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2016.06.06

■感想 押井守監督『GARMWARS ガルム・ウォーズ』 英語版

Photo

 押井守監督『ガルム・ウォーズ』英語版を名古屋地区最終上映の木曜21:00〜で観てきた。この映画、やはり英語版こそがオリジナル。ガルムたち のセリフのモノトーンとそこに徐々に紛れてくる感情。これはオリジナルの音声でこそジワジワとこちらに迫ってくる迫力があった。日本語版では感情表現が少し強い。

 映画全篇を観終わった感覚が日本語版よりも、よりテーマがくっきりとしてくる。そして物語ではなく映像の映画であるこの映画の本質も明瞭化されたような感覚。
 日本語版では吹替のどこかアニメ的な印象が映像をチープに感じさせていた部分があった記憶。しかし英語版はより映像のトーンが映画全篇にしっくりと収まる。
  映像の映画である本作、おそらくファンタジーとかSFの文脈で語るのでなくって、本来これはヨーロッパ映画の文脈で語るべきではないだろうか。僕には荷が 重いけれど、欧州とソビエト映画のシネアストに語ってほしい側面がかなり強く感じられる。押井守の映画的記憶の膨大なそれらへの水脈。ここに触れることなしにこの映画の本質は語れないだろう。

Element_of_climb_lars_von_trier_gar

 僕にはアンドレイ・タルコフスキーとラース・フォン・トリアーくらいとの相関くらいしかイメージできないのだけれど、、、。ラースの『エレメン ト・オブ・クライム』すら未見の僕に何が語れるだろう。たぶんアンヌーンの黄昏の色は『エレメント・オブ・クライム』である、とか語れない(^^;)。

 右の写真は、上がその『エレメント・オブ・クライム』、下が『ガルム・ウォーズ』の各シーン。

 冒頭に挙げた6シーン、特にヘンリクセンの表情と画面の色合いが最高ですね。あと前回吹替版の感想でも触れたけれど、主人公カラの赤のデテイルの意匠がとても映える。映像の落ち着いたトーン、映画が表現しているアイルランドの荒野のイメージがフィルムに横溢している。

◆ロバート・フラハティ監督『マン・オブ・アラン』
 ロバート・フラハティ監督『マン・オブ・アラン』
 押井守監督『ガルム・ウォーズ』の企画の原点になったという、アイルランドを描いたドキュメンタリー。
 宮崎駿がこの映画を観た記憶から、押井守とアイルランドアラン島を訪問。その西欧の北端での文明の荒涼が今回の押井作品の原点になったらしい。
 ということでこのDVDをポチりました(^^)。 届くのが楽しみ。
 Youtubeにもありますね。

◆関連リンク
押井守×鈴木敏夫×川上量生 「タイトル未定」 - LIVE
 押井守と宮崎駿のアイルランド珍道中ほか、押井のSF者時代についても結構深く語られています。
『GARMWARS ガルム・ウォーズ』押井守監督 単独インタビュー(1/2) - シネマトゥデイ
The House That Jack Built (2018) - IMDb
 ラース・フォン・トリアーの新作、こちらになるようです。シリアルキラーの映画。

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