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2016年6月

2016.06.29

■イラスト iPad Pro Apple Pencil による「シン・ゴジラ」

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   初iPad、iPad Pro9.7inchを買った。
   液晶タブレットとして、Apple Pencilに期待したのが購入理由なので、噂どおりなかなかの描き/書き心地(^^)。で、今回は御目汚しですが、試し描きした私のイラストです。
   まず添付したのは、Procreateというペイントソフトで描いた「シン・ゴジラ」。 写真を下絵に読み込んで鉛筆画風に輪郭をスケッチ、そして色を着色、これらをiPadにApple Pencilで描いてみました。
 ペンの追従性も良く描き心地はなかなかなものです。液晶タブレットとしての性能もかなりいい感じです。

 閑話休題。シン・ゴジラの絵を描いてみて感じたのは、シン・ゴジラの特徴である、表皮の下の赤い血のような色が、やはり独特の雰囲気を醸し出していること。そして手の向きと丸く小さい眼。これらにより幽鬼な雰囲気が横溢しているのが描いてみてよくわかりました。この雰囲気が映画の中で、どう活かされているか、あと一ヶ月後の公開が楽しみでなりません。

 そしてiPad Pro もうひとつの期待の、Apple Pencilによる手書き文字認識によるメモ機能。以下のリンクにプロのレビューがありますが、実は反心反義だったのだけど、聞きしに勝る書き心地。キーボードを買うつもりだったのだけど、これならペンだけで文字入力も大丈夫でしょう。
 会社の会議でも使えるくらいのメモ能力。明日から僕の紙のシステム手帳は、廃業です(^^)。

 もちろん、この雑文も手書き文字認識で描きました。ペンの応答も快適で、階書的に少しAIに気を使って書けば、認識率は95%くらいかと。

”「手書きiPad Pro」はビジネスに最高だった 文字入力もWordも断然快適に” (日経)

 iPadでのApple Pencilお絵描き、こちらはうちの猫ちゃんのチップちゃんです。
 同じくProcreateを使って描きました。

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2016.06.27

■感想 ロバート・フラハティ監督『アラン : Man Of Aran』

Man Of Aran - YouTube
 ロバート・フラハティ監督によるアイルランドアラン島のドキュメンタリー、DVD初見。
 押井守『ガルム・ウォーズ』は、宮崎駿がこの映画を観た記憶から、ふたりが訪れることになったアラン島の印象にその映像のルーツを持つという。荒廃したアンヌーンの光景のルーツがヨーロッパの極北アラン島だということが押井守の言葉で語られている。
 映画で映し出されたアラン島はまさに荒れ地、岩ばかりの土地と荒れ狂う波と急峻な岩壁の島。そこで活きている主人公親子を追うカメラは過酷な地の生活を丹念に捨っていく。
 荒野はアンヌーンであり、宮崎『未来少年コナン』の残され島。
 荒波の中の鮫獲りは、スピルバーグ『ジョーズ』も想い出すが、『コナン』第1話の鮫にも通じる。
 島民をスタッフにこの映画を撮りきったフラハティ監督の欧州北端の文明を描く筆致はどこか異星の開拓物語の様にも観える。人類のたくましさを通感させる来晴しい一本でした。

◆関連リンク
ロバート・フラハティ - Wikipedia
ロバート・J・フラハティ『アラン [DVD] 』
ロバート・J・フラハティ『極北の怪異-極北のナヌーク- [DVD] 』

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2016.06.22

■情報 NASA木星探査機 ジュノー、2016年7/4に木星軌道到達 ! : NASA Juno Jupiter Mission


Jupiter: Into the Unknown (NASA Juno Mission Trailer) - YouTube

"Secrets lie deep within Jupiter, shrouded in the solar system's strongest magnetic field and most lethal radiation belts. On July 4, 2016, NASA's Juno spacecraft will plunge into uncharted territory, entering orbit around the gas giant and passing closer than any spacecraft before. Juno will see Jupiter for what it really is, but first it must pass the trial of orbit insertion. "

NASA Junoミッション公式サイト 
ジュノーミッション South West Research Institute公式サイト
ジュノーミッションFacebookページ twitter

