■感想 ヤノベケンジ×増田セバスチャン×髙橋匡太 「PANTHEON-神々の饗宴-」 "三神夜覧"~夏のライトアップ~
「PANTHEON-神々の饗宴-」 "三神夜覧"~夏のライトアップ~
"京都府立植物園では、風神(風神の塔)、雷神(雷神-黒い太陽)、フローラの三体の神々が降臨したことを記念し、特別夜間開園を行い、下記のとおり夜間展覧、 "三神夜覧"を開催します。なんと入園無料です!
◆以下の8日間 特別夜間開園 18:00~20:00
8月14日(金)、15日(土)
8月21日(金)、22日(土)、23日(日)
8月28日(金)、29日(土)、30日(日)
◆会場:京都府立植物園「鏡池」エリアのみ
(入門は、正門と北山門のみとなります) "
◆琳派400年記念祭
ヤノベケンジ×増田セバスチャン×髙橋匡太
「PANTHEON-神々の饗宴-」
"会場:京都府立植物園 観覧温室前「鏡池」
会期:2015年7月25日[土]〜10月25日[日]
◆序章「雷神ー黒い太陽」2015年5月26日[水]より
◆1章「フローラ降臨」7月25日[土]より
◆2章「風神の塔」8月14日[金]より
◆最終章
「New Generation Plant」
(増田セバスチャン) 9月中旬より
※髙橋匡太によるライトアップ
仲秋9月27日[日]~10月11日[日]夕刻"
ヤノベケンジ「PANTHEON(パンテオン)-神々の饗宴-」 "三神夜覧"~夏のライトアップ~ 観てきた。3D映像も撮ってきましたが、まずは写真です。
「琳派400年記念祭」と銘打たれているように、今回、尾形光琳の『風神雷神図』屏風をモチーフに、ヤノベの立体造形は、雷神と風神を描き出している。両側にそれら神を置き、そして新たな創意として、中央にヤノベの近作「サン・チャイルド」「サン・シスター」につながる「フローラ降臨」が置かれている。
特に当Blog的には、冒頭写真中断の「風神の塔」がまるで怪獣映画で圧巻です。体長約4mの使徒、京都襲来って感じですねw。
まるで蓮池に舞い降りた仏のような造形。
両側の荒ぶる2神に守られ、穏やかな顔をしたまさに女神。というより姿は女児なので、癒しの少女神と書いた方がしっくり来るビジュアルです。
植物園の中のハスの池、という舞台設定が最も活かされているのが、このフローラの手を上に向けた穏やかな像でしょう。
手に持つ花、というかキャンディ?を慈悲深く人々に差し出す恵みの像。「サン・チャイルド」「サン・シスター」につながる放射能に汚染された地を浄化しようとする子供の像がテーマなのでしょう。
「サン・シスター」はまだ実物を未見ですが、この荒ぶる神と並び降臨した姿が、特に慈悲の象徴として映えるのではないでしょうか。単独の展示だとイメージが「甘く(スゥイート)」過ぎる印象で、世間の汚れの中で日々生活するおじさんの眼には眩しすぎたのですが(^^;)、邪悪な何者かも感じさせる2神とのバランスで、逆に光が浮き出て、とてもいいのじゃないかなと。
よく眼を凝らすと、ハスの一部は花を咲かせていました。
この季節、蓮の花と3体の像と光のイメージは、浄化される何ものかを観客に与えていたような気がします。
今回、風神は頭上の3個の風車で発電し、そのエネルギで約3分に一回、蓮池の水をその口から放水する仕掛けがあって、集まった大人と子供たちを喜ばしていたけれど、雷神の仕掛けは何もなかった。
「黒い太陽」が本来セットで持つテスラコイルの放電はなかったわけだが、秋のライトアップで登場するらしい。その時に本来作家が込めたイメージが植物園に現出するのだろう。秋は行けるだろうか。
◆関連リンク
「PANTHEON-神々の饗宴-」公式PV - YouTube
クレーンによる上空からの俯瞰ショットが素晴らしいので、是非、ご覧ください。
"「琳派」とは、宗達から100年ほど後に絵師となった尾 形光琳(1658~1716)の「琳」をとって名付けられた名称です。尾形家は俵屋宗達や本阿弥家と姻戚関係にあり、光琳は宗達の作品をよく学んでいま す。『風神雷神図』屏風を手本に、光琳は同じ図柄の屏風絵を遺しており、「琳派」は、宗達や光悦から生まれたといってよいのです。"
風神雷神図 - Wikipedia 引用画は、上が俵屋宗達、下が尾形光琳。
"作者 俵屋宗達 制作年 寛永年間頃 素材 紙本金地着色 寸法 154.5 cm × 169.8 cm (60.8 in × 66.9 in) 所蔵 建仁寺(京都府京都市)
尾形光琳の屏風画
2曲1双・紙本金地着色、東京国立博物館蔵。
光琳は、体躯や衣文線などの輪郭線を驚くべき忠実さでトレースしており、単に屏風を瞥見した程度ではなく、時間と手間を惜しまず正確に写し取った事が伺える。その反面、光琳はいくつかの改変を加えている。・風神・雷神の姿が画面ぎりぎりではなく、全体像が画面に入るように配置されている。
・宗達が屏風の外に広がる空間を意識したのに対し、光琳は枠を意識しそこに綺麗に収まるよう計算しており、片隻だけ見ると光琳の方が構図がまとまっている。
・宗達の画では、両神の視線が下界に向けられているのに対し、光琳の画では両神がお互いを見るように視線が交差している。
・両神の顔が、やや柔和な印象を受け、卑俗な擬人化がより進んでいる。
・屏風全体の寸法が若干大きい(宗達画は各154.5x169.8cm、光琳画は各166.0x183.0cm)。二神の大きさは変わらないため、絵の中では光琳の風神雷神の方が相対的に小さく見える。
・細部の描写や彩色を変更、特に輪郭線や雲の墨が濃くなり、二神の動きを抑える働きをしている。
光琳の模写も傑作の部類に属するが、上記の相違点により、「宗達の画のほうが迫力がある」という者も多い。"
元祖の俵屋宗達と、それを自らの解釈で描きなおした尾形光琳の『風神雷神図』と「PANTHEON-神々の饗宴-」を並べてみた。ヤノベケンジの「フローラ降臨」がやはりその光で異彩を放っている。
会場に多数訪れていた子供たちが「フローラ」をまるで友達のように親しげに名前を呼んで語る言葉が幾つも聴こえてきたけれど、まさにそうした異彩がどういう形でか、人々の心に共鳴しているようだ。
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