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2021.11.22

■感想 ジョナサン・モストウ, ジャック・ベンダー他監督『ザ・ラストシップ』シーズン1,2,3(#1-28)


The Last Ship: Series Premiere | TNT
 ジョナサン・モストウ, ジャック・ベンダー他監督『ザ・ラストシップ』シーズン1,2,3(#1-28)までAmazonプライムで観ました。2014-16年の作品なので今更なんですが、これはなかなか見応えのある作品ですね。

 マイケル・ベイ製作という事で、この方の名前が前面に出ていますが、僕が観たところでは、大味のマイケル・ベイ作品とは明らかにタッチが違い、相当に脚本が練られて書かれた作品のように思います。

 とにかく一話一話の密度が高い。詳しい情報がわからないですが、脚本家陣が敵と味方側に分かれて、丁々発止のストーリー展開を両者で知恵比べしながら、キリキリとアイデアを練って創り上げている感じがします。

 前知識なしに観られることをお薦めしますので、あまりストーリーには触れない方が良いのですが、冒頭、世界がウィルスによりその人口を大きく減らしていく中、アメリカ海軍の駆逐艦が秘密の任を担って北極、、、というもちろんコロナ禍をはじめ、『復活の日』や『渚にて』を思い起こさせつつ、駆逐艦の精神戦バトルも見事に観せていくという展開に血湧き肉躍る展開。

 海上戦闘ものとしての見せ場のそこここに用意されていて、なかなかエキサイティングです。アクションもシチュエーションが理詰めで見せます。

 そして特に感心するのは、人物描写。一人一人の主要登場人物を丁寧に描き、アメリカシリーズドラマにありがちな、リレー形式脚本でキャラ設定が毎回微妙に変わるというような齟齬はほとんどない。そして特筆したいのが戦死者の扱い。その一人一人をリスペクトしながらストーリー随所でその想い出を語っていくところもグッとくる。

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 SF的設定は少し無理もあるけれど、特にシーズン2終盤にウィルス状況で人々のコミュニケーションが(まるでコロナ禍のように)分断された市民が、ある仕掛けで人と人との会話とスキンシップで生き生きと活動始めるシーンは、まるで現在を予見していたように、見事な未来図を描いている。

 監督は第一話のみ監督したジョナサン・モストウは、『ターミネーター3』、前半8話と最多担当しているジャック・ベンダーはベテランだが『チャイルド・プレイ3』とか位しか本篇映画はやられていないテレビドラマ中心の監督。

 その他、僕が観た最新の#28は、なんと『ロボコップ』の俳優ピーター・ウェラーがこの話数を筆頭に7本監督しているという。またディヴィッド・リンチの娘で映画監督のジェニファー・リンチも#31を監督しているらしい。(ザ・ラストシップのエピソード一覧参照)

 この後、全56話ということで、まだしばらく楽しめそうです。

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