ジュノーの日本語情報サイト
2016.06.10:木星に探査機ジュノー到着まで25日!! | NASAの木星探査機ジュノーの最新画像と情報を翻訳

"ASAの木星探査機ジュノーは、我々の太陽系で最大の惑星である木星に、25日間と1,110万マイル(1,780万キロ)の距離の地点に到達しています。7月4日の夕方には、ジュノーはメインエンジンを35分間噴射し、巨大なガス惑星である木星の軌道に入ります。"

 NASAの木星探査機JUNOが、いよいよ7/4に木星軌道に到達。
 ジュノー(ユーノー)はローマ神話のジュピターの妻とのこと、七夕ならぬ米国独立記念日に巨大惑星の軌道で二つの神が見事に邂逅する。

 7/4が楽しみでなりません。
 ジュノーに積まれたカメラ「ジュノーカム」による高精細な巨大惑星の映像が観られます! あと半月ほど、巨大惑星の重力に囚われることなく、木星の衛星軌道から数々の映像とデータを長期間に渡って送ってくることを願ってやみません。

 そして木星に愛着を持たれていた小松左京氏ほか亡くなられたSF作家たちにも、ジュノーから冥界へもデータを是非ダウンリンクしてあげてほしいものです。

◆関連リンク
・ジュノー (探査機) - Wikipedia
・ローマ神話の神ジュピター、その妻ジュノー Wikipedia
NASA Juno - YouTube
NASA JPL Live, Ustream.TV
 7/4にはここでライブ映像(とは言っても木星軌道との時差は、6-7億5000万kmの距離により40分ほどあるとのことで、40分前の過去映像であるわけですが、、、)

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2016.06.20

■感想 「みんな、うちのコレクションです」展 @ 原美術館 と 加藤泉作品集“Soft Vinyl Sculptures”

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「みんな、うちのコレクションです」展 [原美術館]

"加藤泉「無題」 2008年/木、アクリル、オイル、石/185×167×110cm/撮影 渡辺郁弘

奈良美智「My Drawing Room」 2004年/ミクストメディア/撮影 木奥惠三"

 東京出張の帰りに、久々に加藤泉作品を鑑賞。
 原美術展の収蔵品展示会、今回の展示では加藤泉作品はポスターのメインビジュアルになっているこの2008年の「無題」作品のみだけれど、木彫りの巨大作品は今回も尽きぬ魅力を放射していました。
 何故僕はこの造形にこんなに魅かれるのか…。まだまだ謎は尽きません(^^;)。

 その他作品では、特に奈良美智作品がとてもよかった。
 部屋ひとつが奈良画伯のアトリエのように構成されたもので、雑然としているが、とても落ち着く雰囲気の空間でした。作品が順路に並んでいるのでなく、隠し部屋のように扉の向こうに展示されているので、実は最初通り過ぎて見逃しましたw。
 そんな方は少ないでしょうけど、観覧時はご注意ください(^^)。

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Izumi Kato “Soft Vinyl Sculptures” - IZUMI KATO - 加藤泉

"作品集: Izumi Kato “Soft Vinyl Sculptures”』 定価: ¥4,000.- (消費税別途) A4版/ ソフトカバー/ 96p 発行: Izumi Kato Studio デザイン:重実生哉 ※Nadiff、国立国際美術館ミュージアムショップ、 原美術館&ハラミュージアムアーク ミュージアムショップにて販売中"

 加藤泉作品展示は一点だけだったけど、この作品集をショップで買えたのは大きな収穫(^^)。昨年の個展の作品集ということだけれど、展示自体を知らなかったのは不明の限り。
 タイトルの通り、ソフトビニールによるフィギュア作品で、作品集の加藤氏序文によると、ビニールの造形に着色していくことで、彫刻作品と絵画作品の中間的な位置づけになっている。
 ある部分、加藤氏の彫刻作品と絵画作品の間には、もちろん通底するがイメージ的には作風の乖離部分を形作っているところがあるが、まさにそのミッシングリンクを埋める形の作品が掲載されている。

 ビニールの表面に塗られたペイントは、その絵画作品の流れるような色のグラデーションが再現されている。
 そして新しいのが、ビニールを熱で変形させた新たな形状の造形。

