■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第4話
Au Revoir Simone - "Lark" (Twin Peaks 2017)
しばらく夢中に見続けてw、感想をアップしていなかった『ツイン・ピークス』Season 3について、各話レビューの続きを書きます。現在、第7話が終わったところです。いよいよ噂の第8話に突入する前に復習兼ねてw。
★★★★★★★★★★ ネタバレ注意 ★★★★★★★★★★
カジノでミスター・ジャックポッドと呼ばれるに至ったダギー(・ジョーンズとして現生に舞い戻った)・クーパーの物語が続きます。
ナオミ・ワッツ演じるダニーの妻 ジェイニーE・ジョーンズとのやりとりがいちいち笑えます。極め付けはダギー・クーパーが、ネクタイを頭に巻いて食べる朝食とコーヒーのシーン、そしてトイレに行けなくて股を抑えるシーンでしょうか。
息子のサニー・ジムとの目での心の通い合ったような会話もいいです。
ここから入れ替わる前のダギーも、どこか子供心を持ち続けている人物だった気配。
ジャズスタンダード「Take Five」をBGMにした朝食シーンの軽快感と漂うユーモアは今シーズンの一服の清涼剤です。
そしてゴードン・コールが首相補佐官に出世しているシーズン2の登場人物であるデニースとの会話。リンチの演じるゴードンの実直だけれど女好きな描写も味わい深い。自分の絵的な魅力もよく理解しているリンチ絶妙の自己演出ですw。
保安官事務所、ハリーの兄のフランク・トルーマン保安官の登場と、保安官助手(?)になっていたボビー。ひさしぶりに捜査の対象として写真がテーブルの上に立てられたローラ・パーマーの顔を見て、いろいろなことがこみ上げてきて泣き出すボビーの姿が、バダラメンティのローラ・パーマーの曲と相まって、ファンの涙を誘います。このシーン、俄然本来のツイン・ピークスの世界観を思い出させます。やはりこの町の中心には空虚なローラの顔がよく似合う。
ボビーが、父親であるブリッグス少佐が生前最後に会ったのがクーパーで、会った次の日に基地の火事で死んだ、と語る。ブリッグス少佐はブルーブックに関係していたり国家機密である何かに絡んでいて、今回のキーになるような気がするので、興味深い。
保安官事務所に現れるアンディとルーシーの息子 ウォリー・ブランド。なぜに息子の名字がブレナンでないのかが気になりますが、息子の詩人的な言葉が『ツイン・ピークス』の底流に流れるビートニク的な雰囲気を醸し出していて、渋いです。アンディとルーシーが息子を誇らしく眺めているシーンも好きです。にしてもこの若者は本当にアンディの子供なのか(ルーシーをめぐる恋敵のデパートマン、リチャード・トレメインの子供なのか...w)。
この後もウォリーは物語に絡んでくるように思えます。
サウスダコタに収監されているワイルド・クーパーとゴードンの面会。
クーパーの語りの異常さは何なんでしょう。噛み合わない会話の妙も今シーズンの特徴的なポイントですね。にしてもゴードンとアルバートと同行するタミーのプロポーションw。腰をクネクネさせて醸し出されるセックスアピールは強烈です。これもリンチ趣味なのだろうな〜ww。
数年前のフィリップ・ジェフリーズ捜査官にまつわる件でアルバートが語る言葉。
コロンビアの男の名前をアルバートがクーパーに伝え、その後一週間でその男が死んだ、というのは、今後の謎にかかわるポイントかも。
ゴードンはアルバートとの会話で補聴器のレベルを上げて小声で話す。そんなところへコンクリート路面を擦るアルバートの靴の音。ゴードンの脳に突き刺さる鋭い音。ここらは音響設計も担当しているリンチのこだわり。
アルバートが語る「ブルー・ローズ」という言葉も、FWWMにつながるキーワード。ブルーブックとの関係も気になります。
今回は、奇想シーンはグッと少なくなっていた(ダギー家での片腕の男マイクの幻影だけか...?)。いよいよドラマは前作までのツイン・ピークスの物語にリンクし始め、ソープドラマ部分の、ファンには嬉しいあのドラマが帰ってきた雰囲気。
◆関連リンク
・感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第3話
・動画『ツイン・ピークス』ペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」
・感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第2話
・感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第1話
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