■感想 神山健治 総監督、柿本広大監督『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』
『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』特別プロモーション映像
『009 RE:CYBORG』の2Dルックとは違う、フル3DCGで描く勝算とは? 『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』神山健治総監督&柿本広大監督インタビュー
"神山:基本的には、3Dの作り方って会社ごとにスタイルの違いがあるんです。『RE:CYBORG』は、あえてセルアニメに寄せた映像でしたが、今回は完全に3Dで作るということで、それ自体がひとつ、映像面のテーマではありましたね。2Dルックというよりは、立体のほうに寄せていくと。『RE:CYBORG』は、2Dを擬似的に立体視させているところがあって、画面内に空間がなかったんです。対して、今回は舞台もすべて3DCGで建て込んでいます。空間がある世界で3Dのキャラクターを動かす、という挑戦をしているんです。"
先日紹介したディヴィッド・リンチの新作短篇を観るために、ついにNetflixの軍門に降ったのでw、今まで観たくても観られなかったオリジナル配信作品をチェックして観ています。今週はその中から2本のレビューです。
まず1本目は、最近、Netflix専属監督になってしまった様相の(失礼 ^^;)神山健治監督の2016年の作品。
『009 RE:CYBORG』に続く、009シリーズであるが、キャラクターも動画のルックも大きく変更されている。まさにリボーンな009。
映画館でも限定的に3本の作品として上映された作品であるが、Netflix版は、30分弱の12本のテレビシリーズ的な作品にまとめられている。
物語設定として面白いのは、テレビシリーズと『009 RE:CYBORG』を経た後のサイボーグたちのその後を描いているところ。回想シーンとして描かれているのは、ブラックゴーストとの闘いのモノクロの日々から始まっている。そして現れる「ブレスド」と呼ばれる最強の超人たち。特に1-2話のその描写は素晴らしい。サイボーグたちがこれからどう戦っていくのかという不安感に満ちているのがなかなかの迫力。
そしてニューヨークを後半の戦いの舞台にしているところからも想起されるのは『アベンジャーズ』である。(少し指パッチンに近いシーンもあるしw)。おそらく神山総監督以下制作スタッフのMCUチャレンジと捉えてもいいのではないだろうか。まさに00シリーズサイボーグは、マーベルヒーローの日本版の側面もあるはずで、こうした日本のヒーロー資産の活かし方が気持ちいい。特に009の設定を一歩進めて「加速装置による加速が光速に近づいて行ったらそこから見える光景はどんなものだろう」というチャレンジャブルな命題を描き出しているのには、ワクワクした。
今回の描写の中心に位置するのが、今回からの3Dルックなキャラクターアニメーション。なんと今回はセルルックでなく、どちらかといえばセルルックとハリウッド的3D CGの中間(というかセルルック寄り)に位置する映像で、独特の雰囲気のスーパーヒーロー映画を構築している。
日本ではMCUの様な大規模なフォトリアルなCG映像でヒーロー大作映画を撮るのは、予算的に厳しい。
そんな中で、セルルックアニメとCGの融合で、こうしたアクション満載の映画が、独特の質感で映像化できるというのは、なかなか基調ではないだろうか。MCUとは一味違うけれど、人の手描きの絵のイメージ、現実の中の、あるリアルを誇張して描けるこの映像に、いろいろと可能性があるのではと思わせる作品になっていた。
まだ今回のCGはフルアニメーションといえ、不自然な慣れていない動きがあちこちに観られたけれど、そんな可能性を感じさせる迫力に満ちた作品になっていた。この後の『ULTRAMAN』、そして今年の春に出てくる『攻殻機動隊 SAC_2045』にその発展形を観られるのではないかとワクワクしている。
◆関連リンク
・「CYBORG 009 CALL OF JUSTICE」が”9人のカリスマラッパー”とのコラボレーション これはなかなか面白い企画です。
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