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2021.09.13

■感想 城定秀夫監督『アルプススタンドのはしの方』


映画『アルプススタンドのはしの方』予告編

 城定秀夫監督『アルプススタンドのはしの方』録画見。
 アトロクで20年に大評判だった本作、楽しみに観てみました。

 こういうシチュエーションで映画として描くというところ、元の演劇に全ての発想があるのは当然ですが、斬新で面白いですね。

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 映画というのは映像を観せて何ぼですが、この映画のようにある部分観客の想像力に委ねるタイプの映画は、例えば最近ではデンマーク映画グスタフ・モーラー監督『THE GUILTY/ギルティ』とか、古くは宮坂武志監督『大怪獣東京に現わる』とか、思いつきます。いずれも映像に映るキャラクタのセリフや音響により、その画面の外側を観客に想像させることで成立している。

 本作も同様に、人物のセリフと、野球場の音から見えない映像を観客の頭の中に投影するタイプの作品。

 この手法って、SF小説はイメージ喚起が真骨頂なので、その映画化にも相当に有効な手法のはずですね。あとホラーとか。この切り口で斬新なSF映画、ホラー映画が出てくることも期待したいですね。

 本作は、淡々とした冷ややかなアルプススタンドのはしの席の情景から、クライマックスの熱い盛り上がり、想像力を喚起して、涙腺を刺激する見事な展開に、脚本と元の演劇と、そして城定秀夫監督の映画の采配に拍手です。

【高校演劇】『アルプススタンドのはしの方』

 元になった東播磨高校演劇部の舞台がYoutubeに全篇公開されているので、こちらも観てみました。
 かなり映画とシナリオはおなじですね。応援に来ている先生とか、アルプススタンドから主人公たちが離れているシーンが映画オリジナルで、その他は一つ一つのポイントになるセリフもほぼ同じ。高校演劇のレベルの高さが感じられます。素晴らしい。

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