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 特に上の上段作品に顕著なようにめくれ上がった顔の表面が裏へねじ曲がった奇妙な造形が新たに解体再構成された加藤作品として、興味深く楽しめる。
 下段の木造作品と比べると一目瞭然であるが、その着色のテクスチャーの違いによる発色の差は絵画作品からの3D作品への作風の流入と、さらにその造形の熱により曲げられた変容が異様な迫力を生んでいる。

 この作品展の存在を見逃し、そして実物との邂逅を逸したことを反省することしきり。やはり作品展情報をきめ細かくウォッチする方法を探さないといけないですね。

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 こちらは作品集"Soft Vinyl Sculptures"を眺めるうちの猫。猫の目にこの造形はどう映っているのか。

 プリミティブな潜在意識を探索しているような気配に溢れた加藤泉作品は、ある意味、芸術という体系に汚染された我々人間の意識的な作品鑑賞を離れ、より原初的な姿を猫の脳内に映し出しているのかもしれない。
 とはいえ、もし目の前にその作品があれば、猫はビニールのめくれ上がった端部に首を擦り付け、自分の痒みの解消に走るだけなのだろうけど、、、。猫の無意識と加藤泉作品の潜在意識とにリンクを見てしまうのも、ヒトの意識のなせる技なのである(^^;)。

◆関連リンク
・原美術館展示作品のプレス向け展示で撮られたこちらのリンク先の写真が素晴らしいです。雰囲気を知るために興味ある方は是非覗いてみてください。僕も唯のブロガーとしては僭越なのだけれど、プレス公開に呼んでもらえるようになりたいものですw。

加藤泉氏作品 当Blog関連記事 Google 検索

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2016.06.15

■感想 スティーブン・スピルバーグ監督「VR技術は伝統的な映画作りを脅かす」


Airbus VR Experience - Mars 360 Release - YouTube
 冒頭の動画は、以下の本題とは少しズレますが、火星のVR体験を狙った360度動画。今日はこのVRについてです。スピルバーグ監督が以下のような映画とVRの関係について述べているのを読んで、そこから思ったことを徒然なるままに。

スティーブン・スピルバーグ監督が「VR技術は伝統的な映画作りを脅かす」と警告 - Engadget Japanese

"スピルバーグ氏は、VRという新たなフォーマットが、映画監督の作品に対するコントロールを脅かすのではないかと指摘。この技術がもたらす視野の自由により「作り手が見せたいもの」より「観客が見たいもの」が優先されること。そして「全方位を見渡せて、どちらを見るか決められる世界に没入したとき、ストーリーが忘れられなければよいが」と懸念を述べています。

映画界とVR技術とはもっか距離を縮めつつあり、『ブレードランナー』などのリドリー・スコット監督もGear VR向けコンテンツ『The Martian VR Experience』にプロデューサーとして参加。『マダガスカル』などのエリック・ダーネル監督も、今年のカンヌ映画祭でVR映像の『1/8Invasion!』を上映しています。

当のスピルバーグ氏も、VRを題材にしたSF小説『Read Player One(邦訳:ゲームウォーズ)』劇場版の監督に決定しているほか、VRコンテンツを制作する会社The Virtual Reality Companyにアドバイザーとして迎えられています。そうした経験を踏まえた上での、重みのある発言なのでしょう。"

 確かにVRは映画に変革をもたらしそうですね。スピルバーグが気にしているのは観客に対して決まった視点を提示することでストーリーを描く今までの映画がVR技術導入でどうなってしまうのだろうか、と映画界からの不安を表明しています。
 果たして本当にそうなのでしょうか。僕は映画と演劇の差をここで想起しました。

 映画は一定の画角で映像を提示し、観客にある一定の体験を感じさせます。それに対して演劇はある場面を提示しますが、観客の視点は絞るわけではなく、観客のある程度の自由な視点を許容しています。
 それによって演劇の物語が発散するかというとそんなことはない。ただし演劇は映画よりも観客の視点の差で、微妙に体験としての差異があるような気がしています。たとえばある俳優のみに着目して演劇を観ると、観客には必ずしも主人公の体験をトレースするのではなく、その役者の物語を体感していたり、といった違いが出てくるのではないかと。

