■感想 越川道夫監督『海辺の生と死』
"2017年7月に劇場公開され、4年ぶりの満島ひかり単独主演で話題となっている映画「海辺の生と死」。
戦後文学史に強烈な印象を残す傑作「死の棘」を世に放った島尾敏雄と、その妻である島尾ミホ。この夫婦の生き様と、物語の舞台となった奄美群島・加計呂麻島から美しいイマジネーションを受けた満島ひかり自身が、映画とはまた違ったアプローチで“愛のものがたり”を語りつぎたいと、EGO-WRAPPIN’に楽曲提供のオファーをし、その思いにふたりが共鳴する形で誕生した音楽作品「群青」。"
越川道夫監督『海辺の生と死』WOWOW録画、観ました。
大ファンの満島ひかり主演作だけれど、なぜか"積ん読"になっていた作品。
奄美の島の異世界感と静かに佇む満島の姿が素晴らしい映画でした。
特にまず奄美独特の言語のイントネーションが異世界。歌も含めて、こうした異質な世界を描き出したことが映画に深みをもたらしている。そして夜の村で悪霊を払おうと「帰れ、帰れ」と山道を走る老人(この右の写真の左の方、何という俳優なのでしょう)。この二つの要素で日本に異世界が出現している。
話はある意味、凄く通俗なのだけれど、この奄美描写と満島ひかりはじめとした俳優陣の佇まいがとにかく映画をある高みに持ち上げている。主人公の父を演じた、アニメ声優として著名な津嘉山 正種氏(この右の写真の右の方)の演技も抑えた様がとてもよい。
この後、島尾 敏雄とミホ夫妻の話は、『死の棘』へ進んでいくわけだけれど、原作も小栗康平の映画も観ていないので、怖いもの見たさになっている。
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