■感想 ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』 原題 : 기생충(寄生虫)
ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』(原題: 기생충(→寄生虫)) @TOHOシネマズ木曽川 初見。
カンヌパルムドール作、噂に違わず、面白くそして考えさせられる映画でした。まさしく映画。
ネタバレは、書きませんが、印象的な2シーンに触れます。
まず最もこの映画を象徴している後半の町の雑踏の階段で、青年が立ち止まって足元を見るシーン。ここはその前後のシーン含め本作珠玉の映像になっている。映画的に本作を結晶化していて見事な映像。映画的サスペンスの表象として素晴らしい。
そしてもう一つは、その前、ある女性が、邸宅で夫をマッサージしながらスマホを北朝鮮のあるものに例えて、朝鮮中央放送のあの女性アナを模して、語り上げるシーン。本作の喜劇性が最も昇華したシーンで笑わせて頂きました。
そんなサスペンスと喜劇が、ある社会的テーマを縦軸に、映画空間の上下の階層を見事に用いて映像のみにできる表現で複層的に描いた傑作。
と書きつつ、期待Maxで観たので、実は展開の意外性は少なく、割と予定調和的だったんじゃないかの感想も持った。もちろん上記した様に素晴らしく面白いのだけど、クライマックスの展開はここまでシュチュエーションを作り上げてたらもっと遠くまで行けるポテンシャルがあったんじゃないかなって…(^^)。
最後にタイトルですが、原題のままで良かったのでないかと。いつものスカしたミニシアター系オシャレ感を出そうとする感じの邦題が合ってない。本作のテーマからこんなタイトルは20世紀的で、現代性は『寄生虫』とダイレクトに付けた方がこういう映画を観たい観客に直接刺さるとなぜ分からないんだろうか…。
◆関連リンク
以下、ズバリのネタバレはないですが、観た後に聴くのをお薦めします。
・“宇多丸、ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホに濃厚インタビュー【パラサイト公開記念】“
・“ 【音声配信】ポン・ジュノ監督×荻上チキ〜話題の韓国映画『パラサイト』をめぐって▼2019年12月25日放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)”
・“町山智浩『パラサイト 半地下の家族』を語る“
前半、ストーリーばらしてるけど、少し間違ってます(これ町山氏のたまむすびでの紹介では時々ある)。後半の韓国の貧困について語ってるところ、興味深い。韓国では2% 36万人が半地下で暮らしてるとか。
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