 次にPOV:Point of View Shot映画というものがある。
 これは観客の視点を主人公の視点に固定するものである。

 VR映画というのは、このPOVと演劇的な視点の自由が融合されたようなものになるのではないか。つまりカメラの位置(観客の位置)はPOVのように主人公の位置に固定される。しかしその視線は360度の自由が許容される。
 物語とともに観客は、主人公としてその映画のストーリーをなぞっていくのであるが、その視線は映画の360度空間の中で自由に自分の好きな画角を、演劇のように切り取れる。そうした時にひとつのストーリーなのだけれど、観客は圧倒的なリアリティとともに映画の中である程度の主体的な映像体験を記憶に残すのである。

 スピルバーグには、VR版『ジョーズ』『プライベート・ライアン』を撮って欲しい。その際にどのような新しい映画体験がもたらされるか、そこに凄く興味がある。

 そろそろアメリカではVR映画の制作が始まっているのではないかと思うのだけれど、このあたりから新しい映像体験を想像することができるのではないか、と思っているのでまずは雑記。
 
 次にそんなVR映画でキーになる超臨場感についてもメモ。

◆VRによる超臨場体験のメカニズムについて
 最近、テレビでVR体験をしている人を映し、その臨場感の凄さをアピールする番組が幾つか出てきているけれど、バラエティではある程度大袈裟に演じているにしても、NHKのクローズアップ現代でも、相当のインパクトを体験者が受けているところを放映していた。

あなたの脳を改造する!? 超・映像体験(バーチャルリアリティー) | NHK クローズアップ現代.

"ソニー・インタラクティブエンタテインメント 吉田修平さん
「いろいろ研究した結果、(頭の動きと映像のずれが)0.02秒より短くなると、ほとんどの人がふだんの生活で見ている感覚と変わらなく感じるという結果が出ています。」(略)

クロスモーダル現象、とても不思議に感じるが?

クロスモーダル現象とは、五感が刺激された時、そこにはない音やにおいなどを感じてしまう錯覚現象です。 宮本さんの場合、女子高生との距離が縮まったことで、実際には聞こえないはずの吐息を感じたのです。

暦本さん:人間って怖いですね、視覚とか聴覚と一緒に来ると、いろいろとないものが聞こえちゃったりするというのが、クロスモーダルで、記憶にも依存するんですよね。(略)

暦本さん:例えば、トロってありますよね。
VRで、お寿司のトロを出すんです。
実は、アボカドだったりするんですけど、食べると本当にトロの味がしたりする。感覚が変わっちゃったりするんですね。"

 僕はまだ電気店店頭で、SamsungのGear VRを体感したことしかないけれど、それでもその臨場感はなかなかのものであった。その臨場感の秘密はどこにあるのだろうか。そこらにすごく興味がある。

 以前書いた記事でこのあたりについて、説明できる脳の仕組みについて記述された本がある。

■池谷裕二著『進化しすぎた脳』 感想 3 脳のトップダウン構造と視覚

" 視覚野のシナプス活動のうち、視床から入ってくる視覚情報は15%に過ぎない。さらに視床そのものも眼からの情報を中継する部分(外側膝状体)は視床全シナプスの20%。
 つまり視覚野が処理する外の視覚世界の情報は、わずか15%×20%=3%。我々の観ている画像は、そのわずか3%が外の視覚世界でそれ以外は脳が処理した別の視覚情報なのである(例えば上述の止まっているものを動いていると知覚する脳内の活動情報等)。(P351)"

 人間の視覚認識についての興味深い記述がこの本になされていた。
 ここからVRを考えると、クローズアップ現代等のテレビで用いられるジェットコースターのVRであるが、その臨場感の秘密は、視覚が外界情報として処理している情報はわずか3%で、実は脳内で生成された映像がその3%を補完して100%の視覚認識になる、ということがVRのリアリティ生成に大いに役立っているのではないだろうか。

 つまりCGとして決して緻密でもないコースターの映像が、人間の頭の動きに連動した視覚情報として入力されると、頭の動きやそれに同期して動く3%の3D-CG世界の映像情報から、脳内でリアルな映像が残り97%の情報として追加され、両眼から入ったCG情報は見事にリアリティを持った外界として認識されるのではないか。

