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2021年4月

2021.04.28

■感想 ジュリアン・シュナーベル監督『永遠の門 ゴッホの見た未来』


『永遠の門 ゴッホの見た未来』11.8公開/海外特別映像
 ジュリアン・シュナーベル監督『永遠の門 ゴッホの見た未来』WOWOW録画見。

 ゴッホ役のウィレム・デフォーがとてもいい。37歳で亡くなったゴッホを、'19年当時64歳のデフォーが演じたわけだけれど、そんな年齢差を感じさせない迫真のゴッホだったと思う。

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 この映画ほど、人々の顔のアップが多用されそして淡々と自然が描かれた映画は知らない。人の内面に映る自然の本質、というものがゴッホを通じて未来の人類に残された、という描写として、特にゴッホのクローズアップを多用した本作の映像設計は素晴らしいと思った。

 ある意味、アートの本質をえぐる様な、当時の人々の拒絶反応含めて描いたタッチは、まさにゴッホの筆になる様な映像ルックになっていた。なかなかの傑作ですね。

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2021.04.26

■感想 小松美羽ライブペインティング@身延山久遠寺


21年4月17日 小松美羽ライブペインティング@身延山久遠寺

"小松美羽はかねてより熱心に全国の寺社仏閣を訪問
身延山久遠寺にも、何度か参拝している

小松は、INORI(祈り)のアーティストとして、
仏教の霊山である身延山からも、大きなパワーを感じてきた

「日蓮大聖人ご降誕800年にあたり、
日本仏教三大霊山のひとつ・この身延山において
INORIのライブペイントを行わせていただけることに喜びを感じます
感謝をこめて描き上げます」"

 4/17(日)にYoutubeでライブ観戦しました。日蓮宗の経が詠まれる中、憑かれた様に描く小松美羽、唇の赤が血のように鮮烈です。

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 以前「小松美羽展 DIVINE SPIRIT 〜神獣の世界〜」を一宮市で観た時、数日のズレでライブペイントを見逃したのが残念でならなかったのだけれど、今回、配信とはいえ、生ライブを観られたのはとても嬉しかった。やはり録画の動画を観るのと生では、(気分だけとはいえ) 臨場感が全く違う。
 
 絵具のチューブを絞り、大胆に手と筆を使って力強く描かれる絵画の迫力。
 経典が音楽の様に鳴り響き、その場のピリピリする空気感が伝わってくる。何者かが憑いた様に描いている様は、作家が登場人物自らが動き出すというあの感覚と同種のものでないかと思う。

 自らの内なる衝動(無意識だったり、身体に修行によって染み付いた身体的なプログラミングによる自動運動みたいなものか、、、)に突き動かされて描かれた芸術は、ある時代には憑物と言われたり、狂気と呼ばれる様なものと同種だろうが、それは決して霊的なものではなく、自己の脳と身体に染み付いた経験とその場の空気を作家が感じて生み出す作品なのだと思う。

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身延山久遠寺(公式HP)
 こちらのお寺には、加山又造の「黒龍」と名付けられた11メートル四方、23,500枚の金箔に墨で描かれた作品がある様です。
 小松の絵はYoutubeの動画の中では、この久遠寺に飾られるという。合わせて、観られるものなら、一度、伺いたいものである。

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2021.04.21

■感想 リー・ワネル監督『透明人間』&『アップグレード』


映画『透明人間』予告編
 リー・ワネル監督『透明人間』Amazonプライム初見。★予告篇は観ない方が映画を楽しめると思います。

 見事なスリラー。透明人間という手垢のついた素材を正にリブートした傑作です。前半の写らない透明な存在ゆえに何がいるのかわからない怖さ、そして中番の主人公の精神的な追い詰められ方、、、、そしてクライマックス。僕たちが観たかった透明人間がここにある、という感じでワクワクします(^^)。

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 ただちょっと難点を言うと、後半予告編にもあるアクションシーンが観たことのないビジュアルになっているのは良いけれど、少々強すぎる感、、、そのあたりの違和感は若干気になりますが、それでもこれは近年のサスペンス映画の秀作の一つです。リー・ワネル、才人ですね。

 


