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2021年2月

2021.02.24

■感想 イ・チャンドン監督『ペパーミントキャンディ』


イ・チャンドン監督伝説の傑作『ペパーミント・キャンディー』予告編

"1999年、春。旧友たちとのピクニックに場違いな恰好で現れたキム・ヨンホ(ソル・ギョング)。 そこは、20年前に初恋の人スニム(ムン・ソリ)と訪れた場所だった。仕事も家族もすべてを失い、絶望の淵に立たされたヨ ンホは、線路の上で向かってくる列車に向かって「帰りたい!」と叫ぶ。すると、彼の人生が巻き戻されていく。自ら崩壊させ てしまった妻ホンジャ(キム・ヨジン)との生活、互いに惹かれ合いながらも結ばれなかったスニムへの愛、兵士として遭遇し た「光州事件」...。
そして、記憶の旅は人生のもっとも美しく純粋だった20年前にたどり着く...。

1999年/韓国・日本/本編130分/韓国語5.1ch/ビスタ/原題:박하사탕
(英題:Peppermint Candy)「第3回アジア・フィルム・フェスティバル」NHK国際共同制作作品"


 『ペパーミントキャンディ』Amazonプライム視聴、初見。
 『バーニング』しか観てなかったイ・チャンドンの2000年のNHK共同制作の作品。『バーニング』とは雰囲気は違うけれど、これも傑作ですね。

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 冒頭の衝撃的な展開から、引き込まれて時間線を遡る構成の妙にまず感嘆。丁寧に張られた伏線とその回収、細かな感情の揺れ。見事な映像描写ですね。
 ラストで示される主人公の既視感。ここだけ観るとまるでSF映画の佳作を観てるようなタイムスリップ感が画面に浮遊しています。
 次は同じくAmazonプライムに入ったイ・チャンドン監督『オアシス』を観てみます。

◆関連リンク
■感想 イ・チャンドン監督/村上春樹原作『バーニング 劇場版』
■感想 イ・チャンドン監督『バーニング』NHK放映版

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2021.02.22

■感想 山田篤宏監督『AWAKE』


映画『AWAKE』予告編

 山田篤宏監督『AWAKE』刈谷日劇にて観てきました。久々の映画館は、平日だったので客は2人だけ。

 本作は第1回木下グループ新人監督賞グランプリのオリジナルシナリオの映画化作品。AI将棋の電脳戦を描いたもの。
 この手の映画でありがちな感情の起伏を極力抑えた描写がなかなかの佳作でした。

 将棋のコマ運びは端折ってあって、将棋の局面自体はあまり分からせようとした描写にはなってない。この辺りはNetflixのチェスドラマ『クィーンズ・ギャンビット』と時期を偶然同じくして共鳴している感じ。

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 欲を言えば、AI生成過程は少しでも機械学習のメカニズムに触れて欲しかった。いかにして“人工知能”が人を超えていくかが画面に表現されてたら、せっかく大学サークル「人工知能研究会」磯野マスオ役に落合モトキという面白い役者を配していたのだから、もっと傑作になったと思うので残念でならなかった。

◆関連リンク
カントク日記 #1 映画「AWAKE」これまでの制作時系列

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2021.02.15

■感想 フョードル・ボンダルチュク監督『アトラクション 制圧』『アトラクション 侵略』


映画『アトラクション 制圧』予告編

 フョードル・ボンダルチュク監督のロシアSF映画『アトラクション 制圧』『アトラクション 侵略』WOWOW録画見。

 SFXはなかなかの本格派でハリウッド大作レベルの出来でなかなか眼の保養になりましたw。少しストーリーは大味でご都合主義なのは残念だけれど、そこは脳内補完して楽しめました(^^)。

