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2017.11.27

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第17話


Julee Cruise - "The World Spins" (Twin Peaks 2017) - YouTube

 いよいよ17話、まさに大団円に向かう大きなうねりの回。そしてここに来てジュリー・クルーズのこの曲が流れるラスト!

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 前回がダギー・クーパーによる「明」のツインピークスとすると、今回は悪クーパーによる「暗」のツインピークス。いろんなことがこんな形で集約するとは ! 、という驚き!

 クライマックスの大ネタで、リンチの中で最高のSF映画にいまのところ成就。その結末はまだ来週に持ち越されているけれど、それが今回のラストをひっくり返す雰囲気もあり、まだまだ目が離せない。

 16話は高いテンションがずっと冒頭から維持され、最後までクライマックスのような緊張感が続く。
 いままでの16話分、それだけでなくシーズン1,2と映画版で貼った伏線、ギリギリと蓄えてきたテンションがここへ来て、解放された感じ。いろいろな伏線がラストへ向かって収束し、そして解放されるカタルシス。

 twitterで実況した人たちのコメント読んでたけれど、途中で「ひどい!」と怒ってる人も少数はいたが、大部分がこの急転直下の大団円に興奮しているのが伝わってきた。これでこのシーズン3の18話、DVD/ブルーレイが出た時に、胸を張って大推薦できることが確定(^^)。

 ということを書いて、17話の感想を先週中にあげることができず、実は今回、既に最終回放映後にこの記事をまとめていますが、衝撃の18話については、また来週、落ち着きを取り戻してから書いてみます。ので、今週はこれでご勘弁下さいw。






★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★






 怒涛の展開は、冒頭のゴードンの「ジャオディというネガティブな力」についての語りから始まり、電線を流れる電気と追走する悪クーパー。座標への到達。巨人の登場と黒い鐘群。保安官事務所でのスリリングな展開とルーシーとフレディの活躍。まさかのNAIDOの変異。そして315号室からのトリップ!

 それに続く大ネタは、なんとこんな展開が用意されていたとは!! という驚き。この後はジュリー・クルーズのエンディングまで、涙なしには観られなかった。
 ここからの来週が想像できません。でも貼りまくった伏線は今回の大きな新ネタの導入で、解消の糸口が見えたような見えないような、、、。

 後半のあの3人の登場、序章のリピートとその変容。やはりこれはツインピークスだ(^^)!


◆二つのシーズン3のクライマックスと最終話に向けて
 16話は明のクライマックス、そして17話は暗。
 僕はクライマックスとしてはどちらも甲乙つけがたい感じだった。そして次は ?? 正反合じゃないけれど、明暗合って感じだろうかw?

 25年後のサラの圧倒的狂気のパワーがキーになりそう。
 この流れだとサラがあの8話の少女だったことは確定だろう。
 あの巨大な核のパワーが蛙蛾に集約し口に入った。そのパワーは時空の改訂を超えるということなのかも。

 クーパーは25年前にいるわけで、サラがローラの写真を叩き潰しているのは現在。時空を超えた対決になるのか、それにしても単なるタイムパラドックスに終わらない、凄い展開が待っていそう。

 序章から何かサラって変な印象だった。ずっーと伏線貼ってきてたのだろうかw。それともリンチの無意識は、そこに向かっていたのかw。

「僕らは夢の中で生きている」

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 今までのいろんな現実と幻想のブレは、タイムパラドックスだったのでしょうか。ツインピークスの町に、ふたつのパラレルワールドが交差していた??

