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2017年2月

2017.02.27

■パノラマレポート 長良川うかいミュージアム-岐阜市長良川鵜飼伝承館-

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長良川うかいミュージアム-岐阜市長良川鵜飼伝承館-

 岐阜のうかいミュージアム、行ってきました。
 でかい鵜の立像に笑いw、鵜飼い舟を挟んで直角に置かれたスクリーンのデモンストレーションに、少しだけ究極映像を感じ、金華山の薄い雪化粧に感嘆して帰ってきました。
 上記写真の下側が鵜飼船のディスプレイ展示と映像を組み合わせたデモンストレーション。直角に置かれた二つのスクリーンに鵜飼の様子が、実写とCGで映し出され、立体的な表現をしている。まだプロジェクションマッピングが登場する前に作られた、その前哨的な展示形態としてみることができる。

 この日はすでに終わっていたが、土日は雨翔による鵜飼の生の実演もあるようなので、上記HPで実施有無と時間を確認し、次は観てみたいものです。

 ENTAPANO で撮ったVRパノラマ写真は以下に掲載。スマホでグリグリしてみてください(^^)。

Entapano VR (究極映像研)

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2017.02.24

■感想 佐藤信介監督『アイアムアヒーロー』


「アイアムアヒーロー」予告 - YouTube

 佐藤信介監督『アイアムアヒーロー』録画初見。
 先日の『サバイバルファミリー』に続き、世界(というか日本)終末もの。予算は矢口作に比べて、ヒトケタくらい上な感じ。ZQN(ゾキュンと名付けられたゾンビ)のメイキャップや街の崩壊ぶりのスケールが大きい。

 そして、ゾンビ物として出色は、特に冒頭の主人公の恋人の描写とそれに続く街の描写。アパートのドアから主人公の覗く部屋の光景、造形、動きともに素晴しい。
 その後の車が絡むアクションシーンと、藤原カクセイ氏の特殊メイク・特殊造形の完成度の高さで、迫力の映像となっている。まさに海外に並ぶゾンビ映画の誕生である。

 クライマックスはライフルによる大殺戮。いろいろと工夫され見せ場も多く堪能できるが、人体崩壊描写を観るのが得意でない僕はもう満腹を通り越した状態にw。

 というわけで、ゾンビ映画としての完成度の高さはよくわかったのですが、趣味の問題で、僕は『サバイバルファミリー』派です(^^;)。
 でも『アイアムアヒーロー』の続篇、激しく観たいです。

◆関連リンク
アイアムアヒーロー - Wikipedia
『 アイアムアヒーロー 豪華版 [Blu-ray] 』

"ドキュメント「アイアムアヒーロー」
   佐藤監督はじめ、制作スタッフの撮り下ろしインタビューを収録した
   スペシャルメイキング映像!"

 このメイキング、観てみたいものです。

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2017.02.22

■感想 矢口史靖監督『ザバイバルファミリー』


「サバイバルファミリー」メイキング特番 前編 - YouTube

 矢口史靖監督『ザバイバルファミリー』@109シネマズ名古屋、観てきた。
 こういう終末的な状況に人々が放り込まれる設定に昔から惹かれる。なぜと言われても困るけれど、あきあきする日常からの現実逃避願望の一種と、あとSFファンの経験を活かしw、自分は終末状況に他人より適応して生き残れるんじゃないか、という全く根拠のない自信みたいなものがあるから、だと思う(^^;)。おそらくこの映画の状況に放り込まれたら、電気に頼り切って生きている私のような人間は、最も弱い部類でしょうけど、、、w。

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 この映画、淡々とした日常から始まって、まさにそんな状況を丁寧に描き出している。大停電プラス電気的反応が全てOFFOFFになってしまった世界。それによって奪われる文明。当たり前の日常がグズグズと崩れていく様がまずは心地いいw。

 そして描かれる主人公家族のSF練度の低さ。停電でしかも電池で動くものも全て止まって、道路に動かなくなった車がゴロゴロ放置されているのに、長距離移動のために飛行場を目指すとか、ありえない悲喜劇で数々笑かして見せてくれる。