 『制圧』は冒頭の宇宙船落下から生物的強化スーツ等、素晴らしくゴージャス。そして『侵略』は主演女優 イリーナ・スタルシェンバウムの可憐な強さとラストの寂寞感にかぶさるビリー・アイリッシュ「I Love You」がピッタリで痺れました。
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 あと『制圧』冒頭で中国で17世紀に30万人が死んだ隕石落下事故について触れられるシーンがあるのだけれど、全く知らなかったのでググってみたら、どうやら「王恭廠大爆発」という事件らしい。「爆発範囲は半径750m、面積2.25㎢に及び、2万人以上の死者を出した。 天然ガス爆発説、隕石落下説、隠れた火山からマグマが噴出した説」ということで原因不明の爆発事件らしい。これも想像力をかき立てられますね。

 ロシアのSF映画らしくない、ハリウッドエンタメ系狙いで肩の力を抜いて楽しめるSFアドベンチャーでした。
 にしても$6.3, $14.8 millionでここまでの大作ができてしまうのってロシアは映画制作費安いんですね。

◆関連リンク
千古謎團!明朝「王恭廠大爆炸」秒殺2萬人

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2021.02.10

■感想 ニール・マーシャル監督『ヘルボーイ』(2019)

映画全篇を楽しみたい方は、リンク先はクライマックスシーンなので、観ないことをお薦めします。また相当にグロいので御注意下さい。

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 ニール・マーシャル監督『ヘルボーイ』(2019)WOWOW録画見。

 ギレルモ・デル・トロの前2作と比べるとストーリーが未整理で最初、なかなか映画に入り込めなかった。

 素晴らしかったのは、ロンドンに黙示録の世界が現出するリンク先動画のシーン、ここで眼が覚めました(^^;)。

 『ゴールデン・アーミー』でも、そのイメージにリスペクトされた映像が作られていた、ポーランドの地獄を幻視する幻想画家ズジスワフ・ベクシンスキー。本作でのこのクライマックスの地獄の現出も正にベクシンスキー世界を再現している。一見の価値ありです。
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◆関連リンク
当ブログ記事 ヘルボーイ関連
・       ベクシンスキー関連

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2021.02.08

■感想 「諸星大二郎展 異界への扉」@ 長野イルフ童画館

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「諸星大二郎展 異界への扉」@ 長野イルフ童画館

"会期 2021年1月24日(日)~2021年3月13日(土)
※会期中、一部展示替えを行います。
前期:1/24~2/16、後期:2/18~3/13
休館日 水曜日(祝日は開館)
開館時間 10:00~17:00(受付は16:30まで)
会場 長野県岡谷市 イルフ童画館 2階企画展示室"

 「生物都市」『暗黒神話』『マッドメン』『妖怪ハンター』、、、ワクワクしたあの作品群の原画を観られて感激でした。諸星氏のタッチの細部を堪能しました。
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 縄文文化の地、長野県諏訪湖近郊の岡谷市で開催されている諸星展、縄文の土偶と諸星氏の原画が対比して置かれたコーナーも、その展示空間を異界の趣に変貌させていて、実に印象的な体験でした。

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 そしてミュージアムカフェで特別メニューとして暗黒星雲チーズケーキを食し、魂は伝奇空間から遥か彼方の馬頭星雲まで飛翔しましたw。
 これが「暗黒星雲」でなく「暗黒神話」チーズケーキだったら、きっと今頃、家には帰ってこれなかったことでしょうw。

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 ショップには数々の諸星グッズが溢れていましたが、どうしても欲しかったオオナムチTシャツもマッドメンのサイン入り版画も家内の冷たい視線にたじろぎグッと我慢なのでした。でも眼福眼福。さすがに平日だったので、観客はほぼ貸し切り状態で何とも贅沢な空間でした。

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 展示作品リストを追加しました。展示が入れ替わる、後期も観に行きたくなってしまいます。

 長野の後の巡回予定です。

"・2021年3月20日(土)~5月23日(日)
 北九州市漫画ミュージアム(福岡県北九州市)
・2021年8月7日(土)~10月11日(月)
 三鷹市美術ギャラリー(東京都三鷹市)
・2021年10月23日(土)~12月26日(日)
 足利市立美術館(栃木県足利市)"


◆関連リンク

図録『諸星大二郎 デビュー50周年記念 異界への扉』

当ブログ記事 諸星大二郎関連

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