■感想 ノンフィクションW「ユーリー・ノルシュテインの、話の話。」
ノンフィクションW ユーリー・ノルシュテインの、話の話。 | ドキュメンタリー | WOWOWオンライン
"ユーリー・ノルシュテインには、1981年から制作中の作品がある。切り絵を使ったアニメーション『外套』だ。原作は帝政ロシア時代の作家、ゴーゴリの小説で、社会から見捨てられた貧しい下級役人の悲劇を描いたもの。彼がこの作品にこだわるのは、自己保身と欲望が渦巻く現代にこそ声なき声に耳を傾けることが大切だと考えているからだ。撮影台の上に置かれたキャラクターを一枚一枚コマ撮影していくが、24枚の撮影でわずか1秒の映像にしかならない。しかも、撮影の途中で脚本を修正することがあり、撮り終えたものを作り直すことも。そんなノルシュテインを妻で美術監督を務めるフランチェスカが支える。また、彼と親交のある高畑勲は、進捗状況を聞いてプレッシャーを掛けたくないと語る。 目下、ロシアのアニメ界はソ連崩壊以降国からの製作費支援が減り衰退気味だ。ロシアアニメの未来を憂え行動を起こす彼の姿も追う。(2017年)"
WOWOWのユーリ・ノルシュテインドキュメンタリー録画見。
主に「外套」の撮影風景とロシアアニメーション界の状況。「外套」は23分できたところで2001年に制作が止まっていた。週に1日スタジオで作品にまつわるグッズをノルシュテイン自らが販売することでスタジオの維持費を得ている。このドキュメント撮影の日は、1日で売り上げが14万円とか。
ロシアの資本主義政府からは支援金を得たくない、と映画監督アレクサンドル・ソクーロフに語る彼は、ソビエト時代「検閲があったからこそ映画の芸術性が保たれていた」と話す。
長くノルシュテイン作品の美術監督を務める奥さんのフランチェスカ・ヤールブソワさんは、大病を患い「外套」の美術は降りたのだという。
そして今年2月に「外套」の撮影が再開。
切り絵の主人公アカーキーのアニメートについてノルシュテイン自身により精緻を極める何重ものセルを重ねて動かしながら語られて、とても興味深い。
またフィルムカメラがセットされたノルシュテイン設計のマルチプレーン撮影台。一番上のガラスには埃がわざと溜められている。これにより繊細な光の拡散が得られるのだとか。「ホコリは良き助手なんだよ」と笑うノルシュテイン。
「外套」の一部シーンと舞台となったサンクトペテルブルクの街が実写で紹介される。影の陰影で立体感を持った登場人物たちのなんとも柔らかい全身の表情。全篇の映画館での公開を心待ちにしたいものです。
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