■感想 園子温監督『愛なき森で叫べ』
『愛なき森で叫べ』予告編
園子温監督『愛なき森で叫べ』@Netflix初見。ついに園子温の新作もNetflixでしか観られなくなったことも、Netflix会員になった理由の一つw。
今作、園子温のいくつかの映画を思い出させるシーンが自作へのオマージュの様に描かれている(『自殺サークル』『冷たい熱帯魚』など)が、これは見方によっては園のネタ切れという観客もいたのではないか。
僕も前半はどちらかというとそうした見方になっていた。
いきなりの冒頭からのエロチックな会話に、女子高の女生徒の群れ、最近の園作品に顕著な何だか色ボケした様なシーンw(失礼)から始まり、これは残念な出来のやつかと諦めかけていた。
しかし終盤、戸川純の美しくも退廃的な楽曲。森の描写。
雑に見えた描写がいっきに研ぎ澄まされて、透明感のあるクライマックスになっていた。映画で戸川純のこんなに綺麗な歌声を聴いたのははじめてのことだろう。このシーンを観るだけでも一見の価値はあります。
北九州監禁殺人事件(wikipedia)
本作は「北九州監禁殺人事件」を基にしているという。現実は小説より奇なり、というか現実は映画より鬼なりという位、リンク先の実際の事件は映画よりも強烈な感じ。
映画では異様な人物たちではあるが、まだどっか普通のロジックが脳に残っていて、本当のキ印な感じが弱い。現実に存在するこうした鬼の様な事件は、およそ映画では描ききれない異様なロジックというか、ロジックの欠落した常識が近寄れない異質なヒトの姿があるのではないかと思わせる。一生そうしたヒトとは関係したくないが、こうした映画は、その領域まで行けていると本当に凄いものになるのだろうと思わせるのであった。
高校生、園子温にメールを送る。それから12年後に起きたこと
なんと知らなかったが、この記事によると満島真之介は、18歳から20歳まで、沖縄から出てきて園監督の弟子として撮影やシナリオ(のPC打ち)を手伝っていたとのこと。姉の満島ひかりが主演した『愛のむきだし』の頃から、『ちゃんと伝える』では助監督まで務めていたらしい。これは本当に吃驚。
◆関連リンク
・園子温「全てはこの映画が原因」心筋梗塞から蘇った園子温が魂を込めた映画「愛なき森で叫べ」
"一見自分たちとは無関係とも思える「彼ら」はしかし、「私たち」でもありうるのだ。
常軌を超越した事件が絶えず、いつ自分が善悪の狭間に落ちて
もおかしくない社会の本質に園子温が深く切り込み、人間の深淵を描き出す震撼のサスペンスドラマとなっている。椎名さんは「ずっと園組に入りたいと思っていたので嬉しかった。」と憧れの園組の一員になれた感想を語り、「映画=人生、人生=映画というセリフがあり、うわべではそう思ってきたりもしましたけど、これだけ実体のある映画制作現場に直面したという感じでとても楽しかったですね。」と園子温組の映画に対する情熱溢れる撮影現場の様子を語った。
最後に園子温監督は「私は心筋梗塞で倒れて緊急搬送されて蘇ってきたんですけど、全ての原因はこの映画です。(笑)」と笑いを交えてこの映画にかけた熱量を語った。"
・愛なき森で叫べ 感想&勝手に考察!園子温が帰ってきた!?衝撃作、ついに公開!もしやQTの影響も?(個人の見解です)
"例えば村田の行動で「50円を返したい」だったり、一家の女性全員に手を出したり、通電を用いた洗脳や、死体解体の手解きをしたりするところは実際の事件でもやっています。"
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