■感想 「みんな、うちのコレクションです」展 @ 原美術館 と 加藤泉作品集“Soft Vinyl Sculptures”
"加藤泉「無題」 2008年/木、アクリル、オイル、石/185×167×110cm/撮影 渡辺郁弘
奈良美智「My Drawing Room」 2004年/ミクストメディア/撮影 木奥惠三"
東京出張の帰りに、久々に加藤泉作品を鑑賞。
原美術展の収蔵品展示会、今回の展示では加藤泉作品はポスターのメインビジュアルになっているこの2008年の「無題」作品のみだけれど、木彫りの巨大作品は今回も尽きぬ魅力を放射していました。
何故僕はこの造形にこんなに魅かれるのか…。まだまだ謎は尽きません(^^;)。
その他作品では、特に奈良美智作品がとてもよかった。
部屋ひとつが奈良画伯のアトリエのように構成されたもので、雑然としているが、とても落ち着く雰囲気の空間でした。作品が順路に並んでいるのでなく、隠し部屋のように扉の向こうに展示されているので、実は最初通り過ぎて見逃しましたw。
そんな方は少ないでしょうけど、観覧時はご注意ください(^^)。
Izumi Kato “Soft Vinyl Sculptures” - IZUMI KATO - 加藤泉
"作品集: Izumi Kato “Soft Vinyl Sculptures”』 定価: ¥4,000.- (消費税別途) A4版/ ソフトカバー/ 96p 発行: Izumi Kato Studio デザイン:重実生哉 ※Nadiff、国立国際美術館ミュージアムショップ、 原美術館&ハラミュージアムアーク ミュージアムショップにて販売中"
加藤泉作品展示は一点だけだったけど、この作品集をショップで買えたのは大きな収穫(^^)。昨年の個展の作品集ということだけれど、展示自体を知らなかったのは不明の限り。
タイトルの通り、ソフトビニールによるフィギュア作品で、作品集の加藤氏序文によると、ビニールの造形に着色していくことで、彫刻作品と絵画作品の中間的な位置づけになっている。
ある部分、加藤氏の彫刻作品と絵画作品の間には、もちろん通底するがイメージ的には作風の乖離部分を形作っているところがあるが、まさにそのミッシングリンクを埋める形の作品が掲載されている。
ビニールの表面に塗られたペイントは、その絵画作品の流れるような色のグラデーションが再現されている。
そして新しいのが、ビニールを熱で変形させた新たな形状の造形。
特に上の上段作品に顕著なようにめくれ上がった顔の表面が裏へねじ曲がった奇妙な造形が新たに解体再構成された加藤作品として、興味深く楽しめる。
下段の木造作品と比べると一目瞭然であるが、その着色のテクスチャーの違いによる発色の差は絵画作品からの3D作品への作風の流入と、さらにその造形の熱により曲げられた変容が異様な迫力を生んでいる。
この作品展の存在を見逃し、そして実物との邂逅を逸したことを反省することしきり。やはり作品展情報をきめ細かくウォッチする方法を探さないといけないですね。
こちらは作品集"Soft Vinyl Sculptures"を眺めるうちの猫。猫の目にこの造形はどう映っているのか。
プリミティブな潜在意識を探索しているような気配に溢れた加藤泉作品は、ある意味、芸術という体系に汚染された我々人間の意識的な作品鑑賞を離れ、より原初的な姿を猫の脳内に映し出しているのかもしれない。
とはいえ、もし目の前にその作品があれば、猫はビニールのめくれ上がった端部に首を擦り付け、自分の痒みの解消に走るだけなのだろうけど、、、。猫の無意識と加藤泉作品の潜在意識とにリンクを見てしまうのも、ヒトの意識のなせる技なのである(^^;)。
◆関連リンク
・原美術館展示作品のプレス向け展示で撮られたこちらのリンク先の写真が素晴らしいです。雰囲気を知るために興味ある方は是非覗いてみてください。僕も唯のブロガーとしては僭越なのだけれど、プレス公開に呼んでもらえるようになりたいものですw。
"原美術館「みんな、うちのコレクションです」 プレスツアーに参加。うち(家)のコレクションということで、かつて邸宅だった美術館の間取りを生かした並びです。こちらはカフェのケーキにもなってる(ケーキはカイワレがついてる)加藤泉「無題」。 pic.twitter.com/lLz3LHL4VV
— 浦島もよ (@monoprixgourmet) 2016年6月8日"
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