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2018.05.21

■詳細レポート(1) 『クエイ兄弟 ーファントム・ミュージアムー』展 スペシャルトーク「クエイ兄弟の夢の世界」滝本誠氏、赤塚若樹氏@ 岡崎市美術博物館

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開催中の展覧会「クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム」 | 岡崎市美術博物館ホームページ

"スペシャル・トーク 「クエイ兄弟の夢の世界」
登壇者
赤塚若樹氏(首都大学東京教授) 「ふたりの好きなもの」
滝本 誠氏(映画評論家) 「クエイ兄弟の手作り魔術」
司会 岡崎市美術博物館学芸員 高見翔子氏
日  時  5月6日(日曜日) 午後2時~ 
(当日午後1時開場)
会  場  当館1階セミナールーム
定  員  70名 先着順 ※午後1時から整理券配布 聴講無料"

 スペシャルトーク、貴重な御二人の話をたいへん興味深く聞かせて頂いたので、その一端をご紹介します。iPadでメモを採ったのですが、正確に記録できていない部分も多いと思うので、あくまでも文責はメモを採った私ということで、ご容赦ください。

■赤塚若樹  「ふたりの好きなもの」
・東欧関係とクエイの関係は、80年代終わりから。
・滝本誠氏『映画の乳首、絵画の腓』は恐らくクエイについて本格的に取り上げた日本で初めての書籍。
・赤塚若樹氏はシュヴァンクマイエル、クエイほかを『夜想』のパペットアニメ特集でとりあげた。ブルーノ・シュルツについても、雑誌「REAR」で、ポーランドのアニメーション他と合わせて文章を書いた。
・公式図録の主要参考文献には、この二人の著作は掲載されていない。高見氏の慧眼か、はたまた節穴か?、というのがこの講演でわかるはず(笑)。
・90年代ビデオ、イジー・バルタ、ヤン・シュワンクマイエルと合わせてクエイも発売された。イメージフォーラムフェス、シネヴィヴァンのレイトショーとか貴重な機会だった。パンフに滝本氏が書かれていた。その後90年に『映画の乳首、絵画の腓』が発行された。
・(滝本氏) クエイに30年おぼれ続けてるのでなく、最近、浮上してまた戻ってきた。

・(ここで参考上映 「ストリート・オブ・クロコダイル」) ポーランドのカフ力と呼ばれているブルーノ・シュルツの原作。平凡社ライブラリで翻訳が出ている。シュルツは作家であり、画家。
・デビューは偶像讚美の書。シュルツは小説より前に画家だった。(ここでシュルツの絵を紹介(参考リンク : Bruno Schulz - Google 画像検索)) シュルツの絵はクエイに影響。
・シュルツの絵を東大の講演で「足フェチ」と言っていたら、講演録で「足への愛好」と直された(笑)。
「ストリート・オブ・クロコダイル」の原作「大わに通り」と同じ舞台の連作に「肉桂色の店」。
ヴォイチェフ・ハス『砂時計サナトリウム』(72年)、この映像からクエイヘ影響しているのがよく分かる。人間がパペット的。(以下の動画参照)。


The Hourglass Sanatorium (1973) ♦ A film by Wojciech Has ♦ - YouTube.

・滝本『映画の乳首、絵画の腓』に、クエイへの東欧の影響について、すでに書かれている。ヤナ一チェク、ミランクニデラ、シュヴァンクマイエルの部屋。
・同じくシュルツの「砂映計サナトリウム」も現在、作ってる。そしてスタニスワフ・レムの「マスク」、バルトーク、カフカ「変身」。ロシアのアニメ作家 ヴワディスワフ・スタレーヴィチ等々が影響している。

・東欧、鉄のカーテンの標式が今もある。チェコ、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、、、、以前はオーストリアから東へ行けなかった。世界の果てという認識があったころにクエイは東欧を訪問。
・REARに書いたポーランドのポスター。クロコダイルにも出てる。多くの東欧の作家がクエイに影響を与えている。ヤン・レニツァヴァレリアン・ボロフチク。ポーランド派の代表。
レニツァのアニメーション。ポーランドアニメーションの黄金時代。

チャーリー・バウアーズ「It's abird」レニツァ「A」 、AのあとBが来るというアニメーション。
・東欧、ファンタスティックな映像は西欧と違う。周縁、陰り、深みにひかれる。トルンカ、ノルシュテイン。そしてレニツァとボロクチク。
・ボロズウィック「再生」(1963年)。フクロウ、トランペットの再生、クエイが好きな作品として挙げてる。人形の再生、顔と頭、クエイの人形そのもの。最後、手榴弾。
・クエイ新作「砂時計サナトリウム」でも、ボロクチクにオマージュ捧げてる。
・クエイのドローイングもポーランドアートの影響受けている。

◆関連リンク
滝本誠『映画の乳首、絵画の腓 AC 2017』
The Hourglass Sanatorium (1973) ♦ A film by Wojciech Has ♦ - YouTube
 監督ヴォイチェフ・イエジー・ハス原作者ブルーノ・シュルツの「砂時計サナトリウム」。クエイに影響を与えた。まるでパペットのように見える人間の実写映画。
「砂時計サナトリウム」ヴォイチェフ・J・ハス - Credo, quia absurdum

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コメント

リンク先の『MITARI』監督の原将人さんのHP、通販ページに在庫9枚で売ってるようです。ご確認ください。

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hara-mov/first1.html

投稿: BP | 2018.05.24 21:24

MITARIのポスター譲っていただきたいです。

投稿: 通りすがりの | 2018.05.23 01:18

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