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2021年10月

2021.10.25

■感想 富野由悠季,矢立肇原作、村瀬修功監督『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』


機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ|冒頭15分53秒(Aパート)

 『ガンダム』シリーズには、最近全く薄い僕ですが、評判の映画がAmazonプライムに入ったので、観てみた。
 何とファーストガンダムと『逆襲のシャア』に続く、富野由悠季原作小説の映画化ということで、薄い僕でも着いていく事がなんとかできました。結構、見知らぬ人物の話も出てきていたけれど、、、。

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 まず冒頭の小説とほぼ同じテロシーンのストーリー展開と、その後のハサウェイと不思議な少女 ギギ・アンダルシアの会話が、もろに富野節で痺れます。そして結構エキセントリックな展開でその二人がホテルの空爆に遭うシーン。

 このモビルスーツによる市街地爆撃シーンがとにかく素晴らしい。
 夜間シーンで画面が暗すぎるという批判もあるようだけれど、人物を丁寧に追っていった後、そこに現れる異物としてのモビルスーツ。生身の人がロボットに襲撃される緊迫感をこれだけ迫真のアクションで描いた映画、なかなかないんじゃなかろうか。重力下の空中戦と、人視点の地上戦に痺れました。
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 僕はもうここまでで、この映画、大好きになりました。富野節の不思議な会話もセットで(^^)。

 ずっと観てなかったガンダムだけど、『ジ・オリジン』のルーム戦役の凄まじい宇宙艦隊戦に度肝を抜かれて、今回のモビルスーツテロ戦闘の迫真に触れ、この日本アニメーションの進化を体感しておかないともったいないと反省したのでした。


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2021.10.18

■感想 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『DUNE/デューン 砂の惑星』


DUNE Official Soundtrack | Full Album - Hans Zimmer | WaterTower

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『DUNE/デューン 砂の惑星』1.5年ぶりのIMAX@109シネマズ名古屋で観てきました。

 圧巻の映像の完成度と、IMAXのクリアな大音量のハンス・ジマーの音楽に痺れました。特にジマーのサントラが素晴らしい!帰りの車でYoutubeのこれを大音量で流してたんですがw、もうスピーカーがびびって割れて…IMAXとは比べものになりませんでした。一応BOSEなんですが…(^^)。

 ヴィルヌーブらしいストイックで陰鬱な完璧映像でした。俳優群も良いし、カメラも素晴らしい、、、、とはいえ、何故か僕は大好きとは思えず…。ディヴィッド・リンチファンの悲しいサガでしょうかw。

 真面目で出来る超優等生よりか、ねじれて自分の趣味に突き進むアンファンテリブルに惹かれ流ということでしょうか。

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リンチ版「デューン/砂の惑星」究極試写版 混迷するリンチの構想の真の姿(映画復元師シュウさんのブログ)

" 究極試写版を作る際には、”リンチの本来の構想”に沿って再編集することが最重要なんだけれど、こうも情報が入り乱れると、何をもって裏付けとするか、戸惑うばかりだ。

 結局、現時点で復元できる事は限られている訳で、確かなのは入手可能な脚本と、それに付随する未公開シーンとなる。
 そこを基準に考えるしかないのだ。"

 ヴィルヌーヴ版を観た後、Facebookの御知り合いのシュウさんのご好意で、究極試写版を観せていただく機会を得ました。
 これは映画復元師シュウさんのブログに詳細が記されていますように、リンチの7稿におよぶ脚本をベースに、リンチの意図を最大限汲んで、映画本篇に加えて、ブルーレイ特典等の未公開シーン、予告篇だけのシーン他を編集し、アップコンバート、さらにはフレメンの青い瞳の効果を追加されて制作された、3時間5分55秒におよぶ大変な労作にして、まさに究極リンチ版。ファン活動の鏡のような素晴らしい取り組みです。

 3時間以上に及ぶ大作、堪能させて頂きました。久々に観たリンチ版、以前はダイジェスト感強かったのですが、追加されたシーンで全体のストーリーの厚みがとても充実しています。

 ヴィルヌーブ版とシナリオ段階では遜色ない物語の厚みが感じられ、さらにリンチにしかできないナビゲーターとハルコンネンの描写の鮮烈さが昏い光を放つ作品!やはりリンチは物語の拮抗をしっかり捉えた上で、これらの奇想シーンを描きたかったんでしょう。またアラキスに昇る2つの月もとても良いキーヴィジュアルになってました!