 これを現時点体験できる視覚認識で試すことができる。
 それはどこにでもある何かのハイビジョン等の動画を再生して、その映像に生々しい存在感を持ったとする。次にその映像を途中で止めて、あるコマだけを観てみてほしい。するとその1コマの画像だけ観ると、さきほどの生々しさは大きく劣化しているのがわかると思う。
 この生々しさの劣化は、おそらく動画再生している時に、3%の画像入力のコマとコマの間を補完する脳内の97%の視覚認識が、生々しさを生み出しているまさにその正体だからではないだろうか。

 VRにおいては、頭の動きに連動する両眼の立体映像から、さらに強いリアルな(現実で我々が外界を見ている視覚認識と同等に)脳内補完映像を生成し、凄く臨場感のあるまさに生の現実感が生成されている、と思うわけである。

 そしてさらに上で述べられているようなクロスモーダル現象で、視覚以外の感覚も脳内でその現実感を補完しているのだと考える。

 まだ自分でしっかりVRを試していないので、あくまでも机上の空論だけれども、このあたりから今後もVRの臨場感について、究極映像としての分析をしていきたいと思っている。

◆関連リンク
ソニー、上位版PS4「Neo」を認める。現行プレイステーション4と併売するハイエンド版 - Engadget Japanese
 PS VRに向けて、PS4導入しようと思ってたんですが、これは待ちですね。VRの場合、マシン性能に依存する部分が多いので、マシンパワーと5Kの性能は確保しておいたほうがよさそうな気がします。
リドリー・スコットのVR映像の予告編がGear VRで配信(北米のみ)。本編は2016年公開 | 国内外のVR最新情報 - Mogura VR
これら8つのVR作品が、トライベッカ映画祭で注目を集めた|WIRED.jp.
【随時更新】POV方式で撮影された映画まとめ【60本】

"「POV方式」とは「Point of View Shot」の略で、 日本では「視点ショット」「主観ショット」などと訳されます。"

"1/8Invasion!|Baobab Studioによる短編アニメーション。イーサン・ホークのナレーションによる、エイリアンの侵略から世界を救う1匹のウサギのストーリー (いや2匹かもしれない…観てからのお楽しみ)だ。キュートな作品で、家族みんなで大きい耳になって没入体験を楽しめる。"

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2016.06.13

■写真レポート 藤森照信設計デザイン「モザイクタイルミュージアム」

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 藤森照信氏デザインの「モザイクタイルミュージアム」が多治見市にオープンしたので行ってきました。今回はその写真レポートです。

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 先日の記事で紹介した茅野市にある藤森氏の初建築作品である「神長守矢家祈祷殿」にも通じる周りの緑と建物の調和が見事な景観。

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 それにしても高さ20mほどの絶壁(角度90度)になった、土塗りのように見える両側の壁は圧巻(写真右は玄関から見上げたその絶壁)。タイルミュージアムなのに外観は屋根のみがタイル貼り。
モザイクタイルミュージアムとは | tmtm28

"藤森照信  ふじもり てるのぶ(建築史家、建築家)
建築物を構成する素材の中で最も根源的なものは何か、という問いに、藤森氏は「土」と答えています。タイルもまた、土を焼成して作る建材のひとつ。その原料となる粘土を掘り出している採土場の風景から、今回のタイル館のイメージは出来上がりました。"

 というのが土の絶壁の意味のようです。

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 内部、4階はタイルが映えるのは屋外であるという藤森氏の考えで、展示会場天井に5mほどの大穴が開いている独特の空間。上の建築模型で構造はわかって頂けると思うが、まさに天井に大穴が開いている。これはガラスが嵌っているわけでなく、まさに天井から外の風が吹き込む穴なのである。
 雨も風も吹き込むが展示物がタイルだからこそ出来た、美術館として特異な空間。

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 ということで4F展示場の作品は全てこのようなタイルに描かれた絵とタイルの造形。それにしても大雨と風の酷い日は、展示場としては閉鎖されるのではないかと心配してしまう。

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 各階を結ぶ階段スペースも吹き抜けになっていて気持ちの良い演出。ここでも温もりのある土の感覚が活かされているのはまさに藤森建築の真髄。
 この建物、実は近所なのだけれど計画も全く知らなくて、新聞でオープン記事を観た時も何だか藤森作品に似ているな〜とぼんやり思ったのだけれど、まさにズバリで驚きました。
 2ヶ月ほどの間にその作品を4点拝見できて、奇想建築ファンとしては眼の至福でした。

