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2019.09.16

■感想  ジョン・クラシンスキー監督『クワイエット・プレイス』


『クワイエット・プレイス』本予告

 2018年の大ヒットホラー、WOWOWで録画初見。
 噂通り、なかなか緊迫化のあるホラーになっている。「音を立てる」ことにより恐怖が到来するという設定が音と映像のエンタテインメントである映画に独特の緊張感をもたらしている。

 既にあちこちで褒められている映画なので、何をどう書こうか少し迷ったのだけれど、究極映像研的には、①音の出ないことの徹底で得られる新しい映画の可能性 と ②SFとして観た時の恐怖の存在の設定の可能性 について簡単に書いてみます。そんな映画であったなら、もっと凄みのある究極映像映画になっていただろう的観点(^^;)。エンタテインメントとしては本作のような作りがベターかもしれないですが、奇想映画としてはいろいろともっと工夫の余地があるんじゃないかな、という。

 ネタバレも含みますので、以下は鑑賞後の方のみ、ご覧ください。






 以下ネタバレ注意。

 

 

 

Quietplace
◆①音の出ないことの徹底で得られる新しい映画の可能性

 まず足音等の生活音が結構出ているために、本当に音を立てたら死ぬという状況に見えない。
 そして空を飛ぶ鳥が鳴いているのに殺されない、など不徹底が気になる。
 
 いっその事、全くの無音でないと生きていけないような世界設定にして、その凄い制約の中でどう生きているかを描いた方が面白いのではなかったか。どう食料を確保するか、寝言を出さないようにどうしているか、音楽もなく他の音も全然ない状態で静音の空間が映画館で作られたら、少しの音も出せないという物凄い緊迫感の映画ができたのではないだろうか。

 こうやって勝手に書く事はできますが、どんな物語になるか、想像もできません(^^;)。

◆②SFとして観た時の恐怖の存在の設定の可能性

 クリーチャーが過去のホラー異星人映画の焼き直しにしか見えないのがSFファンとしては残念だったところ。
 視覚のない惑星の生物をどう創造するか、ここを徹底的に描かれた映画というのも観てみたいもの。音の感覚のみを持って進化した得意な生物を構築できたはずなので、奇想な発想としてはせっかくの設定が勿体無い気がしてしまう。

 たとえば参考書としてはアンドリュー・パーカー著『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』を推します。
 視覚のない生物の惑星の成り立ち、その惑星からどうクリーチャーが地球へ渡ってきたか。そもそも真空の宇宙空間に対して視覚のない生物が宇宙進出するという技術の進化がありえるのか。
 と考えると、このクリーチャーは、カンブリア紀以前の視覚を持たなかった地球生物がどこかの地球の空間で進化を続け、それが何らかのきっかけで視覚生物への攻撃を開始し、、、、、、。

 続篇が作られるらしいがそんなこともワンダーとして取り込まれた映画になっていることを期待します。

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