 一般の人の電気的な知識はこんなのが平均的なんじゃないか、と監督が考えた結果なのだろうけれど、それにしても理系的、工学的な知識の水準が低すぎるのが気になる。一般人より監督の工学的知識の低さが露呈しているようで、コメディとしてはいいかもしれないけれど、もう少し理系レベルを上げても良かったのじゃないかとw。

 特にSF考証好き系の方は、観に行くと腹がたつと思うので、ご注意くださいw。(一番言ってはいけないのは原発のメルトダウンが描かれていないこと。最近、311後の映画としてそうした状況を背景に描く映画が複数出ているのに対して、あまりに潔い矢口監督の映画スタンスには心救われます。いい意味でw)

 そんな非日常感を大笑いして楽しんでいると、クライマックスである仕掛けがあり、うまく映画を大団円してくれている。変に文明批判とかに陥らず、なかなかの佳作だと思う。

 欲を言うと後半日本の人間の数が恐ろしく減少しているように見えてしまうのが残念。もっと田舎に人が移動しているだろうし、それによる食料の奪い合いとかパニック的な終末世界が訪れているはずなのに、矢口映画の、いつものほのぼの能天気なワールドのにおいがあるのは、SFパニック映画的には残念なところだった。

 でもクライマックスの、ある力強い文明の姿が映画的に素晴らしい映像になっていたので、僕は好きな映画になりました。

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2017.02.20

■感想 園子温 中篇小説『毛深い闇』

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毛深い闇 :園 子温|河出書房新社

" 少女の眼から角膜を剥がす不可解な殺人事件。女刑事の娘・切子は母親より早く犯人に辿り着こうと悪魔画廊を探るのだが!?

 世界的映画監督による衝撃の小説。高橋源一郎・村上龍氏推薦。

著者コメント     今まで書いてきた小説は、映画から想を得た、いわば“ノベライズ”だった。今回初めて小説をオリジナルで書いた。この作品こそ、自分の小説デビュー作だ。"

 園子温の中篇小説『毛深い闇』を読んだ。
 書店で手にとって、画家 篠原愛による表紙に衝撃を受け、一気読み。

 ミツコという名の女の死体から角膜を剥がす豊川市の連続殺人。それを追う刑事の娘 切子の魔を描く詩的小説。

 ファミレスにたむろする切子が作った少女三人の集団"退屈同盟"。暴走する夢想と現実化する妄想。自転車事故で自らも角膜を一度失った切子、父の交通事故による死が落とす彼女の影の闇。

 ラブクラフトを紐解き、そして近所の店を"悪魔画廊"と名付け、貼りつく妄想。

 切子の描写する地方都市 豊川の青空、そこに描かれる父への想いの切なさと、彼女の影の中で育っていくどす黒い闇のコントラストが凄い脳内イメージを形成する暗黒小説。

 園子温のその映画作品の強烈さに、さらに繊細な幻想を掛け合わせた佳作です。

◆関連リンク
Ai Shinohara 篠原 愛 - Facebookタイムライン 篠原 愛 『毛深い闇』装丁

"映画監督・園子温さんの小説『毛深い闇』の装丁に、自分の油彩作品を使って頂きました。河出書房新社さまより発売されています。"

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Ai Shinohara/篠原愛(公式HP)
 こちらにアップされているトップ画像を引用しましたが、素晴らしいです。

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2017.02.15

■感想 大童澄瞳『映像研には手を出すな!』第1巻

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「映像研には手を出すな! 1」第1話 試し読み  小学館公式

    " アニメは「設定が命」の浅草みどり、カリスマ読者モでアニメーター志望の水崎ツバメ、金儲けが大好きな美脚の金森さやか。
   ダンジョンへ、戦場へ、宇宙へ--想像の翼を広げて、電撃3人娘が「最強の世界(映像)」を創り出す!    

 「月刊!スピリッツ」連載時よりSNSで「すげえ漫画が始まった!」と驚異の拡散!

