■感想 湯浅政明監督『日本沈没2020』
湯浅政明監督『日本沈没2020』第1話オワリノハジマリ、第2話トウキョーサヨウナラ、第3話マイオリタキボウ、第4話ヒラカレタトビラ、第5話カナシキゲンソウ、Netflix に復帰して観ました。
冒頭から飛ばしますね〜。
主人公家族の視点で急ピッチに情け容赦なく進む物語は、まるで、人が放水して砂場の蟻が右往左往する様に、観客も蟻の視点で体感するのみ。
『DEVILMAN crybaby』や『きみと、波にのれたら』等にあった湯浅監督の冷徹な客観視点が、自然の前の非力な人の姿を描き出しています。
全篇を映像化されることはない、と思われる漫画版『風の谷のナウシカ』も、Netflixが湯浅政明監督で企画すれば、ある意味軽々と映像化してしまうんじゃないかという演出力です。
いえ、僕は庵野秀明監督でオーマの最期を観たいですよ、勿論。でもそんないつになったら完成するか分からないものを幻視するより、ほらそこに大きな可能性が近くにあるよ、って気が凄くしてしまっているのでした。
湯浅政明監督『日本沈没2020』第6話コノセカイノオワリ、第7話ニッポンノヨアケ、第8話ママサイテー、第9話ニッポンチンボツ、第10話ハジマリノアサ、観終わりました。
素晴らしいクライマックスとエンディングでした。
1973年に出版された原作を当時読んだファンにも、納得できる物語になっています。
原作へのリスペクトにあふれた物語構成とテーマ。小松左京が本来描きたかった、沈んでヌクヌクとした島国から世界に出て行かざるを得なかった日本人の姿を、約50年後に描かれた本作は、多国籍化が進み、そしてダイバージェンスがより顕著になっている現在2020年を舞台にして、10話の中で見事に描ききっている。
その想いは、作中のYoutuberであるKITEのラップシーン、主人公 武藤歩のエンディングの姿、そして最後を締める楽曲といった、隅々まで丁寧に描きこまれている。
縦軸のディザスターのサスペンスと、日本人と世界の多様性の横軸が見事に、サイエンスSARUのイメージを縦横無尽に表象するアニメーションによって、現代の小松左京の「日本沈没」を描き切っている。
見事な快作でした。次は古川日出男原作の『犬王』。楽しみでなりません。
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