■感想 ジャン=ピエール・ジュネ監督『ビッグバグ』"BIGBUG"
『アメリ』監督6年ぶりの最新作!SFコメディ映画『ビッグバグ』のティザー予告
" 時は2050年。人工知能は至るところにあふれている。あまりにも身近になり過ぎて、人間はあらゆるニーズや欲望の充足をAIに頼る生活に。それが究極にプライベートで道を外れたことであっても…。
ある静かな住宅街で、4体の家庭用ロボットが突然、主人を人質に自宅に立てこもることを決意。一緒に閉じ込められたのは、どこかかみ合わない家族、お節介な隣人、そして野心的なセックスロボット。彼らは、異常なほどおかしくなっていく雰囲気の中で、お互いに我慢せざるを得なくなる。
一方、家の外では、最新世代のアンドロイド、ヨニキスが世の中を乗っ取ろうとしている。"
Netflixのホーム画面で、カラフルな予告篇があるな、と思ったら、何と『ロスト・チルドレン』『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督のNetflixオリジナルの最新作。(ちなみにYoutubeにはこの映画の予告が上のリンクの様なおどろおどろしいサムネイルのものしか置かれていないので、本来の映画の雰囲気を示したキッチュな画像を置けませんでした)
実に『天才スピヴェット』(2013)以来なので、9年ぶりの新作長篇である。ジュネ監督、9年新作を撮れなかったのだろうか。事情はよくわからないが、ありがとうNetflixと言わざるを得ない。
物語は上に引用した通りなのだけれど、2050年のある限定的な空間を舞台にして、アンドロイドと人間によって繰り広げられるブラックコメディ映画。全篇フランス語なのだけれど、どっか映像にはアメリカのホームコメディテレビドラマの雰囲気が横溢。観客の笑い声は聴こえてこないけれど、物語の組み立てもそんなホームドラマをシニカルにダークに、そしてさらにキッチュにした様な、ジュネ監督独特の映画になっておりますので、ご安心。
冒頭のサムネイル画像を観ると、まるで『ロボコップ』のピーター・ウェラーが年取った姿でロボット役をやっている様な映像なのだけれど、実はこの役者 François Levantal というピーター・ウェラーより若い1960年生まれのフランスの俳優さん。このキャラクターは『ロボコップ』のパロディに見えてしかたなかった。
多分、舞台を限定したのは、予算的な問題もあったのだろう。だけど、場面と登場人物を絞ったことで、一つ一つのCGやキャラクターの映像と造形はなかなか高レベルでジュネ監督の名目躍如。
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