 この言葉「僕らは夢の中で生きている」は、文字通りの「夢」ではなく、タイムパラドックスで時間線が変化して、別のパラレルワールドに変化してしまうことを表現してたのでないか。

 つまり、この17話までの時間線の世界のことを、クーパーが25年前に戻って変えてしまうため、幻として消えてしまう「夢」と表現したのではないだろうか。
 
 それにしてもアメリカでは17,18話を続けて放映したらしいけれど、一週間余韻と次週の想像を膨らませる我々日本の観客の方が幸せかもしれない。一週間、この気持ちが延長されたのは喜ばしいかと思うw。

歴史改変とサラ・パーマーの怨念
 今のところ、タイムスリップで時間線を変更して、ローラのあの屍体が存在しない朝、ピートが釣りをする1989.2/23になったという落ちを、サラが蟲パワーで揺り戻しをかけ時空に大きな歪みを与えてるという壮大な展開に見える。

 ストーリー的にもタイムパラドックス物のSFとして、蟲パワーという新機軸でさらにドンデン返しを仕掛けるという大技に見え、次回いかにリンチが暴れようと、時空の壮大な歪みという説明が可能で、リンチ史上最高のSFになったような気がする。

 17、18話がその構成として、物語的に万能のバトンタッチとなっていて凄い。この後、リンチがどこまで暴れるかが見もの。

歴史改変の予測
内藤理恵子 のブログ: 【わかったぞダイアン】旧作ツインピークスと新作ツインピークスの「つなぎ目」がBTTFですんなり分かる!
 歴史改変の件は、仏教学者にして、ツイン・ピークス評論家(WOWOW公式番組出演の)内藤理恵子さんの推定が見事に当たりましたね。

 僕は上の推定を読んでいたので、突然のタイムトラベルと歴史改変はそれほど驚かなかったけれど、それによって、ローラを救ってしまう展開は予想外。

 それにしてもカルト映画作家ディヴィッド・リンチの映像作品が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をベースにしているとは。ロバート・ゼメキスとリンチの時間改変テーマ対談を是非どなたかご用意下さいw。

 しかしあの前シリーズでの信号機とか、伏線として今回の時間テーマにつながる部分、シーズン1,2で既に仕込んであったとすると凄いぞ、リンチ&フロスト!
 前作までではタイムトラベル要素はゼロ。いったいいつからこの展開を考えたか聞いてみたいものだ。

 アメリカではBTTFとツインピークスの読み解きって、既になされてるんだろうか?知りたい。例えば以下、ツインピークスを好きな人向け映画リスト。

Great Movies To Watch If You Liked “Twin Peaks” « Taste of Cinema - Movie Reviews and Classic Movie Lists
 ここでは、BTTF、挙がってないですね。ツインピークスのテイストとは、真逆なので普通挙げないかw。

Julee Cruise ”The world Spins“
Julee Cruise - The world Spins HD ( Twin peaks S2E7 ) - YouTube
 S2E7でのJulee Cruise ”The world Spins“の映像、これは涙なしには見れません、丸太おばさんもいるし…。こうした悲劇を巻き戻したくてクーパーは17話の行動を取った。極めてクープらしい善き行動ですね。

 この歌の歌詞。噛み締めてしまいます。

Julee Cruise – The World Spins Lyrics | Genius Lyrics

"Moving near the edge at night
Dust is dancing in the space
A dog and bird are far away
The sun comes up and down each day
Light and shadow change the walls
Halley's comet's come and gone
The things I touch are made of stone
Falling through this night alone

Love
Don't go away
Come back this way
Come back and stay
Forever and ever

Please stay

Dust is dancing in the space
A dog and bird are far away
The sun comes up and down each day
The river flows out to the sea

Love
Don't go away
Come back this way
Come back and stay
Forever and ever

The world spins."

◆関連リンク
ツイン・ピークス The Return 登場人物相関図
 毎週更新されていますので、最新回を見られていない方は、ネタバレ注意。
[COLUMN] ツイン・ピークス The Return 観察日記(第17話) – | HERE I AM | AKIRA MIZUMOTO WWW.

今回のエピソードなんかを見ていると、前シリーズの30本、劇場版、そして劇場版の削除シーンを集めた『Missing Pieces』を含めた全ツイン・ピークス・サーガを有機的に再構成し、『過去が未来を決定(Dictate)』する壮大な作品になっていることがわかります。

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