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2017.07.12

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第3話


Twin Peaks - The Cactus Blossoms ("Mississippi") - YouTube

 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第3話、WOWOW録画見。  テレビドラマでありえない実験的な前半と通俗的な場所でのコメディ、今回も見せてくれます。



★★★★ネタバレ注意★★★★




 冒頭の転移するクーパーのシーケンス、今回はなんと宇宙に浮かぶブリキの箱と、その屋上の釣鐘状の何か、そして両目を封印された裕木奈江(たぶん。クレジットに"NAIDO"役とある)と彼女の宇宙への落下。「青い薔薇」をつぶやく宇宙を漂うスキン・ヘッド。

 ブリキの箱のへやをノックし続け最後まで現れない驚異の"女の母親"。
 リンチ的オブジェクトに吸い込まれ、RANCHO ROSAと名付けられた町へさらに転移するクーパー。苦しむワイルドクーパーと新登場の3人目の太ったクーパー(左腕がしびれているダギィ・ジョーンズ)。入れ替わりに赤い部屋のソファに現れたダディはいっきに痩せ、そして黒い煙となって消える。

 RANCHO ROSA近郊?ラスベガスのカジノ Silver Mustangへ、黒人娼婦の車でもうろうと移動したクーパーは、スロットに赤いカーテンの幻影を見る。そこにチップを投入し次々に大きな当たりを取るクーパー。ここは赤い部屋の運用としてとても通俗的で爆笑してしまった。おふざけテレビ局コメディ『オン・ジ・エア』を思い出させる怪作ぶり。

 あまりのコメディ的不条理展開にあきれているとシーンは一転、ツインピークス保安官事務所。アンディとルーシーとホークは何か無くなったものを探している。ルーシーが証拠品のウサギのチョコを食べてしまったことを告白。このくだりのコメディも素敵。

 ついに登場する、FBIフィラデルフィア支部のリンチ演じる大声のFBI副支部長ゴードン・コールとアルバート・ローゼンフィールド。ニューヨークのガラスの箱の事件の報告をクリスタ・べル(こちらもリンチの歌姫)演じるタミー捜査官から受けている時にクーパーから入る電話。ゴードンの部屋のキノコ雲とフランツ・カフカの肖像写真が印象的。サウスダコタのブラックヒルズへ向かう3人。

 BANG BANG BARで歌うThe Cactus Blossoms "Mississippi"、今回はリンチのもう一つの音楽趣味であるフイフティーズなテイスト。

 このメモだけ見た人は一体、どんなドラマと思うだろう。凡百の不条理ドラマの枠外を突っ走り続けるリンチワールド。もはや『ツイン・ピークス』の続篇ということはわずか1/5ほどしか意識されず、あと15時間以上続くリンチシュルレアリスムドラマの行く末をワクワクして見守りたい。

◆関連リンク
Part 3 | Twin Peaks Wiki | Fandom powered by Wikia
 ファンサイト、Season 3 第3話の詳細記録。

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