■感想 園子温 中篇小説『毛深い闇』
" 少女の眼から角膜を剥がす不可解な殺人事件。女刑事の娘・切子は母親より早く犯人に辿り着こうと悪魔画廊を探るのだが!?
世界的映画監督による衝撃の小説。高橋源一郎・村上龍氏推薦。
著者コメント 今まで書いてきた小説は、映画から想を得た、いわば“ノベライズ”だった。今回初めて小説をオリジナルで書いた。この作品こそ、自分の小説デビュー作だ。"
園子温の中篇小説『毛深い闇』を読んだ。
書店で手にとって、画家 篠原愛による表紙に衝撃を受け、一気読み。
ミツコという名の女の死体から角膜を剥がす豊川市の連続殺人。それを追う刑事の娘 切子の魔を描く詩的小説。
ファミレスにたむろする切子が作った少女三人の集団"退屈同盟"。暴走する夢想と現実化する妄想。自転車事故で自らも角膜を一度失った切子、父の交通事故による死が落とす彼女の影の闇。
ラブクラフトを紐解き、そして近所の店を"悪魔画廊"と名付け、貼りつく妄想。
切子の描写する地方都市 豊川の青空、そこに描かれる父への想いの切なさと、彼女の影の中で育っていくどす黒い闇のコントラストが凄い脳内イメージを形成する暗黒小説。
園子温のその映画作品の強烈さに、さらに繊細な幻想を掛け合わせた佳作です。
◆関連リンク
・Ai Shinohara 篠原 愛 - Facebookタイムライン 篠原 愛 『毛深い闇』装丁
"映画監督・園子温さんの小説『毛深い闇』の装丁に、自分の油彩作品を使って頂きました。河出書房新社さまより発売されています。"
・Ai Shinohara/篠原愛(公式HP)
こちらにアップされているトップ画像を引用しましたが、素晴らしいです。
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