■情報 1963年のチェコSF映画公開! スタニスワフ・レム原作, インドゥジヒ・ポラーク監督『イカリエXB-1』 : Ikarie XB-1
Ikarie XB-1 (1963) - Investigating a Derelict Spaceship - YouTube
映画『イカリエXB-1』デジタル・リマスター版 公式サイト
"『2001年宇宙の旅』『スター・トレック』誕生前― 1963年 チェコスロヴァキアで生まれた奇蹟のSF映画! イカリエ-XB1 『2001年宇宙の旅』『スター・トレック』誕生前に共産主義下のチェコでつくられた初の本格的SF映画『イカリエ-XB1』(原題:IKARIE XB 1)が、5月19日(土)より新宿シネマカリテほかにて公開が決定しました。
22世紀後半、生命探査の旅に出た宇宙船イカリエ- XB 1は、アルファ・ケンタウリ系へと向かう途上で、漂流中の朽ちた宇宙船を発見する。それはかつて地球から旅立った宇宙船だったが、船内にあるのは謎の死を遂げた乗組員たちの死体。この難破船に積まれた核兵器の爆発により調査員たち数名を失うという悲劇の後、変わらず旅を続けるイカリエ-XB1。だが謎のダークスターによって乗組員たちはみな眠りについてしまい……。
1963年にチェコで初めてつくられた本格的SF映画『イカリエ-XB1』は、密室の中で徐々に狂気に汚染されていく乗組員たちのサスペンスフルな人間ドラマと、近未来のユートピア的世界を、独創的なスタイルで描き出した。
そのオリジナリティ溢れる世界観は、『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック、68)にもインスピレーションを与えたという逸話を持つほど。"
"インドゥジヒ・ポラーク監督『イカリエ-XB1』(原題:Ikarie XB-1)は、1963年制作のチェコスロバキアのSF映画。 スタニスワフ・レム原作のSF小説「マゼラン星雲」の映画化。欧米でも大ヒットし、後に『スタートレック』などに影響を与えた。"
レムの影響も受けたというチェコのヌーヴェルバーグにも連なるという本格SF映画!これは観たいです。
インドゥジヒ・ポラーク監督(Jindřich Polák - Wikipedia)生涯で17作の映画を撮っていて、どうやらSFは一作。後年は子供映画を撮られていた方のようです。
◆関連リンク
・スタニスワフ・レム氏追悼ブックレビュー(Anima Solaris(アニマ・ソラリス))
非常に丁寧にレムの「マゼラン星雲」について語られています。
貴重な情報ですので、引用させていただきます。リンク先にレム追悼特集として他の作品についても大変興味深い記事が掲載されていますので、ぜひご覧ください。
栄村(フルネームが記されていないですが、SF関係者で検索すると栄村光哉という方のようです)
" 『金星応答なし』の後に「マゼラン星雲」というSFを書くのですが、これも検閲に引っかかり、しばらくの間出版できませんでした。
「マゼラン星雲」は、30世紀の社会主義ユートピアを舞台にしています。この時代、人類は太陽系のすべてを植民地化しており、ケンタウルス座アルファ星系に向け、初の恒星間飛行を試みます。「ゲア」という宇宙船に227人の男女が乗り込み、8年間にわたる飛行の後、プロキシマ・ケンタウリを回る惑星のひとつで生命反応を見つけます。三重連星であるアルファ星系に属する惑星のひとつが、知的生命体によって生命が生存できる環境に変えられたのか?
物語には、アトラントスというヒューマノイドが出てきますが、これは冷戦下のアメリカと北大西洋条約機構をそれとなく描いたものだそうです。
この小説は「IKARIE XB 1(邦題:イカロスXB1号)」という題で、1963年に旧チェコスロバキアで映画化されています。63年というと日本で東宝が「妖星ゴラス」を公開した1年後ですね。もっとも話の舞台は30世紀から2163年の22世紀に変更され、物語もかなり変えられています。レムも映画化には乗り気ではなかったそうですが。日本ではNHKの衛星第2チャンネルで「イカリエ-XB1」というタイトルで放映されたことがあるそうで、御覧になった方もいるかもしれません。
ところで、検閲に引っかかった理由ですが、サイバネティクス(人工頭脳学)を描いていたからでした。MITの数学者ノーバート・ウィーナーのサイバネティクスの研究は、当時、さまざまな分野――機械や、工場、共同体さえもコントロールできると考えられ、その応用が期待されていました。そして、この時代の人に、来るべき思考機械によるパワー・アップされた社会と産業の変化への希望を与えていたそうです。しかし、共産主義下のポーランドでは、サイバネティクスが擬似科学であると解釈され、レムが『金星応答なし』を書いた51年には、誤った資本主義の科学として禁止されていたそうです。"
・The Magellanic Cloud - Wikipedia
レム「マゼラン星雲」1955年の作品。調べた限りでは邦訳は見つかりませんでした。レムが初期作品を気に入ってなく、翻訳を許していない、とかあるのでしょうか?
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