■感想 園子温監督『自殺サークル』
園子温監督『自殺サークル』予告篇
WOWOW録画見。観てなかった様な気がしていたのだけれど、2回目の鑑賞でしたw。
最近、少し迷走している感のある園作品、2002年に制作された、この作品はそうした要素も過剰にはらみながら、でもインパクトのあるシークェンスが素晴らしく、全体的には見せる作品になっている。
特に冒頭の新宿の54人と、大阪100人。そして学校の屋上シーン。
強烈なインパクトを持つ、映画的シーンだと思う。この発想から始まった映画なのだと思うけれど、ここの強度は素晴らしい。まさに世界のどこにでもある、生と紙一重の死。
永井豪「ススムちゃん 大ショック」を思い出す、母親が大根と一緒に指を切っていくシーン。
そして子供の声で語られる「あなたとあなたの関係は?」という園の詩的言語。
「あなたと、あなたの奥さんの関係 、わかります。あなたと、あなたのお子さんの関係、わかります。では、あなたと、あなたの関係は?」「いま、あなたが死んで、あなたと、あなたの奥さんの関係、残ります。いま、あなたが死んで、あなたと、あなたのお子さんの関係、残ります。いま、あなたが死んで、あなたと、あなたの関係はどうなりますか?あなたは、あなたの関係者ですか?」
このあたり、川又千秋の言語SF『幻詩狩り』を思い出す様な、詩による死が描かれている。映像的表現と言語のセッションは園独特の映画空間を作り出している。
人の皮を巻いた、機械な束。
ボーリング場のイカれた「鈴木宗男」は何を描きたかったのか。
DESERTってアイドルグループは何?
この辺りの暴走度合いは首を傾げる部分があるけれど、先に書いた印象的なシーンたちの前で、それらもある種の効果/独特の園映画の要因として機能している。
予算も少なそうで、画面構築は映画として甘いシーンも多いのだけれど、わい雑さが魅力的な一本。
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