 物語後半のフレメンとの逆転劇はあまり映画的でない砂漠の平坦なシーンより、のちにアバターでキャメロンが再話くらいの類似テーマで描き直したパンドラの方が素晴らしく映画になってたと思います。フランク・ハーバートの地味な砂漠の惑星ビジュアルはリンチの食指を今一つ刺激し損ねたんでしょうね(^^;)

◆関連リンク
 究極試写版 の一部が、SHU WESTさんによりYoutubeで公開されています。こうした未公開シーンからのリンチ版の復元を試みられているものです。御参考まで。

 「デューン 砂の惑星」究極試写版(アラキスへの旅)完成の一歩手前版(映画復元師SHU WESTさんYoutubeチャンネル)

"アラキスの教母が救世主の出現を予言するシーンを丸々復活させた。
なぜかこのシーンは、リンチのシナリオの古いバージョンにはあるのだけれど、最終稿には存在しない。
撮影段階ですでに現場は混乱していたのかもしれない。"

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2021.10.12

■感想 スカイドーム神岡「ひだ宇宙科学館 カミオカラボ」

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道の駅スカイドーム神岡「ひだ宇宙科学館 カミオカラボ」(公式HP)

 映像と実物の一部展示で、スーパーカミオカンデの体験してきました(^^;)。

 映像は、10m×7mほどの円筒型大スクリーンにプロジェクター4台で映し出された、宇宙からのニュートリノがどう地球に到達し、それをカミオカンデでどう計測するかという解説の映像。宇宙空間から始まり、神岡町の地下深く、スーパーカミオカンデでどのようにニュートリノがセンシングされているかという、なかなか広大な描写の迫力映像。

 2D映像なので立体視ではないですが、一番前で見ると、足元がグラグラ動く感覚に襲われますね。おかんでを
 またこの円筒がそのままカミオカンデを模した構造で、映像コンテンツ上映のない時間帯は、上の右下の写真のように、スーパーカミオカンデの光電子倍増管の入った水槽の中に入ったような画像が映し出されて、記念写真も撮れるようになっている。

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 光電子倍増管は、別のコーナーでこの写真のように、実物を見ることもできる。
 ハイテク技術の集積って、なかなかアーティステックな空間になりますね。前記巨大円筒スクリーンの画像より、やはりこちらの実物に嘆息します。浜松フォトニックスの成果ですね。

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 そして、KAGURAの模型も置かれています。なかなか特撮チックなミニチュアに感動します。
 こうした施設も実物見学に一度は行ってみたいものです。時々見学会が開催されていますが、なかなか抽選当たりませんね。

◆関連リンク
KAGRA 大型低温重力波望遠鏡

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2021.10.04

■感想 キャリー・ジョージ・フクナガ監督『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』& サム・メンデス監督『007 スペクター』


NO TIME TO DIE | Final US Trailer
 キャリー・ジョージ・フクナガ監督『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、サム・メンデス監督『007 スペクター』初見。

 情けないことに『007 スペクター』を観たつもりになっていて、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を昨日観て、あれ、何か意味がわからないぞとなって、『007 スペクター』を今日、観てみたら全くの初見だったことに気づくという体たらく。なので順番が逆という、粗忽者の珍しいレビューということで御参考まで読んで頂けたらと思います(^^;)。

 まず『ノー・タイム・トゥ・ダイ』、アーバンとオープニングテーマがとにかく素晴らしい。息つかせず画面に観客を釘付けにする冒頭部と007のチェイス。そして最近、僕も大のお気に入りのあの歌姫の憂鬱なテーマのオープニング。バックのグラフィカルな映像も含めて、ここまでは007シリーズでも屈指の傑作かと思いました。

 そして失速するのは、、、、ネタバレなしで書くつもりなので、何も言えませんが、あるテクニカルなネタが僕には007の(特にサム・メンデスの)ここ最近のハードでリアルな描写に対して、浮いてしまって、しかもそのネタに全面的に依拠した後半の物語構築があまりにアレで、、、。正直後半はついていけませんでした。
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 加えて、あのクライマックスの後のラスト007という歴史的コンテンツだけに致し方ないのは理解するとして、それでも台無しだなぁ〜と感じたのは僕だけではないはず。もう劇場で声出して笑っちゃったのは僕だけでしょうか、、、。

 そして見直すつもりで観た(ら初見だったw)『スペクター』は、さすがサム・メンデス、冒頭のメキシコの祝祭から始まり、メンデス007らしい、真面目でリアルなダニエル・クレイグ・ボンドがそこにいて、ストーリーも地に足がついて、しっかりと楽しめました。

 2作のシナリオライターはニール・パーヴィスだけが共通ということだけれど、この方の成果か不明ですが、前作から明らかに続く形の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』冒頭の素晴らしさは前作の余韻だったのかもしれません。

 『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は賛否両論あると思うけれど、僕が適当にTwitterでつまみ読みした感じでは、賛が多い感じでした。皆さんはいかがでしたか。

 あと最後に日本での公開についての、残念な点。エンドクレジットを見ていると3D Stereo Conversion というクレジットで、3D映画版も作られているようである。しかるに日本公開はどこにも3Dという表記がない。最近、めっきり3D映画が公開されなくなっている日本の状況は寂しいかぎり。何とか地域ごとに数館でも良いので、3D上映をお願いしたいものです。

James Bond’s No Time To Die In 3D In India and China Only
 こちらのページの情報では、中国とインド以外の国では、3D版は上映されないということのようだ。せっかくの3D版、一部好事家向けとなってしまったようだけれど、音楽はもうステレオ音響からモノラルには戻すことなど誰も考えていないように、本来人間には3Dステレオ映像は、当たり前の物なので、是非とも再度、3Dは広がって欲しいものです。

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