■感想 磯光雄監督『地球外少年少女』Mitso Iso's "Orbital Children" "Extra-Terrestrial Boys & Girls"
『地球外少年少女』ティーザー予告編 - Netflix
『電脳コイル』からはや15年、磯光雄監督の待望の新作『地球外少年少女』が遂に公開された。Netflixで1~6話を一気見してしまいました。
貴重な新作を一気に、何とも贅沢な気分です。
こちらも『電脳コイル』に続き近未来SF、商業的宇宙開発が活発に実施されている現在から進化して、まさに近未来にこんな宇宙の光景が登場するのでは無いかという、ワクワクする展開でした。
作画も色彩も美術も素晴らしく、宇宙映像のセンスオブワンダーを堪能できました。
リンク先は企画当初のイメージの様ですが、ここにコンセプトが明確に構築されてた様子が伺えます。
素晴らしいSF映像!しかしここで僕がSFと書いているのに対して、なかなか磯監督のスタンスは微妙な様です。
「地球外少年少女」磯光雄監督「未知の先にある変化はおもしろい」宇宙を舞台にアニメを作る理由。「電脳コイル」との共通点も【インタビュー】(アニメ!アニメ!)
"磯:2014年頃です。いずれは宇宙を舞台にした作品を作らなければならないと思っており、ついにタイミングが巡ってきたのだと企画を作り始めました。『ゼロ・グラビティ』(※)を見て「『宇宙=SF』ではなくなったんだなあ」と実感したことが大きなきっかけだったと思います。同じようにアニメでも宇宙を舞台にしたアクションドラマを作ることができるのではないかと、、、"
磯光雄監督御本人は、この映画をSFとは読んでいない様です。なかなか複雑な気持ちになります。これが商業的アピールのしやすさからなのか、SFに対する想いからなのか、気になるところです。
商業的には、テクノロジー、産業方面ではSFの空想力は再注目されていますが、日本の映画業界は変な誤解があるのかもしれないですね。米のApple movie trailersページ等ではアクション寄り大作("Moonfall"とか)もジャンルはSFとしっかり謳っているのに対して、あえてSFという言葉を前面に出さないのは、日本の映像制作環境の状況が少し違う様にもみえます。
あくまでも磯監督は前述のインタビューにある「『宇宙=SF』ではなくなった」というスタンスで、現在の宇宙開発/ハリウッドの近未来の宇宙映画状況をこの様に捉えているということなのかもしれないですが、、、。
SFで育った世代としては100年に満たない(ガーンズバックのアメイジングストーリーズ創刊が1926年ということですので)SFというジャンルがネーミングとしてだけかもしれないですが、この様にトーンダウンしてしまうのは何とも残念な気持ちでなりません。SFって人類の想像力の飛躍のためにも滅ぼしてはいけない概念の様に思います(^^;)。磯監督の本作も想像力の飛躍が素晴らしいので。
後半、SFにこだわって考えたことの記述になってしまいましたが、SFかどうかというより、これだけの想像力と素晴らしい映像を見せてくれたことで本作は素晴らしい作品だと思います。Netflixは全世界公開ということなので、海外での評価もとても楽しみです。
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