■感想 ロン・ハワード監督『白鯨との闘い In the Heart of the Sea』
In the Heart of the Sea - Final Trailer [HD] - YouTube
ロン・ハワード監督『白鯨との闘い』ブルーレイ、初見。
Dolby Atmosを試したくてヤフオクで購入。映画自体は評判がイマイチなようなので期待していなかったのだけれど、かなり面白かった。
物語は『白鯨』の作家 ハーマン・メルヴィルが鯨によって沈没させられた捕鯨船エセックス号の生き残りの元船員に、その後の漂流の顛末を聞きに行くところから始まる。これはある程度史実らしい(実際にメルヴィルが聞き込んだのは船長のポラード船長らしいけれど、この映画ではキャビン・ボーイのトーマス・ニッカーソン)。『白鯨』のモデルにこうした事件があったことも知らなかったという状態(すみません、『白鯨』も読んでない...)。
マイティー・ソーのクリス・ヘムズワースが主演。この人の演技で映画が引き締まった感じ。
そして試したかったドルビーアトモス、捕鯨シーン、帆船の帆を上げるシーン等、確かに立体的な音響に感じられたが、まだうちのオーディオが7.1chまでで頭上スピーカがないためか、縦方向の音の変化はイマイチな感じ。
それにも増して素晴らしいと思ったのが、3D映像。捕鯨シーン、帆船のシーン等々、立体視に気を配った演出、カメラアングルが最大限の効果を上げている。
同じ海の漂流ものでは『ライフ・オブ・パイ』も良かったが、今作は幻想的な描写はないけれど、この立体視を徹底して意識した海洋描写が白眉。
手前に物を置くレイアウト、海上、海中、帆船の帆、そして鯨の巨大な体表を舐めるようなカメラアングルによる視線から画面奥までの連続的な立体視映像。これによる画面の躍動感が本作の一番の見所だった。立体視マニア、垂涎の映像と思うがどうだろうか。
ステレオスコピックスーパーバイザーとしてクレジットされているのがBen Breckenridge (IMDb)。『ゴジラ:Gojira』『Maiti Sô: Dâku Wârudo』『Iron Man Three』『Alice Through the Looking Glass』等々、26作品もの作品の3Dスーパーバイザーとクレジットされている。
インドのスタジオ、プライムフォーカスにより2D-3D変換らしいが、一体あの海面、帆、船上等々の精緻な3Dをどう2D世界から引きずり出したのであろうか。凄いテクニック/丁寧な職人芸としか言いようがない素晴らしい映像に感謝したいと思います。
◆関連リンク
・捕鯨船エセックス号の生き地獄は小説『白鯨』よりキツい!? 本当にあったクジラと漂流の恐怖
・3D3D3D -ステレオ3D情報ブログ- : 「白鯨との闘い」 3D初見レビュー
・【NEWS】インドプライムフォーカス社、ダブルネガティブを吸収合併 4,500人規模、世界最大のVFXスタジオに | Inter BEE Online
・Prime Focus Limited (PFL)(プライムフォーカス公式)
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