから読まれるとは何という至福でしょう!
これを機会に、またぼちぼち再度読んでみようかと思います。‥電子書籍で、になると思いますが。
投稿: あんまりよう | 2015.06.29 00:39