映画『アップグレード』予告編
 リー・ワネル監督『アップグレード』Amazonプライム初見。
 これは思わぬ拾い物。素晴らしく面白い映画です。言ってみればジェームス・キャメロンのことを知らないで、『ターミネーター』を初めて観た時くらいの面白さ。

 予告編観ると、ああ、あの手の映画ねって思うんですがw、その想像を超えて楽しめます。wikipediaだと制作費はわずか300万ドル、やはり映画って知恵を絞って脚本をきっちり作り込んで、繊細にそして大胆に撮れば、傑作になるんですね。いゃー素晴らしい。

 ネタバレはまずいので、雰囲気で書くと、『サイボーグ009』『攻殻機動隊』『寄生獣』を掛け算してエンタメアクションにした様な佳作。と言ってそれら作品を監督はきっと観ていない雰囲気がするのも好感(『攻殻』は流石に観てるかなw)。

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 よく考えると、あれ、なんかおかしくね? とか思うんだけれど、それを気にさせない魅力があります、この映画。僕がやられたのはラストの趣向。久々に映画観ながら、声出しました(^^)。

 途中でハッカーの部屋の人たちが少々不自然に出てくるのだけれど、そこもなかなか見事な伏線だったり。Amazonプライム会員はフリーで観られるのでこれは超お薦めです。

 この監督の作品、評判の『透明人間』を昨晩観て(これも感想また書きますがなかなかの傑作)、今日続けて監督2作目の本作を観たのだけれど、僕は『透明人間』より好みでした。

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2021.04.19

■感想 Oliver Schwehm監督「民間初のロケットに挑んだ男:FLY ROCKET FLY」BS1 ドイツの民間ロケットベンチャーOTRAG


FLY ROCKET FLY - Trailer

「民間初のロケットに挑んだ男」(NHK公式)

"アメリカとソ連が宇宙開発にしのぎを削っていた半世紀前に民間で宇宙ロケットを飛ばそうとした起業家がいた。その奇想天外な物語を豊富なアーカイブと関係者の証言で描く。

大国が国家の威信をかけて取り組んできた宇宙開発事業。いまや民間企業が参入する時代となったが、半世紀前に民間で宇宙ロケットを飛ばそうとしたドイツの起業家がいた。しかし、起業家がアフリカの独裁者から発射実験の場所の提供を受けたことで、彼の事業は思わぬ方向へと進んでゆく。民間初のロケット事業をめぐる奇想天外な物語を描く。 原題:FLY ROCKET FLY(ドイツ 2018年)©️Lunabeach TV und Media GmbH"

 NHK世界のドキュメンタリー「民間初のロケットに挑んだ男」BS1 観ました。
 イーロン・マスクのSpaceXの最近の打ち上げは、民間ロケット会社として華々しいものがありますが、それを遡ること45年前にドイツでこのような民間ロケット会社が台頭していたと言うのは、寡聞にして知りませんでした。

 これはルッツ・カイゼル(Lutz Kayser)によって設立されたドイツの民間ロケットベンチャーOTRAG:Orbital Transport und Raketen AGの、ザイールの台地でのロケット開発の物語。

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 ドイツの若者とNASAドロップアウトのエンジニアによる、直列でなく並列に小さなロケットを束ねる低コスト発想、ザイールでの打上げ、解放戦線が迫る中でフランス外人部隊を雇って村の住人と守備隊を作ったり…。

 SF作家 山田正紀氏の長編超冒険小説(『謀殺のチェス・ゲーム』『火神を盗め』)のような、そして一本の映画を観るような素晴らしいドキュメンタリーでした(^^)。

 NHKオンデマンドでも配信されてるようです。
 それにしても、NHK世界のドキュメンタリー、毎週5-6本のこうしたドキュメンタリーが放映されていて、これを録画するだけでも、結構なドキュメンタリー映画ライブラリが出来そうで、眼が離せません。多分今までに50本近くは録画しましたが、1割も見えていないw。

◆関連リンク
OTRAG:Orbital Transport und Raketen AG  (Wiki)
OTRAG 打ち上げの記録
 ザイールの後、リビアで打ち上げていたようです。こちらもキナくさいですが、いろんな冒険があったかも。
OTRAG Youtube