〈 編集者からのおすすめ情報 〉
ドラえもん、宮崎駿、そしてザリガニが好きな方、設定・世界観・背景フェチの方には絶対刺さります!

第1話 最強の世界 第2話 映像研、爆誕す!
第3話 無給! ブラック・パラパラ漫画 第4話 映像研の災日
第5話 手間を減らして派手にしろ!! 第6話 1日48時間労働の危機
第7話 鉛筆を強く握れ! "

 サンプル 第1話がリンク先で読めます。波長があった人は是非1月に出た第1巻を読んでみてほしい。

 スーパーアニメ一ターを目指す少女たちの物語。タイトルの「映像研」に同じ映像研仲間として、強烈にシンパシィを感じて(^^)、第1巻読んでみました。

 途中、たとえば「井上さんが作画監督のアニメが今日から始まるんだ!」というセリフがあったり、作画ファンにも堪らないくすぐりが随所にあります。もちろんこの名前は、カリスマアニメーター井上俊之氏のことではないか。そして「映像研」の名に相応しい物語が展開する。

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 人物はアニメ的な省略の効いたデザイン。そして背景がとても凝っていていい。右引用画に示すように『ブレードランナー』風のデッドテックなイメージとジブリの構造物との融合体的なアニメファン、SFファンの郷愁を誘うテイストになっている。

 また物語は、舞台となる柴浜高校(この名前がまたレトロ! 落語ファンの琴線もさすりますw)で、新設された同好会である、映像研究会が校内の予算獲得に向け、短篇アニメを制作するところから始まる。

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 部室の確保から、ストーリー、設定、キャラクター、イメージ画と物語の進行とともに制作過程が刻々と描かれる。主人公達がそれらをイメージする時に、芝浜高校は未来都市になり、部室の椅子が宇宙機になり、浅草みどりがお年玉をはたいて買ったリュックは、生命維持装置に変わる。学生生活の部活動の夢想が広く宇宙にまで羽ばたく気分が、漫画の媒体で最大限活きていて、あの高校生独特の精神世界が見事に活写されている。

 第1巻の途中で主人公が宮﨑駿監督『未来少年コナン』を観るシーンがある。まさに本作は『未来少年コナン』の直系の雰囲気を醸し出しており、若いファンだけでなく、往年の宮崎ファンにも優しいw、広い世代の漫画映画ファンに受ける絵柄と物語になっている。特にメカデザインの丸っこさは、コナンメカを彷彿とさせる。

 また何回か出てくる「面白くなってきやがった」というのは言わずもがなの『カリオストロの城』からの引用かとw。

 この漫画家の名前 「大童澄瞳」、ペンネームと考えられるが、字義を考えて眺めてみると、まさに『未来少年コナン』直系、漫画映画の明日を担って頂ける素晴らしい名前ではないだろうか。

 このまま人気が拡大して、スーパーアニメーター達によるテレビアニメ化/漫画映画化されることを望むものである(^^)。

大童澄瞳氏 対談!!
【単行本発売記念】大童澄瞳×りょーちも、魂のアニメ対談!【映像研には手を出すな!】 - コミスン(comic soon)

"大童 母が、「ルパンは緑まで」「ウルトラマンはセブンまで」という感じの人で。怪奇大作戦みたいなのが好きで、僕からの着信音はレッドキングで、姉からの着信音はバルタン星人っていう......。

ちも なぜこういう作品を作るようになったのか、すごく感じるところが多いです。全体としては、すごい昭和なんですけど、舞台がどこなんだろうというのがわからなかったので、この人はどういう時空を生きているんだろうって。
大童 高校時代には、後輩から「あなたは第一世代オタクのコピーだ」って言われました。
ちも それを断言できる後輩もおかしいよ!(笑)

大童 僕は玩具をあまり買ってもらえなかったので、子供用のハンガーをメーヴェに見立てて、モモンガのぬいぐるみを載せて『風の谷のナウシカ』のコルベットに追いかけられるシーンを......てれれってってて~♪というのをずっとやっていて。"

 なんとりょーちも氏との対談! そして大童氏のルーツが語られる。
 素晴らしいお母さんをお持ちのようです! まさに直系!

