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2019.10.31

■感想 アン・リー監督『ジェミニマン』 IMAX HFR (ハイフレームレート)

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 アン・リー監督『ジェミニマン』109シネマズ レーザーIMAXで 観てきた。3D HFR 120fps (片眼 60fps)。
 ウィルスミスのSFにいい思い出がなくw、ノーマークだったんだけれど、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督で 120fps HFR 3D映像とのことで、『ライフ・オブ・パイ』の3Dが素晴らしかったので、これは行かねばと馳せ参じました。

 IMAXのHFRは、109シネマズ 菖蒲、川崎、名古屋の3館のみのようです。名古屋でやってて感謝。
 予約しようとしたら、何と3000円!「通常料金+1,100円 IMAX3D料金に加え、+100円の追加料金をいただきます」って!!
 高すぎるので感謝はやめました(^^)。まあ、でも落語会とかに比べれば、まだ映画の3000円はお手頃ですけれど、、、w。

 ダグラス・トランブルが理想とした60fpsを3Dで実現した初めての長篇映画。
 何とエンドクレジットには、ダグラス・トランブルが確か「ハイフレームレートムービーコンセプト」とクレジットされていた。

 まずHFRの映像であるが、確かに生々しい臨場感がある。僕が知ってる映像では、3Dハンディカムで撮った実写3Dが一番近い。その場にいるような、現実の空間を持ち帰ってそれが眼の前にある様な生々しい臨場感が映像で再現されている感覚である。

 ただし、映画としてみると、45fpsのホビット程でないが何故か違和感がある。まるでロケ現場を、映画の舞台裏を見てるような、空々しさが画面から感じられる。

 映画は、おそらくそれを撮っているロケ現場で生の情景をそのまま観ても、映画らしさを感じないだろう。現実の空間をHFRで再現できていたとしても、それはロケ現場のそのままの空間であるだけで、映画映像空間が創生されているわけではない。

 では映画映像空間とは何か? それはもしかすると大林宣彦のいう、コマとコマの間の暗闇、そこに忍び込む人の想像が加わって、初めて実写は映画になるのかもしれない。

 今後、コマとコマの間の暗闇で人が見ている幻の代わりに、60fpsの生のリアルにCG等で現出される幻が入り込み、いずれ人の想像力を上回ることがあるのかもしれないが、そんな次世代の映画体験はまだおあずけだった。

 とはいえ、銃撃シーンで闇の中に機関銃のオレンジの光の線が走るところとか水中とか、今まで映画で見たことのない鮮烈なショットもあり、そうしたところは素晴らしかった。自分がそこに巻き込まれた様な臨場感の再生がHFR 3D立体映像の真骨頂かもしれない。

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 話題の30歳若いウィル・スミスCGは、若干明るいところの服の描写とかに違和感があるけれど、顔とかアクションとか素晴らしい出来(暗いシーン多いけど…)。もう彼の子孫は孫子の代までウィルに稼いでもらえそうな勢い(^^)。


23歳のウィル・スミスを作り出す!『ジェミニマン』メイキング映像

 あと究極映像研としては、クレイトン・“クレイ”・ヴァリスの部屋に飾られたフランシス・ベーコンの絵画「ある磔刑の基部にいる人物像のための三習作」とかプラハのクストナーホラのセドレツ納骨堂、骸骨教会と思しきシーン(違うかも、実はプラハのシーン、最近寝不足で久々寝落ちw、ちゃんと見れなかった…)とか、興味深かった。アン・リー、ただのSFアクションにはしてません。(ただSFらしさはほとんどなく、『ライフオブパイ』の方がまだSFチックだった)

◆関連リンク
ハルクとフルCGウィル・スミス制作、どっちが大変?アン・リーを直撃!

"「今後は、デジタルの世界をもっと探求したいと思っています。アクションに深みをもたせたいし、リアリティーも追求したい。新たなデジタル技術を用いることで選択肢が広がると思うので、試行錯誤しながら新作に取り組んでいきたいですね」とさらなる映像技術の追求に意欲を示した。"

 アン・リーがもしかしたら、HFRでの映画表現を生み出すのかもしれない。あとキャメロンの『アバター』続篇がどこまで行くのか、期待したい。
Trumbull Studios: The Magi Process (Youtube)
 ダグラス・トランブルがショースキャンからmagiシステムについて語っています。『ジェミニマン』はこのチャレンジの上で実現したものですね。
『ジェミニマン』公式サイト 最新情報

“映像ジャーナリスト/クリエーターの大口孝之氏が登場し、「今までは”不気味の谷現象”のように、実写の人間を描いたCGはどこかで分かってしまう瞬間があったが、この作品ではまったく感じなかったのが非常に画期的。人間の目は1秒に60枚のフレームになると現実と見分けがつかなくなるという研究結果が出ていて、この作品は全編がそこに到達していて、本当に弾丸が飛んでくる感覚を味わえる」と感嘆しながら紹介”

・3Dのステレオカメラギグは、STEREOTECのもののようです。このメイキング(Youtube)にカメラが映ってます。3Dクレジットには、Legend 3DとStereoDの名もありましたね。
・アン・リーがHFRについてダグラストランブルに教えを乞うたと発言してる記事 トランブルのMAGIシステムについて 『アバター』続編、驚異の毎秒120コマ撮影に? 特撮映画の巨匠が発明 4K×3Dの超絶映像体験
秒間48コマ 映画の「映像革命」 『ホビット 竜に奪われた王国』を撮影したハイ・フレーム・レート3D

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