■感想 矢口史靖監督『ザバイバルファミリー』
「サバイバルファミリー」メイキング特番 前編 - YouTube
矢口史靖監督『ザバイバルファミリー』@109シネマズ名古屋、観てきた。
こういう終末的な状況に人々が放り込まれる設定に昔から惹かれる。なぜと言われても困るけれど、あきあきする日常からの現実逃避願望の一種と、あとSFファンの経験を活かしw、自分は終末状況に他人より適応して生き残れるんじゃないか、という全く根拠のない自信みたいなものがあるから、だと思う(^^;)。おそらくこの映画の状況に放り込まれたら、電気に頼り切って生きている私のような人間は、最も弱い部類でしょうけど、、、w。
そして描かれる主人公家族のSF練度の低さ。停電でしかも電池で動くものも全て止まって、道路に動かなくなった車がゴロゴロ放置されているのに、長距離移動のために飛行場を目指すとか、ありえない悲喜劇で数々笑かして見せてくれる。
一般の人の電気的な知識はこんなのが平均的なんじゃないか、と監督が考えた結果なのだろうけれど、それにしても理系的、工学的な知識の水準が低すぎるのが気になる。一般人より監督の工学的知識の低さが露呈しているようで、コメディとしてはいいかもしれないけれど、もう少し理系レベルを上げても良かったのじゃないかとw。
特にSF考証好き系の方は、観に行くと腹がたつと思うので、ご注意くださいw。(一番言ってはいけないのは原発のメルトダウンが描かれていないこと。最近、311後の映画としてそうした状況を背景に描く映画が複数出ているのに対して、あまりに潔い矢口監督の映画スタンスには心救われます。いい意味でw)
そんな非日常感を大笑いして楽しんでいると、クライマックスである仕掛けがあり、うまく映画を大団円してくれている。変に文明批判とかに陥らず、なかなかの佳作だと思う。
欲を言うと後半日本の人間の数が恐ろしく減少しているように見えてしまうのが残念。もっと田舎に人が移動しているだろうし、それによる食料の奪い合いとかパニック的な終末世界が訪れているはずなのに、矢口映画の、いつものほのぼの能天気なワールドのにおいがあるのは、SFパニック映画的には残念なところだった。
でもクライマックスの、ある力強い文明の姿が映画的に素晴らしい映像になっていたので、僕は好きな映画になりました。
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