■感想 湯浅政明監督『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』
湯浅政明監督『夜は短し歩けよ乙女』DVD初見。
傑作『四畳半神話大系』に直結する快作。
なんなのでしようね、語りと絵の魅力なのか、京都の大学の雰囲気を見事に写し取った青春の香りに満ちた映画。『四畳半神話大系』でも見事だったのだけれど、このどこか甘酸っぱい現実と夢が混濁した映像空間はどこから生まれてきているのだろう。
樋口師匠とかパンツ総番長とか古本市の神様とか李白とか、、、そうした謎のキャラクタの魅力と黒髪の乙女の小股の切れ上がった女っぷり、そして先輩の気恥ずかしさ、そんなものが混ぜこぜになってのこの感覚。
森見登美彦の原作を読んだことはないのだけれど、原作の持つ京都の学生の雰囲気と、そして幻想味に満ちた湯浅監督の軽妙な絵柄と演出の成果なのでしょうね。こんな世界に紛れ込んで一生出てこれなくても良いと感じてしまう空間造形が素晴らしい。
パンツ総番長とかゲリラ演劇「偏屈王」とか『クレヨンしんちゃん』の良い影響もあるのでしょうね。
続いて湯浅政明監督『夜明け告げるルーのうた』DVD初見。
アニメーションだけが描ける素晴らしいイマジネーションの映画。自在なパースとハッピーな動き、特に前半の音楽シーン等、観ていて何故だかドキドキする映像がとてもここちいい。
後半、物語を閉じるためのロジックが、映像のイマジネーションをある意味、型にはめている様な部分があって、少し残念なのだけれど、ルーのパパの描写(何故か日常に異様な人物が馴染んでいるところ)とか、クライマックスのスペクタクルと物語の登場人物の感情のシンクロとか、とにかくエキサイティングな映像が素晴らしい。
すぐ前に観た『夜は短し恋せよ乙女』と比べると、オリジナル作品だけに、湯浅監督による映像の奇想成分の暴走がさらに気持ち良い。逆に前作が持っていた文学的な言葉による映画としての表現の奥行きは少し本作では弱い。ここが前作の原作 森見登美彦と脚本の上田誠両氏による映画の芳醇なのかもしれない。
ということで、次作は永井豪の傑作『デビルマン』と湯浅映像のコラボレーションになるわけで、どんな融合の成果が観られるのか、楽しみでならない。
1/5からもう配信スタートらしいけど、NETFLIX入ってないのでしばらくお預けです。
◆関連リンク
・Devilman Crybaby | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
湯浅政明監督『Devilman Crybaby』、Netflixで全10本既に公開されているのですね。
一気公開であの壮絶なラストまでが観られる。
そそられますが、まだ加入していないですw。
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