◆関連リンク
大童澄瞳 - Wikipedia
 23歳にしてこの漫画映画スピリッツ、素晴らしいです。
大童澄瞳:単行本発売中 (twitter)
デンノー忍者こと大童澄瞳です。 - ザリガニを釣れ!
 ブログだけれど、まだ記事は2つだけです。
「デンノー忍者」のプロフィール [pixiv]
 オリジナルのイラストが多数見られます。
想像力が暴走する、アニメ制作JK青春冒険録! 大童澄瞳『映像研には手を出すな!』/アニメ評論家・藤津亮太のアニメな?マンガ【第4回】

大童 澄瞳『 映像研には手を出すな! 1』(Amazon)


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2017.02.13

◆感想 宮﨑駿監督『風立ちぬ』 白い服の少女と漫画映画監督の救済、その完結

 前回の記事で書いた宮崎駿の作品モチーフとして描かれ続けている「白い服の少女の救済」について、『風立ちぬ』との関連で思うところあり、以下、記してみます。

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 何度目かの『カリオストロの城』がテレビ放映された昨年末に、ラストまで目が離せなくなって、十数回目を観てしまった。
 そのラスト。テーマ的にも、宮崎駿終生の「白い服の少女の救済としての浄化」を最も高度に描き出した傑作であると再確認。

 宮崎駿のこのテーマについては過去にこんな記事を本ブログに書いた。

■BS アニメ夜話 『カリオストロの城』

" 白い服を着た少女について。
 『宮崎駿の原点―母と子の物語』という大泉 実成が書いた本の中に非常に興味深い宮崎の子供時代のエピソードがある。あまりに後の作品にピッタリはまりすぎてかえって嘘くさく思えるエピソードなのだけど、、、。

 手元に本がなく記憶で書くけど、東京大空襲の中で宮崎家の自動車に乗せてほしいと言われたが、もう上院に余裕なく助けられなかった少女。
 それが原罪となって、全ての宮崎作品の感情的描写の根底にあるように思います。死んでしまった少女が持っていた無限の可能性。宮崎の描く少女(女性)のキャラクターは、その生きられなかった未来の可能性の一つ一つの姿なのかもしれません。

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 そしてその少女の救済、それが最も昇華した形が、『カリ城』のクラリスと『未来少年コナン』のモンスリーを描いた「大津波」(白い服ではないが、、、)。

 どちらも記憶の中の少女の姿がキービジュアルとなり(それは空襲の業火の中で宮崎の心に焼き付いた空襲で死んでしまったかもしれない少女の姿)、物語の中でその記憶の少女の成長した後の浄化を見事に描き出しています。"

 宮崎駿の映画で、この戦火/災害の業火の中に佇む白い服の「少女の救済」がそのテーマの中心にいることは数々の作品で明らか。上に挙げた以外にも、「さらば愛しきルパンよ」『風の谷のナウシカ』「On Your Mark」『ハウルの動く城』『もののけ姫』等々、監督作以外にもテレビや映画のシーン担当としても同様のテーマは枚挙にいとまがない(一度いつかしっかり確認し、まとめてみたい)。

 あと宮崎が漫画映画を志すきっかけとなったと言われる『白蛇伝』の主役もまさに白娘なのである。

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 この文脈で考えた時に長篇最後の作品『風立ちぬ』は、大震災の業火の中で助けた「白い服の少女」と主人公を描いた物語となっている。

 主人公の飛行機設計者堀越二郎は、その設計工房がまるで初期の長編漫画映画スタジオのように描かれていることから、おそらく監督自身を模したキャラクターなのであろう。

 そして『風立ちぬ』では、今までの宮崎作品で描かれなかった監督を模した主人公と白い服の娘、その二人の結婚と後の別れまでが描かれる。
 ついに結ばれ、そしてそのラストは、当初の絵コンテでは死んだ妻が迷宮から「来て」と呼びかけ主人公がそこへ旅立つはずだった物語構成だった。

