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2019.01.23

■感想 M・ナイト・シャマラン監督『スプリット』『ミスター・ガラス』


Split Official Trailer 1 (2017) - M. Night Shyamalan Movie - YouTube

 M・ナイト・シャマラン監督『スプリット』Amazonプライム初見。なかなか素晴らしい映画でした。サスペンス部分もストーリーテリングも、そして最後に示されるヴィジョンも、絶好調のシャマランらしくていい映画になっています。

 この週末から公開されている『ミスター・ガラス』が観たくて、『アンブレイカブル』(初公開時と今回で2回目)とこの『スプリット』を連続で観たのも、『スプリット』で盛り上がった要素。

 まず主人公 ジェームズ・マカヴォイの演技がとてもいい。若干、誰が誰だか分からない部分もあったけれどw、複雑な役を見事に演じ分けている。

 そして予告篇のサムネイル画像にも出てくるケイシー役のアニャ・テイラー=ジョイのクールな演技も素晴らしい。多重人格から超現実的な事象へと浮き足立つシャマランの映画を、うまく地面に引き戻しているのは、この女優さんの演技とそのルックスの魅力によるのではないか、と思うほど。

 『ミスター・ガラス』と繋がる部分も粋な仕掛けで感動。

 ある意味、最近主流のMCU等スーパーヒーロー映画のアンチテーゼになりそうな期待感まで持たせてくれて、次作にさらにワクワク。

 本作、制作費 $9 millionに対して、世界興行収入 $278 millionという凄いヒットとなったとか。シャマラン最大のヒット作『シックスセンス』の制作費40 million、興行収入 $672 millionに比べても、興収/制作費=30倍は最大かと。


Glass - Official Trailer #2 [HD] - YouTube

 『ミスター・ガラス』@名古屋ミッドランドスクエアシネマ、期待が高かったので、観終わった後は、ちょいイマイチの感想。
 アンチスーパーヒーローであることは間違いなかったけれど、その言葉通りの事象がメタレベルでなく表現されていて、、、、エンタテインメントなので確かに致し方ないけれど、、、。

 スーパーヒーロー誕生のメカニズムを前作で自身の中心テーマと絡めて描き出したシャマランだったが、そのテーマの追求の形でのアンチスーパーヒーローものとしての昇華は不十分だったと思う。実はシャマラン独特のコメディではないか、という説も出そうだけれど、それにしてはいつも通りの重いテーマ音楽で、下手をすると悪趣味とも映ってしまう後半なのであった。一見さんには厳しい話運びだけれど、前2作を観ているシャマランファンには、前半までとてもいいだけに残念無念。



★★★★★★★★★ネタバレ注意★★★★★★★★★★★



 特にあのラストはいただけない。特に昨日どっかのゆるキャラが軽自動車をひっくり返すネット動画がテレビにも大きく報道された日本では、ワゴン車をひっくり返す映像ではスーパーヒーローが存在する証明と言われましても…、ギャグにしか見えません。撮られていた動画がネットに、というオチはシャマランへの僕らの期待値とは大きくずれています。

 途中でヒーローは最初は飛べなかったみたいなセリフもあったので、もしかして飛ぶかも、と期待したクライマックス、もっと派手にする必要があったのではないかと思います。

 そしてビーストがライフルの狙撃で倒れるところも、もう一度ビーストに戻って弾が身体から弾き出される位の展開もあってよかったのではないか。

 イライジャの能力も分かりにくい。時間を遡るような描写があったけれど、唐突感はいなめない。

 また「照明」は心的な現象の例えのはずで、それがストロボで起きてしまうとか、いかにプラグマティズムのお国の話でも不味かろうと思うのだけれど。

 とにかくこの三部作、3部の前半まで期待させてくれた手腕で、次回作も大いにファンを楽しませてほしいものです。

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