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2021.04.12

■感想 企画展 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」@岡崎市美術博物館 マインドスケープミュージアム

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企画展 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」(土日祝日事前予約制)

"会期:令和3年4月3日(土曜日)から5月16日(日曜日)
「どうぶつ家族」は館内展示(有料)、「ねこ科」は屋外展示(無料)
「どうぶつ家族」の入場は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため土日祝日に限り日時指定事前予約制(ホームページ予約)を導入します。"

 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」@ 岡崎市美術博物館 マインドスケープミュージアムへ行って来ました。

 何と言っても4月の快晴の空の下、猫たちの大判(2m弱位)の写真パネル50枚ほどを観られるのが素晴らしかったです。コロナの影響かもしれないけれど、この屋外展示、実は企画を知らなかったので、かなり嬉しい気持ち良さでした(しかも屋外は無料展示)。

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 館内の有料展示は、一部外部展とダブっていましたが、もっと大きなパネルもあり、岩合ワールドを堪能できます。
 しかしやはり屋外と比べるとその気持ちよさ、開放感(動物たちも溌剌として見えます)が屋内は残念に見えてしまい、通常の写真展と変わらないのに何故か減点的に見えてしまいました。

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 最近、家で4Kテレビのドキュメンタリーや岩合ネコ歩きを見ているので、どうしても展示のパネル写真のプリントの解像度がちょっと足りないとか、動くダイナミズムはやはり動画だよね、とかいらぬことを感じてしまったのでした。もちろん、写真としての一瞬を切り抜くシャッターチャンスの冴えは充分感じるのですが、、、。

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 あと掲載した、このマインドスケープ美術館の外観。実は20数年前から何度もここには来ているのに、すぐ南の池の公園から見たことはなかったのですが、今日は天気も良いし散歩して、美術館の全景を見てみると、今更ですが、この景観がとても素晴らしい。

 特に美術館のクールなガラスと打ちっぱなしのコンクリートの建築と、春の新緑と五月晴れの空のマッチングが恐ろしく心地よいw。
 そして特撮ファンならw、この景観から何だか建物が未来建築に見えてくる、、、僕は「シン・ウルトラマン」の科特隊基地はきっとこんなじゃないかと、ジェットビートルの飛び立つ姿を観たような気になりました。この美術館の外観だけでも見ものです。

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 ここで以前、「ブラザーズ・クエイ展」とかダークなのもやっていたりして、奇想建築下のアンダーワールドだったわけで、ますます好きになってしまいました。ちょっと家からは遠いのだけれど、また気候の良い時に行ってみたいものです。

◆関連リンク
当ブログ 岡崎市美術博物館 関連記事



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2021.04.07

■感想 「特集:「エヴァ」シリーズの”作画”を総括してみる!」 by アニメーター 井上俊之


追告 B『シン・エヴァンゲリオン劇場版』絶賛公開中

After 6 Junction TBS アトロク 特集:「エヴァ」シリーズの”作画”を総括してみる!

 アトロク「『エヴァ』シリーズ作画の真髄」アニメーター井上俊之さんの話、とても面白かった。
 テレビ版 1話と19話の磯光雄作画から始まり、Qでの自身のエヴァ改2号機、8号機作画について。本当はキャラを描きたかったのに、アスカは数カット、シンジも5カット位しか描けなかった。

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 鶴巻和哉監督のフリクリ以降の日本アニメへのキャラクターの外連味とリアルのバランスという貢献とエヴァでのカメラが動きまくる/空間をたっぷり使ったメリハリのある映像への貢献(鶴巻監督は宮崎駿監督的に映画全体の作画に関与されているとか)。そして前田真宏の抽象概念を絵にするスキルの凄さ。

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 Qでの本田雄作画監督による登場人物がそこに実在する様なリアリティ、その絵がシンの現場でも多くのアニメーターの参考になっていたというエピソード。

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 最後に今後の日本アニメについて問われて、宮崎駿監督の元で新作の作画監督を務める本田雄の話に。宮崎監督に理屈通りでなく、リアルを超えた表現/カットにふさわしい表現を実現する可能性のある人材として大抜擢された。昨年自分も加わって一部試写を観たが、宮崎アニメでありつつ、本田イズムがある良い作画だった。この秋くらいに完成するのではないか。夏にまた追い込みで井上氏もジブリに戻る、とか。

