■感想 モルテン・ティルドゥム監督『パッセンジャー』:Passengers
Passengers Best Scenes full HD 2017 - YouTube
モルテン・ティルドゥム監督『パッセンジャー』WOWOW録画初見。
あまり良い評判を聞かなかったので、劇場はスルーしていたのだけれど、期待していなかったからか、かなり楽しめた。
特に前半は秀逸と思う。コールドスリープで90年かかって他恒星系への移住を目指す5000人の乗客という、SFのみでしか描くことができる特殊な状況下で起こるアクシデント。そしてその結果として生まれた異様な恋愛関係。
秘密を知られた後の主人公とヒロインの関係性というギリギリの極限状況下の恋愛設定が秀逸。さてここからどういう二人の関係が描かれるのかと、ある種とても哲学的な気分に観客を誘う前半の手腕は見事と思う。ドキドキして続きを見守ると、、、。
残念ながら後半は、ハリウッドお得意のアクションクライマックスへと展開の舵が切られてしまう。そして、SF設定としてもアクションシーンへの展開としてもかなり無理があるクライマックスが凄く残念。絵的に面白かったプールが無重力になる映像も、重力が復帰するスピードが速すぎるだろうとか、突っ込みどころはいろいろあるが、舞台設定を活かそうとした展開は上手かったので細部が残念。
ラストは割と好きな終わり方になったけれど、前半の哲学的緊張感のある恋愛を、あのままギリギリと詰めて行ってくれたら、SFのみが描ける究極恋愛ものの1本が出来上がっていたのではないかと思わず妄想してしまった。
『冷たい方程式』ならぬ、宇宙もののひとつの方程式が出来上がっていたかも(^^;)。
監督はノルウェー出身で、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』でアラン・チューリングを主人公にした恋愛ものを映画化したモルテン・ティルドゥム。今回も理系的センスで独特の恋愛ものを描いていて、なかなか楽しめました。
それにしても『パッセンジャー』(原題:Passengers)とは何とも安直でひねりもなく詰まらないタイトル。まだ『コールドスリープの恋愛』とかSFチックにしても良かったのに(これもダサいですねw)。
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