■感想 アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』Ex Machina
Ex Machina Official Teaser Trailer #1 (2015) - YouTube
アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』WOWOW録画初見。
評判の良い映画を今更ながら観たわけであるけれど、確かにとても良い映画だった。
AIを描いた作品としては、2013年にスパイク・ジョーンズ監督・脚本『Her/世界でひとつの彼女』という傑作があるのだけれど、そちらに続く佳作といって良いのではないだろうか。僕は人工知能としての独自性(機械知性は人の考える人工知能とは異質の進化を遂げて、人類に興味を持たなくなる)描写から『Her/世界でひとつの彼女』にSFとしての先進性で軍配を上げるのだけれど、『エクス・マキナ』は人間の延長としての/シミュラクラとしてのAIの奇怪さを見事に描いた映画と言えるのではないだろうか。
そしてもうひとつ秀逸だと思ったのは、エヴァ(AVA)アリシア・ヴィキャンデルの演技の素晴らしさもだが、主人公の青年 ケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)が抱えたフィリップ・K・ディック的な存在の不安感の描写。ここまでディック的不安を見事に映像化した例は他にないのではなかろうか。このシーンへ至る不気味さを描き出したことだけでも、この映画の成果は大きいと思う。
アレックス・ガーランド監督は、 『ザ・ビーチ』の原作、『28日後...』の脚本、『28週後...』の製作総指揮と、いずれもダニー・ボイル監督と組んだ秀作の制作に大きく関わっている。本作が初監督作品ということだけれど、見事なシナリオと演出、SFXで素晴らしい業績だと思う。
次の作品『アナイアレイション -全滅領域- Annihilation』は、どうやら北米等での公開がいまひとつ振るわず、日本では残念ながらネット配信(Netflix)になってしまったようだが、今度もSFということで期待したいと思う。
Annihilation (2018) - Official Trailer - Paramount Pictures - YouTube
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