■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第1話
ツイン・ピークス The Return|ドラマ|WOWOW
『ツイン・ピークス The Return』(Season 3の日本タイトル)第1話がWOWOWサイトでネット無料配信中。
僕は昨晩の無料放映を録画したもので第1話、さきほど観ました。
『ツイン・ピークス』ファンとして25年ぶりの新作ということよりも、むしろデイヴィッド・リンチの『インランド・エンパイア』から実に11年ぶりの映像長篇新作というところがポイント。この日をどんなに首を長くしてまってきたか(^^)。
まずはリンチ映像として語ると、11年の間、映画でなくアート作品を発表し続けていたリンチの絵画的なセンスが、新たな映像としてその画面に息づいているという感想を持った。
もちろん旧作で用いられていた絵画的モチーフも今回健全なのだけれど、特に印象的だったのがニューヨークの高層ビルの一室に設えた謎の実験室の映像と、サウスダコタ州バックホーンを舞台にしたある事件の描写。
前者の部屋は、まさにリンチのあの絵画世界が現出したような空間、黒っぽい茶を基調としたリンチアートの雰囲気が濃厚に出ている謎の実験室(特にその無機質な壁)。そしてそこで起こる事件の描写が鮮烈。
『ロスト・ハイウェイ』のサイコジェニックフーガのシーンを一歩進めて先鋭化したイメージ。そこに援用されるリンチ絵画のテイスト。見事な映像への回帰。
後者もまた鮮烈な殺人描写なのだけれど、そこに色濃く出ているのが、フランシス・ベーコン的な肉体の変容。
ネットテレビだからこそ連続ドラマで実現した過激な描写なのだけれど、もうベーコンがその撮影現場に来て、自ら人体の形状と色の描写を手がけたのではないかという凄い出来。
物語の広がりと25年の登場人物たちの経過よりも、それらのシーンが強烈に新しいリンチのドラマの開始を謳いあげ、まさに素晴らしいスタートを切る第1話となっていた。
今回バダラメンティの新作音楽よりも印象的だったのが、上記シーンでも効果的に使用されていたノイズサウンド。サウンドデザインがクレジットによるとリンチ自身なので、まさに作り込まれた音像としてのリンチアートが強烈な精彩を放っている。
このまま、18本、全てがリンチ監督作として描かれるシリーズに大いなる期待を持てる1本でした。 今夜、WOWOWでは2-4話も先行放映されるが、明日からの一週間の仕事と、イッキ見することが勿体なくて、僕は録画して週末を待つことになりそうです。
◆関連リンク
・当ブログ記事 主に『インランド・エンパイア』以降のアート関連
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■情報 デイヴィッド・リンチ展@渋谷ヒカリエ8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery
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