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2016.06.08

■感想 園子温監督『リアル鬼ごっこ』


園子温版『リアル鬼ごっこ』予告編 - YouTube

 園子温監督『リアル鬼ごっこ』録画観。
 驚きたい方は予告篇も観ないことをお薦め

 ほとんど何も知らずに観たのだけれど、冒頭30分の圧倒的なパワーに恐ろしくなる。園子温史上でも一二を争うショッキングな展開。

 そして『ロスト・ハイウェイ』でデイヴィッド・リンチが名付けた"サイコジェニックフーガ(心因性遁走)"な中盤の展開。この展開のオチはあれしかないのか、と思っているとその想像は、、、。

 園監督がライトノベルな映画を観に来たティーンエージャーに仕掛けた恐ろしくシュールな現実。途中で出てくるシュールちゃんのセリフがビシビシと体に突き刺さってきます。

 園子温版ライトノベル、前半まではとにかく恐ろしい傑作です。

園子温監督『リアル鬼ごっこ 2015劇場版 プレミアム・エディション [Blu-ray] 』

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2016.06.06

■感想 押井守監督『GARMWARS ガルム・ウォーズ』 英語版

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 押井守監督『ガルム・ウォーズ』英語版を名古屋地区最終上映の木曜21:00〜で観てきた。この映画、やはり英語版こそがオリジナル。ガルムたち のセリフのモノトーンとそこに徐々に紛れてくる感情。これはオリジナルの音声でこそジワジワとこちらに迫ってくる迫力があった。日本語版では感情表現が少し強い。

 映画全篇を観終わった感覚が日本語版よりも、よりテーマがくっきりとしてくる。そして物語ではなく映像の映画であるこの映画の本質も明瞭化されたような感覚。
 日本語版では吹替のどこかアニメ的な印象が映像をチープに感じさせていた部分があった記憶。しかし英語版はより映像のトーンが映画全篇にしっくりと収まる。
  映像の映画である本作、おそらくファンタジーとかSFの文脈で語るのでなくって、本来これはヨーロッパ映画の文脈で語るべきではないだろうか。僕には荷が 重いけれど、欧州とソビエト映画のシネアストに語ってほしい側面がかなり強く感じられる。押井守の映画的記憶の膨大なそれらへの水脈。ここに触れることなしにこの映画の本質は語れないだろう。

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 僕にはアンドレイ・タルコフスキーとラース・フォン・トリアーくらいとの相関くらいしかイメージできないのだけれど、、、。ラースの『エレメン ト・オブ・クライム』すら未見の僕に何が語れるだろう。たぶんアンヌーンの黄昏の色は『エレメント・オブ・クライム』である、とか語れない(^^;)。

 右の写真は、上がその『エレメント・オブ・クライム』、下が『ガルム・ウォーズ』の各シーン。

 冒頭に挙げた6シーン、特にヘンリクセンの表情と画面の色合いが最高ですね。あと前回吹替版の感想でも触れたけれど、主人公カラの赤のデテイルの意匠がとても映える。映像の落ち着いたトーン、映画が表現しているアイルランドの荒野のイメージがフィルムに横溢している。

◆ロバート・フラハティ監督『マン・オブ・アラン』
 ロバート・フラハティ監督『マン・オブ・アラン』
 押井守監督『ガルム・ウォーズ』の企画の原点になったという、アイルランドを描いたドキュメンタリー。
 宮崎駿がこの映画を観た記憶から、押井守とアイルランドアラン島を訪問。その西欧の北端での文明の荒涼が今回の押井作品の原点になったらしい。
 ということでこのDVDをポチりました(^^)。 届くのが楽しみ。
 Youtubeにもありますね。

◆関連リンク
押井守×鈴木敏夫×川上量生 「タイトル未定」 - LIVE
 押井守と宮崎駿のアイルランド珍道中ほか、押井のSF者時代についても結構深く語られています。
『GARMWARS ガルム・ウォーズ』押井守監督 単独インタビュー(1/2) - シネマトゥデイ
The House That Jack Built (2018) - IMDb
 ラース・フォン・トリアーの新作、こちらになるようです。シリアルキラーの映画。

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