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2016.11.14

■情報 『シン・ゴジラ』VFX / CG StealthWorks 米岡馨氏/ 特撮班美術 三池敏夫氏

StealthWorksFXReel_2016 from StealthWorks LLC on Vimeo

thinkingParticles 6によるシン・ゴジラのVFX / StealthWorks CEO 米岡馨氏 « TMSサポート

" 私は9年日本のVFX業界で働き「ファイナルファンタジーXIII」や「SPACE BATTLESHIP ヤマト」等の作品に加わりました。その後ベルリンのPIXOMONDOで 「レッド・テイルズ」、 「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」、「ゲーム・オブ・スローンズ シーズン2」 、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」等に参加した後、バンクーバーのスキャンラインに移り「アイアンマン3」、「300 帝国の進撃」、「ポンペイ」、「カリフォルニア・ダウン」の初期のR&D等に参加しました。

 今のところ主に日本でですが、「Evangelion Another Impact」「ガメラ50周年記念ムービー」「シン・ゴジラ」「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」等の大きなタイトルに参加出来ました。

「ヤシオリ作戦」はゴジラを凝固剤で凍結させるミッションで、StealthWorksはゴジラに直撃させ転倒させるために7個のビルを倒壊させるシーケンスを担当しました。これ程までのスケールの大きい破壊エフェクトは今までの日本のVFXにはありませんでした。このシーンの構成要素は非常に大きいもので、TPのキャッシュは43個あって計520GBの容量がありました。また18個のFumeFXのグリッドがありそれは3.3TBまで達しました。"

『シン・ゴジラ』が見せる特撮のこれまでとこれから
 『シン・ゴジラ』で特撮班美術を担当した美術デザイナー、三池敏夫さん
PART1
 PART2

"「技術的には、日本でもできます。『シン・ゴジラ』のヤシオリ作戦の高層ビルの倒壊は全部CGです。合成素材は現場でも撮っていますが、ビルの破片が飛ぶとか、煙もほぼCGです。CGで全部やるのは可能ではあるけれど、日本映画の制約の中でCG班が全部やるのは大変なことです」

「出来上がりの理想の画は見えていても、与えられた条件の中でそこに行きつく保証は何もないわけです。ミニチュアだったら、その場にある画はできているわけですから、最低限の保証があります。ミニチュアを超えるCGができればどんどん入れ替えるかもしれませんが、タイトなスケジュールで何百カットも仕上げる保険としては、最低限現場で撮った画があれば成立します。全部CGだったら、スタート時点では白紙からのスタートになるから、いいものになると保証できる人は誰もいません」"

 長文になりましたが、興味深い『シン・ゴジラ』のVFXについて、CGを担当されたStealthWorks 米岡馨氏と、ミニチュア担当 特撮班美術 三池敏夫氏のインタビュー記事。
 まずハリウッドのレベルに追いつき/追い越したと感じられた「ヤシオリ作戦」のビル破壊CGシーン。まさに米岡氏がハリウッド大作で経験された蓄積が、庵野秀明/樋口真嗣/尾上克郎各氏と日本スタッフと融合して生まれた名シーンであったことがわかる。

 三池敏夫氏は、CGはどこまで完成度を上げられるか、時間との勝負となる際にリスクが大きな課題になる、ということを語られている。ミニチュア特撮に関しては、どちらかというと今後は衰退する方向で、技術の温存を特撮アーカイブで物と制作の両面で維持していく必要性が述べられている。

 特撮ファン、ミニチュアシーンにワクワクしてきたファンとしては残念な気分になるがこれも時代の趨勢で致し方ないことかもしれない。

Shirogumi x StealthWorks Shin Godzilla DestructionReel from StealthWorks LLC on Vimeo.

『シン・ゴジラ』が見せる特撮のこれまでとこれから
 『シン・ゴジラ』で特撮班美術を担当した美術デザイナー、三池敏夫さん
PART1

"たとえば、手前に街燈とか街路樹があって、その奥に家とか雑居ビルが広がり一番奥にゴジラが立っている画を想像してください。すべてをひとつの画面に収めたい時はどうするか。

「それぞれの大きさを変えます。怪獣映画の基本は25分の1ですが、画面手前の街燈なんかは10分の1とか15分の1で大きく作ります。小さいものをカメラに近づけようとするとぼやけてしまうので、カメラからの距離は、被写界深度(ピントが合っているように見える被写体側の距離の範囲)を考えると、なるべく離します。カメラからは離れているけれども画面では大きく見せる必要があります。ライトをいっぱい当てて絞り込むというのが特撮の基本です」"

 特撮が培ってきた映像表現の工夫がここで述べられている。
 これはミニチュアシーンについての発言だと思うが、僕が知りたかったのは、こうした特撮のノウハウがCGシーンにも適用されたかどうか。
 CGワールドで街全体を精緻にモデル化すれば、リアルな破壊シーンはできるだろう。しかしそこにこうしたミニチュア特撮の工夫点を適用したらどうなるか。

 CGデータ作成の節約と、ある部分円谷英二等により蓄積された映像のダイナミズムを生み出す工夫がCGワールドでも縦横無尽に映像に迫力をもたらす方向に活躍するような気がするのだけれど、、、。

 ネッドで見ててもあまりそうしたところは触れられていないが、今度出る予定の『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』でそうしたミニチュア技術によるCGの活性化みたいなところが述べられているのを楽しみにしています。

◆関連リンク
Kei Yoneoka(StealthWorks) "Evangelion Another Impact" DestructionFX Reel - 米岡馨氏によるアニメーター見本市公開のリアルエヴァ作品破壊エフェクトリール
カラー、東宝, 庵野秀明『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』

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■感想(2) 「館長庵野秀明 特撮博物館」 ミニチュア特撮の未来
 CGと特撮技術の融合について、以前書いた記事です。

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