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 大空襲の中で死んだ少女と一緒になり、そして彼女の元へ宮崎が赴くことを(物語として)ついに決意したかの様に描かれた『風立ちぬ』。

 それは宮﨑駿という一貫して「白い服の少女の救済」を描いてきた漫画映画監督自身が、その終生のテーマの集大成を意図して、まさに最期の作品として構想された作品と考えることができる。

 出来上がった作品は、ご存知のようにそのラストは国民作家のエンターテインメント作品として、あまりにブラックなセリフは一文字改変され「来て」が「(貴方は)生きて」と変更されている。

 これにより当初の意図の、白い服の少女との迷宮への旅立ちという、宮崎監督自身の思いを微妙に離れ、その監督の救済を描くことになってしまったという皮肉なオチにも受け取れます。

 まさにこれこそ作家の「業」。

 というわけで、終生のテーマに一応のピリオドを打った監督が、今まさに構想しているという長編次作で何を描くのか、期待してます(^^;)。

◆関連リンク
・当ブログ記事 宮崎駿監督『ハウルの動く城』と少女の救済

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2017.02.10

■感想 荒川格ディレクター NHK『 終わらない人 宮﨑駿』70分版

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70分版、未公開シーンあり。 宮﨑 駿に再び火がついた!
♢終わらない人 宮﨑駿 |NHK_PR|NHKオンライン

宮﨑さんのインタビューが追加され、感情の動きがより感じられる内容となっており、番組の試写を見た人いわく「宮崎さんの気持ちがよりわかった」とのこと。番組担当の荒川格ディレクターも、「Nスペとはひと味変えて、“宮﨑駿”がいかに蘇っていったか、 宮﨑さんの感情とともにわかるように作っています。」とコメント。

 未公開シーン追加版、「毛虫のボロ」現場での宮崎駿の制作者としての闘志が燃えてくる過程の生々しい記録としても、十分に面白いのだけれど、今回も僕が注目したのは、新しい長編企画に関する部分。

 このドキュメンタリーでは、ドワンゴのディープラーニングAI CG作画を観て「生命への冒瀆だ」とコメントした後に、長篇企画が始まってる様に見える。
 そして宮﨑駿の「触れてこなかったものに挑む」という発言から、『ナウシカ』漫画版7巻のテーマにアニメーションで挑むのではないかと邪推してしまった。

 つまりあれだけ生命の実像を描いてきた宮崎アニメの現場に近いところにいながら、その核心部分に対して「冒涜」するような映像を見せるジブリ中心スタッフである川上量生プロデューサー見習いの所業。それを見た宮﨑駿の絶望感はいかばかりのものか。「毛虫のボロ」でCGに触れ、恐らくその理解の延長で川上AI CG提案を見たであろう宮崎。その時の気持ちから、新しい長篇を作らなくてはいけないのではないか、という想いがメラメラと燃えてきたのは想像に難くない。

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 「生命への冒涜」に対して、最も宮崎が清濁併せ持つ「生命存在」を描き切った自作『風の谷のナウシカ』漫画版7巻を想起したのではないか、というのもあながち邪推と言い切れない、と『母をたずねて三千里』『未来少年コナン』からの、40年来の宮崎ファンである僕は直感的に思うのだ(^^)。

 もし長篇企画が本当にそれなら、これはとんでもない挑戦になりますね。世界でも稀代の、生命の本質に迫ったあの20世紀SFの最高傑作の一本『風の谷のナウシカ』漫画版7巻の映画化。

 そうか、場合によっては庵野秀明との共同監督の手もあるかも!(妄想ですがw)。
庵野があの『風の谷のナウシカ』漫画版7巻の映像化に熱心な気持ちを持っていることはいくつか語られている(主にジブリ鈴木敏夫Pとの対話とか)。

