■感想 荒川格ディレクター NHK『 終わらない人 宮﨑駿』70分版
70分版、未公開シーンあり。 宮﨑 駿に再び火がついた!
♢終わらない人 宮﨑駿 |NHK_PR|NHKオンライン
宮﨑さんのインタビューが追加され、感情の動きがより感じられる内容となっており、番組の試写を見た人いわく「宮崎さんの気持ちがよりわかった」とのこと。番組担当の荒川格ディレクターも、「Nスペとはひと味変えて、“宮﨑駿”がいかに蘇っていったか、 宮﨑さんの感情とともにわかるように作っています。」とコメント。
未公開シーン追加版、「毛虫のボロ」現場での宮崎駿の制作者としての闘志が燃えてくる過程の生々しい記録としても、十分に面白いのだけれど、今回も僕が注目したのは、新しい長編企画に関する部分。
このドキュメンタリーでは、ドワンゴのディープラーニングAI CG作画を観て「生命への冒瀆だ」とコメントした後に、長篇企画が始まってる様に見える。
そして宮﨑駿の「触れてこなかったものに挑む」という発言から、『ナウシカ』漫画版7巻のテーマにアニメーションで挑むのではないかと邪推してしまった。
つまりあれだけ生命の実像を描いてきた宮崎アニメの現場に近いところにいながら、その核心部分に対して「冒涜」するような映像を見せるジブリ中心スタッフである川上量生プロデューサー見習いの所業。それを見た宮﨑駿の絶望感はいかばかりのものか。「毛虫のボロ」でCGに触れ、恐らくその理解の延長で川上AI CG提案を見たであろう宮崎。その時の気持ちから、新しい長篇を作らなくてはいけないのではないか、という想いがメラメラと燃えてきたのは想像に難くない。
「生命への冒涜」に対して、最も宮崎が清濁併せ持つ「生命存在」を描き切った自作『風の谷のナウシカ』漫画版7巻を想起したのではないか、というのもあながち邪推と言い切れない、と『母をたずねて三千里』『未来少年コナン』からの、40年来の宮崎ファンである僕は直感的に思うのだ(^^)。
もし長篇企画が本当にそれなら、これはとんでもない挑戦になりますね。世界でも稀代の、生命の本質に迫ったあの20世紀SFの最高傑作の一本『風の谷のナウシカ』漫画版7巻の映画化。
そうか、場合によっては庵野秀明との共同監督の手もあるかも!(妄想ですがw)。
庵野があの『風の谷のナウシカ』漫画版7巻の映像化に熱心な気持ちを持っていることはいくつか語られている(主にジブリ鈴木敏夫Pとの対話とか)。
もしそんな企画が現実になったら、宮﨑駿の漫画映画人生はまさに素晴らしい大団円となる気がする。『風立ちぬ』が戦時中の、宮崎の「白い服の少女」という創作のネガ→ポジ 根本モチーフに終幕をもたらしたものなら、この『風の谷のナウシカ』の新作は、宮崎生命観のクライマックスを描写するのに最もふさわしい。
この妄想が妄想でなく実現することを、究極映像研は今後の宮崎新作の行方を見守っていきたいと思う(^^;)。
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