■感想 ポン・ジュノ監督『母なる証明』『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』「シェイキング東京」
◆ポン・ジュノ監督『母なる証明』 BSジャパン録画初見。
何だかスチルとかで出てくる母親の顔が怖くて、なかなか観られなかった作品。想像したのとは違ったけれど、これはジワジワ恐怖(?)が染み込んでくる話でした。凄い。
凄いのは記憶に関わる物語であるところ。
主人公の青年 トジュンとその母親の記憶の深淵を覗き込む様な映画である。コメディとも思える映画のタッチの中にこうした深淵が描き込まれるところ、まさにポン・ジュノの真骨頂である。
冒頭とエンディングのダンスが凄い。映画の映像でしか表現できない表現が、その物語の深淵を象徴的に体現している様が素晴らしいです。怖いけど、、、。
『母なる証明』のあと、ポン・ジュノ作品を3作続けて観たので、まとめて感想です。
◆『殺人の追憶』 WOWOW録画初見。
ポン・ジュノにしてはストレートなサスペンス。
現実に未解決だった事件を扱っているだけに、犯人追及と捏造捜査のリアリティがなかなか。
韓国の一つの闇を描いている。湿度の高い、息苦しい田舎の社会描写が迫真。ただ僕はストレートすぎて、ポン・ジュノ作品としては少し物足りなかったかなと。
◆『グエムル-漢江の怪物-』 BSフジ録画見。劇場で観て以来2回目。
ウィルスシーンは、SaaSの影響下だけど、これが原題のホストに効いている。実際、これだけ異形の存在が街に現れたら、そこにウィルス的な恐怖を持つことは間違い無いはずで、その点を怪獣映画として突いたところは斬新かもしれない。
映画館で観た時に、韓国映画に慣れていなかったので、あのギャグセンスに着いていけなかったけれど、今回、それほどそこが違和感なく観れた。韓国家族社会の絆を見事に描いている作品で、そこが率直に良い映画にしていますね。初見時より良い印象でした。
◆『TOKYO!』 WOWOW録画初見。3本の短編からなるオムニバス。いずれもなかなかの傑作で、これは拾いものでした。
・ポン・ジュノ「シェイキング東京」
引きこもりテーマ。誰もが引きこもりになってしまった都市 東京が現出する。まるで新型コロナウィルスの時代の様。『グエムル-漢江の怪物-』と合わせて、新型コロナ社会の予見の様にも観られる、なんていうのは後付けの感想でしかない訳ですが、、w。
設定と香川照之の家のディテイル、蒼井優の演技が素晴らしいです。いつかジュノ監督の長篇にも出て欲しいものです。
・ミシェル・ゴンドリー 「インテリア・デザイン」
東京の町がゴンドリーのキッチュで切り取られる。藤谷文子、加瀬亮と伊藤歩の奇妙な同居。加瀬亮が作る不思議な自主映画、タイトルバックがゴンドリー印でいいです。
・レオス・カラックス 「メルド」(フランス語で「糞」)
3本の中で一番良かった。さすがカラックス。
『ホーリー・モーターズ 』に出てきたメルドが東京の街でここでもゴジラのテーマ音楽のもと、大暴れ。こちらが先で、この後、『ホーリー・モーターズ 』で同じキャラクターを使ったとのこと。
この異形のキャラクターにカラックス、余程愛着があったんでしょうね。そして気持ち悪いくらいにこのキャラクター、現代の東京を突いてきます。
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