■感想 佐藤信介監督『いぬやしき』
オヤジVS.高校生!実写『いぬやしき』予告編 - YouTube
佐藤信介監督『いぬやしき』WOWOW録画初見。
これ、劇場で観ようかかなり迷ったのだけれど、行っとけばよかったと反省。ヒーロー映画としてなかなかの出来。
細部の詰めをもう少し工夫して頂ければ、ハリウッドのスーパーヒーローものと十分戦える。というかネタバレなので後述するけれど、詰めていけばシャマラン『ミスター・ガラス』は超えられるんじゃないかと思った。制作費はかの映画の王国に比べて随分安いだろうから、コスパとしては相当なレベルかもしれない。
論理で考えると少しぶっ飛んで入るけれど、『GANTZ』と同様 奥浩哉原作の持つ設定の面白さはかなりのもの。
特にネットを介した悪役 佐藤健の日本人全滅攻撃とか、新宿の空爆シーンとか、物凄くワクワクして楽しめた。『亜人』にしても『GANTZ』にしても、日本の漫画原作の持つパワーは素晴らしいと思う。
そしてCGによるSFX。これも前述の新宿シーン中心に。空中戦の描写が早すぎて何が起きてるかわかりにくいのが少し残念だけれど、なかなかの迫力。カタルシスも相当なレベルだし、まさにドラマ部分の詰めがもう少しできていたら、まさに傑作になったと思う。そこは脳内補正しながら観ると、素晴らしいSFX映画。お薦めです(^^)。
★★★★★★以下ネタパレ 注意★★★★★★★
ワクワクを減衰しているのが、主に人物描写、人間関係描写の詰めの甘さ。例えばいくつか挙げてみると、
・主人公 犬屋敷と家族の関係があまりにステレオタイプ。定年前の"老人"が家族から嫌われてる描写をここまで類型で書かなくもう少し抑えたリアリティを持たせて、特に娘救出のクライマックスを丁寧な演出で抑えて描いていたら、この映画、相当なレベルになっていると思うので残念。
・佐藤健の最初の一家惨殺、ここへ至る展開が弱い。一応、母親から女を作って逃げた父親の新しい家族との関係が描かれて、そこからのストレスが原因に描かれているけれど、もっと詰めて必然性を持って父親の家族を惨殺する描写に変えることができたら、『ミスター・ガラス』を超える傑作のレベルになっていたのでないだろうか。
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