 もしそんな企画が現実になったら、宮﨑駿の漫画映画人生はまさに素晴らしい大団円となる気がする。『風立ちぬ』が戦時中の、宮崎の「白い服の少女」という創作のネガ→ポジ 根本モチーフに終幕をもたらしたものなら、この『風の谷のナウシカ』の新作は、宮崎生命観のクライマックスを描写するのに最もふさわしい。

 この妄想が妄想でなく実現することを、究極映像研は今後の宮崎新作の行方を見守っていきたいと思う(^^;)。

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2017.02.08

■感想 スコット・デリクソン監督『ドクター・ストレンジ』DOCTOR STRANGE


25 DOCTOR STRANGE Facts You Must Know - YouTube

 『ドクターストレンジ』IMAX 3D 字幕版を109シネマズ名古屋で観ました。

 最初にストレンジが見る時空のねじれシーンが凄かった。『2001年 宇宙の旅』リスペクトなシーンにかぶる眼や手が増殖した奇想映像がIMAXの大画面に立体映像として炸裂!ここと後半の香港の街の破壊の超絶映像だけでも観る価値がある映画かと思う。

 3D効果もなかなかのもので、かなり画面手前に飛び出るような演出もあり、立体映像ファンとしても満足。奥行きの彼方まで続く立体視空間、惜しむらくはそれぞれのシーンがすごいスピードで動いていくため、立体視でじっくりと画面全体を堪能できないところ。予告篇にもある、街が立体的に縦横高さ方向に積み木細工のようにうごめくシーン、ここはじっくりと隅から隅までその空間を堪能したいものです。

 そうした映像の出来に対して、残念ながら、物語はその奇想を支えきれず、映画全体としてはマーベルでは平均点くらいの作品だったかな、と。

 あとこの奇想映像技術があれば、神林長平『猶予の月』等現実改変奇想SFの映像化も可能ではないだろうか。
 そしてこの映画のレビューは、是非ともイアン・ワトスンにお願いしたいものです。

 最後に109シネマズ名古屋に苦言。今回、3Dはまたもや字幕版のみ。
 せっかくの大画面での3D効果が台無しなので、3D吹替え版での今後の上映を切に望みます。

◆関連リンク


Behind the Magic: Creating the Mirror Dimension in Doctor Strange - YouTube
 あのシーンのメイキング。

3D3D3D -ステレオ3D情報ブログ- : 「ドクター・ストレンジ」 3D初見レビュー
スコット・デリクソン監督(wiki)

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2017.02.06

■写真 「名古屋駅前 スパイラルタワー 他」@ 簡単パノラマVR写真 | Entapano VR

Entapano VR butfilp(究極映像研究所)

 VR写真を1ショットで撮れるカメラ Entapano 2 のモニタ品を株式会社インタニヤさんからお借りしたので、撮影したVR写真の第2回目のご紹介。
 上記リンクに僕が撮影したVR写真が掲載されています。
 アップデートしたのが、スパイラルタワー 他の名古屋駅前の光景。

魚眼レンズ一体型カメラ Entapano 2| Entaniya

"Entapano 2はシャッターボタン1つで水平視野250°の超広角な魚眼写真を撮影できるカメラです。 たった一枚の写真で目に入る全ての景色を写すことができます。

Entapano 2で撮影した写真は「Entapano VR」に登録すると グルグルと動かせる臨場感たっぷりのパノラマ写真として楽しめます。"

 この写真は、マウスで操作すると周辺画像が見渡すことができます。
 スマホでアクセスすれば、スマホを持つ角度を変えるだけであたかも周囲を見回している感覚で画像が動きます。

 今回は前回の水平方向にグルグル回せるパノラマ写真に加えて、上空を中心に光景を見渡せる画像も追加してみました。

◆関連リンク
簡単パノラマVR写真でPR | Entapano VR モニタ募集 200名までとのことです。まだ現時点では受け付けられていますので、興味ある方はリンク先で詳細確認を。
ENTANIYA コンパクトデジタルカメラ 超広角魚眼レンズ一体型カメラ Entapano 2(Amazon) こちらでカメラが発売されています。

