■感想 大林宣彦監督×檀一雄原作『花筐/HANAGATAMI』
大林宣彦監督×檀一雄原作『花筐/HANAGATAMI』予告編 - YouTube
大林宣彦監督『花筐』を名古屋シネマテークで、観てきました。『この空の花 -長岡花火物語』『野のなななのか』に続く高密度イメージ圧縮映画第三弾。
今回も冒頭の絨毯爆撃のようなセリフと音楽の密度は圧巻。
前作よりはその過激さは少しセーブされ、後半で大林劇映画に回帰する感じであるけれど、それでも大東亜戦争直前の学生達の生活を活写し、まるで現実と幻想と夢が記憶の断片のように描写される筆致は素晴らしい。
デジタル技術を駆使する、この生涯アマチュア映画魂を失わない作家の凄みの結実。
戦前の学生生活と病床の美少女、まるで吸血鬼のように描写されるその義姉。反戦への意志と戦争に向かう高揚、そして血と性。佐賀県唐津市の「唐津くんち」と呼ばれる極彩色の山車の祭りの映像で描かれる、美しくも混沌としたクライマックスは本篇の見事なクライマックスである。
夢のような映画の中で、リアルな重い現実を体現していた、門脇麦と長塚圭史(とても学生とは見えないがw)の存在感が素晴らしかった。
そして映画館で買ったパンフレットに書いてあった右の記述。
大林監督が2018年に次の新作を予定中とある。次の作品でも映画の革新を先に進めてほしいものです。次回作、期待しています。
◆シナリオ 「花がたみ」
上の写真は、DVD『HOUSE』の特典映像に入っていた、大林宣彦による商業映画デビュー作『ハウス』の映画化成立までの道のりを語った中で、紹介されていた初期『花がたみ』のシナリオ。
商業映画第1作としてこの『花がたみ』を撮りたかったが、東宝からこうした文芸作は東宝の社員監督でも撮れるが大林さんにはもっと斬新な映画を(スピルバーグ『ジョーズ』なような作品を)提案してほしいと言われて、当時11歳の娘 千茱萸(ちぐみ)さんのアイデアを元に『HOUSE』の企画に至る過程が語られている。
そのプロセスについては、以下の最新の大林監督の語りでも聴くことができる。
『HOUSE』の冒頭。檀一雄の娘さんの檀ふみが先生として登場。そして女生徒の手にはカメラ。本作『花筐』との連続性を感じないわけにはいかない。
【宇多丸×大林宣彦】映画について『リビング・レジェンド』と語りつくす!《サタデーナイトラボ》 - YouTube
"サタデーナイトラボ「<最新作『花筐(はながたみ)』公開記念!>大林宣彦 監督 再降臨!!この際だから、巨匠ともう一度、ざっくばらんに映画駄話特集!」"
◆関連リンク
・当ブログ感想『この空の花 -長岡花火物語』『野のなななのか』
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