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2015.06.08

■感想 シディ・ラルビ・シェルカウィ演出『プルートゥ PLUTO』 (浦沢直樹×手塚治虫原作)

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森山未來 主演『プルートゥ PLUTO』|ローチケ.com

" アトムと高性能刑事ロボットのゲジヒトが事件の核心に迫っていく物語をプロジェクションマッピングも取り入れて舞台上に再現する。
 ロボットが主人公という漫画の世界観を、現代舞台芸術をリードするベルギーの鬼才シディ・ラルビ・シェルカウイがどのような演出で舞台によみがえらせるのか注目が集まる。"

 以前の記事で紹介した観たかった舞台、シディ・ラルビ・シェルカウィ演出『プルートゥ PLUTO』 (浦沢直樹×手塚治虫原作)が、NHK Eテレで放映されたので録画見。

 正直、あまり期待していなかったのだけれど、かなり興味深い舞台だった。
 引用画は、以下のサイトからであるが、この画像にあるように単なる芝居でなくマルチメディア的に構成された複合的な演劇が眼前に展開された。

 プロジェクタによる漫画シーンの投影、コマ割りのように構成された立体的なステージ、そして浦沢デザインをベースにした数々のロボットの登場と、長篇漫画全体をカバーするストーリー展開。

 通常ならあの原作を2時間半の芝居にすると、ダイジェストで何が何だかわからないものになる恐れがあるけれど、こうした複合的な舞台構成により、少なくとも原作漫画を読んだ観客には、立体的にあの『プルートゥ PLUTO』の世界の全貌が圧縮解凍されて眼の前に提示されることとなる。

 特に秀逸だったのが、画像下段中央、大きな布のスクリーンが巨大な球体を構成し、その表面に浦沢の絵が展開し、森山未來他の俳優が包まれて演技するシーン。音楽の効果と相まって漫画の広大なイメージが見事に舞台に立ち上がっていた。ストーリー的にもう少し一般観客にも訴求できるような、ポイントを絞った展開であったなら、もっと芝居の感動は高まったと思うけれど、このシーンが観れただけでも、なかなか素晴らしい、進化した演劇を体感できた。

 こうした新しい舞台に今後も期待したい。漫画と演劇の融合、まだまだ発展する可能性を秘めていますね。

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