・当ブログ前回記事 情報 簡単パノラマVR写真 | Entapano VR

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2017.02.01

■情報 押井守監督 “Sand Whale and Me” 『スナクジラと私』


Mamoru Oshii's "Sand Whale and Me,"

"A female paratrooper. A the distant future. A vast desert. With limited supply of food and water, her only hope is to catch a Sand Whale from a pack. Catch the trailer for “Sand Whale and Me,” a 25 minute, 5 part short film from legendary director Mamoru Oshii (Ghost in the Shell, Patlabor) and Production I.G. Premiering in Toonami on March 18th!"

Toonami Streams Trailer for Mamoru Oshii, Production I.G's 'Sand Whale and Me' Micro-Series - News - Anime News Network.

"The series will premiere on March 18 to celebrate Toonami's 20th anniversary. Toonami describes the project as a 25-minute, 5-part short film."

佐伯日菜子 主演 押井守監督先品の最新動画公開されました!: 佐伯日菜子NEWSブログ.

"佐伯日菜子 主演、押井守監督作品『Sand Whale and Me』、アメリカのテレビCARTOON NETWORK「Toonami」20周年記念作品の5本のショートムービーが2017年3月18日よりオンエアされます!"

押井守 情報サイト 野良犬の塒 - 検索結果

"公開は北米3月18日で、タイトルは『Sand Whale and Me(スナクジラと私)』。『真・女立喰師列伝』『アサルトガールズ』に出演した佐伯日菜子氏のほか、やはり『アサルトガールズ』に出演した藤木義勝氏も出演。音楽は川井憲次氏。撮影は『アサルトガールズ』と同じく大島で行われているとのことです。"

 押井守監督のTOONAMI(カトゥーンネットワーク)向け短篇の予告篇と関連情報です。「25分で5本のショートムービー」なのか「25分×5本」なのか不明ですが、英語の紹介文からは「25分で5本のショートムービー」ということなのでしょうか。

 サンド・ホェール:砂クジラの迫力ある映像が観られますが、どこからが新作か。

 主演の佐伯日菜子さんのブログだと「ロケ地からのファーストメッセージ」と新作として撮られている部分があるようです。

 「アサルトガールズ」(70分)より追加されてそうで楽しみです。
 下には押井監督のロケ地(大島)でのコメントのようです。

Toonami Facebook

"Presented in a hybrid live action/CG style, "Sand Whale and Me” is the story of a female paratrooper in the distant future who is stranded in a vast desert. With limited supply of food and water, her only hope is to catch a Sand Whale from a pack. If she can’t, her life may just hang in the balance."

◆関連リンク
押井守監督は、この15年で何を見て感じてきたのか? | アニメイトタイムズ

"「映像作品にとって、絵コンテの有無」に対して、監督はどう考える!? ──『ガルム・ウォーズ』を経験して、押井さんの撮り方も変わったんですか?

役者との付き合いもかなり変わったし、撮り方も変わった。撮り方でいえば『TNGパトレイバー』(2014年)(*8)が一番の転機になった。「絵コンテなんて絶対切らないぞ」って、カットで撮るのをやめた。『TNGパトレイバー』では、最初にセットの中で役者さんの好きに芝居してもらった。「台本読みながらでもいいから」って。それをじっくり眺めて「じゃあ、カット割りを発表します」と毎日その場で決めていった。キャストを眺めている間に、与えられた条件で、どうカットを決め撮影するかを考える。なので、カメラを置く場所も瞬間的に決める。これをやりだしたら、めちゃくちゃ楽しくて、やめられない。だって日々自分が試されているんだもん。まあ、『アヴァロン』(2001年)(*9)までは、鉄のコンテ主義でやってたんだけどね(笑)。"

 12月に公開された記事ですが、読んでなかったのでシェア。
 演出方法の変遷等、興味深いインタピューです。
 先日紹介した『シン・ゴジラ』での庵野総監督演出と通じますね。



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