◆情報の補足
 最初から関わってなかったから、エヴァを語るには余り自分は適切じゃないからと当初断られていたという、井上俊之さんの発言で一部誤解されているかな、と思う部分。

・本田雄はテレビ版後半でエヴァのルックを作った→第2話から8,19,25話で作監。
・本田雄は序に参加してない→序ではメカ作監
・前田真宏はテレビ版参加してない→設定補として8,9話に使徒デザインで参加

 僕はエヴァのキャラもだけれど、メカの作画も本田雄がかなりそのイメージの中心にいたのでは、と思ってるので、荒探しということでなく、メモっときます。

◆関連リンク

・エヴァ 25話Air/まごころ 弐号機戦闘シーン アニメーター担当パートAMV(ニコニコ動画)

"25話Air/まごころの弐号機戦闘シーンの担当アニメーターを併記したAMVです。
新世紀エヴァンゲリオン劇場版原画集上巻に 村木靖パート(P126~141) 岡村天斎パート(P144~156) 本田雄パート(P160~170、P174~177) 磯光雄パート(P202~243) 小倉陳利パート(P245~253) 鴨川浩パート(P261) 吉成曜パート(P263~280) 安藤真裕パート(P285~296、P301~305)"

 この動画を見ると、本田雄氏がエヴァメカ作画のトーンを牽引したのがよくわかります。
 2'20-3'00 本田雄パート エヴァ2号機と量産型の対決シーン。4'18までの磯光雄パートが、特にすばらしい。

#アトロク 井上俊之 再降臨!本当にすごいアニメーターとは?特集パート2 #utamaru 2018.10.16(火)(togetter)
#アトロク 2018.08.07(火) hy4_4yhライブ&配信決定!/アニメーター 界の神・井上俊之降臨(togetter)
2019/08/27(火) アフター6ジャンクション #utamaru - 宇多丸&宇垣美里/井上俊之 アニメ映画「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」とは(togetter)

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CGメイキング映像特別公開(カラー公式twitter)

"ヴンダー艦内(Cパート/シーン133/cut002)
プリヴィズ→3Dにてアニメーション検証後、キャラは作画です。"

 プレヴィズでのアングルの複数制作、そこからキャラ作画へ移行する様子がよくわかります。最終のプレヴィズが絵コンテがわりになってるんでしょうね。

『新世紀エヴァンゲリオン 原画集』が20年の時を経て電子書籍で復刻!
 本稿で引用した原画は、いずれも原画集のサンプルからです。この原画集持っていないですが、サンプルにはアニメーターのクレジットがなく、残念です。なので、上記引用も特に文章に出てくるアニメーターと引用原画の関係は不明ですので、念のため。

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2021.04.05

■感想 ベン・リューイン監督『500ページの夢の束 : Please Stand By』


映画『500ページの夢の束』予告編(ロングver)
 ベン・リューイン監督『500ページの夢の束 : Please Stand By』(2017)をAmazonプライムで初見。

 スタートレックの脚本コンテストを目指す21歳の自閉症の女性の物語。『宇宙戦争』のダコタ・ファニングが演じている主人公ウェンディがとても良い。かんしゃくを起こしてしまうことから施設に入っているのだけれど、そんな自分へのもどかしさと姉と姪と暮らしたいという想い。『スタートレック』の世界にどっぷりと浸かり、半分その世界に住んでいる様な夢想の様が、まるでティプトリーの傑作SF短篇「ビームしておくれ、ふるさとへ」を想い起こされる。

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 彼女が選んだビームの先は、ロサンゼルスのパラマウントスタジオ。そのロードムービーが瑞々しく素晴らしい。本作の監督 ベン・リューインは70歳で撮った作品、その年齢でここまで世の中に一人で出ていく感覚を初々しく描けるというのは中々に素敵です。他の作品も観てみたいものです。

◆関連リンク

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『故郷から10000光年』
 短篇「ビームしておくれ、ふるさとへ」所収。

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