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2016.10.17

■感想 『この世界に生きている – 加藤泉 × 陳飛 : LIVING IN FIGURES IZUMI KATO × CHEN FEI』展

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この世界に生きている – 加藤泉 × 陳飛

"2016.9/18-12/18 @富山県入善町 発電所美術館

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加藤泉は、独自のプリミティブな形象をもつ「人」をモチーフに、油彩画と、木やソフトビニールを素材とした彫刻を制作しています。加藤の手から生み出される、胎児や民俗彫刻を思わせる「人」は、時に植物や地と交わり、根源的な生命感を放ちます。平面と立体を行き来する中で表現が磨かれ、迫力やユーモア、愛らしさなどさまざまな表情を見せる存在となっています。

日本で初の発表となる陳飛は、大学で映画を学んだ経験をもとに、物語的な情景や意味ありげなシーンなどを絵画で活写。人間の業を見つめ、時にユーモアも交えて表現しています。それはあたかも一人で創作できる映画のよう。一人っ子政策後に生まれ、欧米や日本の資本主義社会や文化の影響を受け、自国との間で問題意識を抱えながら新しい表現を模索する「ポスト1980年代」の作家です。改革開放後の急激な近代化の中で生まれ育ってきた世代の葛藤を、重層的に描写しています。

本展で、加藤は新作の絵画と3メートルを超える大型彫刻などおおよそ12点、陳飛は大作の新作絵画と彫刻1点を含む約12点の作品を展示します。"

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 カナザワ映画祭の前に、お隣の富山県に立ち寄り、これも念願だった富山の発電所美術館に行きました。

 もちろん御目当ては、加藤泉さんの木造彫刻と絵画。あの土俗的な雰囲気に痺れているBPですので、カナザワ映画祭の時期に、ちょうどこの展覧会開催を見つけた時は、とても嬉しかったので勇んで行きました。

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 発電所の遺跡に佇む加藤泉さんの彫刻、まさに異世界がそこに現れた様な空間が素晴らしい。上の写真は、まさに発電所の発電機と操作パネルの前に展示された木製の彫像とソフトビニール製フィギュア。
 操作パネルのアナログなメカ感とプリミティブな造形の奇妙なコラボレーション。

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 日本の特撮は、その生まれに数々の美術家が参加され、キュヴィズムやシュルレアリスムとの親和性が高いのだけれど、それを刷り込まれている我々世代には、このアートと発電所のメカ感の融合は素晴らしく興奮させるヴィジュアルになっています。

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 富山の融雪の水を讃える山々から流れ着いた水流による発電。その跡地が広い空間の展示スペースになっているこの独特の美術館空間で観る加藤泉作品の魅力は格別です。上の写真の穴は上流から水を通していた穴を効果的に使った展示ビュー。穴の中へ入って眺めた情景も素晴らしいものがあります。

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 そしてコラボ展となっている中国人アーティスト 陳飛の作品。これも発電所の水流のパイプの中を使った展示で右の女性フィギュアを置くなど、空間を利用した展示も魅力的です。

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 陳飛さんは大学で映画を学んでいたとのことで、絵画作品には各種の映画を思わせるビジュアルに親近感を持ちます。
 右の女性の腕には、「FIRE WALK WITH ME」とリンチファン、ツイン・ピークスファンを喜ばせる刺青が。

 富山県入善町の発電所美術館、他に類を見ない独特の展示空間で美術館好きとしてはその展示室だけでなく、建築を見るのも楽しく見所の多い施設です。

 ひとつ残念なことに駅から遠く、バス等の公共交通機関がなく徒歩(1時間以上かかりそう)か、タクシー(15分くらい)で行くしかないため、注意が必要です。自家用車もしくはレンタカー,レンタサイクルをオススメします。

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