文化・芸術

2022.11.14

■感想 ゲルハルト・リヒター展 @ 豊田市美術館

ゲルハルト・リヒター展

"会期 2022年10月15日[土]-2023年1月29日[日]
休館日 月曜日[2023年1月9日は開館]
[2022年12月28日-2023年1月4日は休館]
開館時間 午前10時-午後5時30分[入場は午後5時まで]"

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 ゲルハルト・リヒター展@豊田市美術館、観てきました。ほとんどリヒターについて前知識なく、東京展の評判だけを頼りに観たのですが、噂に違わず、ずしんと来る印象的な作品群でした。豊田展は平日、実に空いていたので、結構独り占めに近い感覚でずっと作品に浸っていられたため、とても贅沢な気分でした。

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 展示はほぼ年代順、まずフォトペインティングと名付けられた、写真をキャンパスに投影して絵筆で描かれた「モーターボート」という作品が印象的。4人の若者が描かれた絵は、白と黒の陰影が美しく、近づいてみると確かに筆の描画のタッチが横方向に見えて、その何ともいえない淡い筆致が美しい。

 
 同じく「8人の女性見習看護師」、「頭蓋骨」と「不法に占拠された家」というフォトペインティングの作品は、写真を写し取ったもので淡い色調でまるで網膜に光が残像している様なタッチで、記憶の中の映像といった面持ち。

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 そして1966年に16mm白黒フィルムで撮られた「フィルム:フォルカー・プラトケ」というわざとフォーカスを甘々にしてボケた様に撮られた映像で、さきほどまでのフォトペインティングのまるで動画版という趣でスクリーンに映し出された作品。ここでもやはり「記憶の残像」といった印象が強く感じられた。

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 次に作品はアブストラクトペインティング、抽象絵画に移っていくのだけれど、冒頭の残像のイメージが強く、抽象画は自分には向いていないと心配していたのだけれど、どれもが作家の頭の中に記憶され/焼き付けられた現実の残像の様な景色に見えてきて、なんだかすんなりと作品世界に入っていける印象、

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 そこからフォトペインティング作品とアブストラクトに加えて、カラーチャート、オイル・イン・フォト(焼き付けた写真に油彩を塗ったもの)というような実験的な作品群に移行していくのだけれど、どれも人の記憶の、光の残像のような見え方で、凄く納得してその雰囲気を楽しめたのでした。

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 「8枚のガラス」という作品は、巨大な、展示ごとに配置をランダムに変化させているらしいカラーチャートの手前に置かれていて、このガラスの前を歩きながら、カラーチャートを眺めると、無数の明るい色がガラスで散乱して不思議な空間にいる気分になる。これらも記憶に堆積した光の残像のようで、一貫したこの画家のアプローチが、客観の物理的光と、視覚を通して頭の中に残像として多数積層させた光の織りなす主観の融合みたいなものにあるのかな〜というぼんやりした/そして強い印象を残していくように感じられた。


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 そしてメイン展示のアウシュビッツ強制収容所を描いた「ビルケナウ」という巨大な空間に並ぶ4枚の油彩画とその写真ヴァージョン、そして中央に置かれたグレーのミラーと、収容所でゾンダーコマンド(特別労務班)によって撮られたという4枚の写真。

 帰ってから日曜美術館で紹介された国立近代美術館の展示の様子と比べてみると、豊田市美術館の方が空間が少し広く、またその四角形のスペースが正方形のため、まさに4面に巨大なキャンパスとその写真像とグレイのミラー、収容所の写真がそれぞれ4面の中央に展示され、全体としては(東京展は四角の空間に一部柱の様に太い梁があるので)比較してより均質な空間感覚があって、もしかしたらこの人類史に刻まれる様な強い印象の作品にとって、適した展示状態かもしれない。

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 巨大なキャンパスの油彩画は、まるで収容所で積み重ねられた悲痛の記憶の堆積の様に見えて、とても一言では言い表せられない深い味わいの作品となっている。リヒターも自身体験していないだろうけれど、収容所の暗い建物の隙間から、ゾンダーコマンドに撮られた様な光景を、覗き見ている様な凄絶な雰囲気もあって、こうした印象は今までに絵画からは少なくとも体感したことのないものだった。

 絵画の役割は、作家の心象風景をその筆致を通して、観客の視界の奥に再現することの様な気がずっとしているのだけれど、このリヒターの作品群は、まさに作家が物理的世界から客観として入力された光を、自身の主観で上描きして、その内面の映像空間を切り取った様な迫力に満ちていた。そして「ビルケナウ」は、画家が幻視した収容所の過酷を、光の残像の堆積として描き出した鬼気迫る印象を、見る人の記憶に転写する様な作品だったと思う。こうした美術作品は観たことがないという点で、巷で言われている様に、リヒターという画家は美術の先端を切り拓いている人なのかもしれない、とぼんやりと体感して帰ってきました。

 今回、(一部を除き)撮影自由だったので、ざっと全体を体感した後、印象的だった作品をiPhoneで撮ってきました。一部はその作家の筆の運びを見たくて、近寄って拡大写真と合わせて撮りました。生の絵画を写真に収めて、観た時の印象を持ち帰れるというのはとても有意義な経験になりました。

 以下は最近の素描作品。タッチが金田伊功の原画を思い起こさせるシャープさで、本ブログ的にはこんな絵もとても気に入りました(^^)。
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2022.04.06

■写真 岡本太郎「太陽の塔」1/144スケール ソフトビニール製塗装済み完成モデル

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「太陽の塔」1/144スケール ソフトビニール製塗装済み完成モデル(海洋堂 公式)

"・全高500mmの特大サイズの最上位アイテム。
・左右の目はLEDライトで発光。
・黄金の顔は高級感あふれる金メッキ加工。
・ボディーの質感・稲妻を表した前面のコロナ・黒い太陽を忠実に再現。"

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 海洋堂の1/144、我が家にも50cmの太陽の塔がやってきました。3月が誕生日なので自分へのプレゼントです(^^)。

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 猫はやはり箱には興味を示しますが、塔には今一つのようです。まずは玄関の招き猫の隣に鎮座しました。
 今年古道具屋で仕入れた招き猫がでかく、意外と岡本太郎先生が威圧されてますw。

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 ディーテイル、特にコンクリートの塗りのタッチがリアルで、万博記念公園で実物を見上げた時の感動が蘇ります(^^)。

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◆関連リンク
岡本太郎「太陽の塔」1/144スケール ソフトビニール製塗装済み完成モデル(Amazon)

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2021.12.13

■紹介 ビジュアル アーティスト エアロン・アルフリー : Aeron Alfrey

Diorama from Aeron Alfrey on Vimeo
エアロン・アルフリー : Aeron Alfrey (公式HP)
 Facebookで知ったAeron Alfreyの衝撃的なイラスト(下図)。検索してみたら、上のような立体作品の動画も公開されていました。なかなか素晴らしいインパクトです。

 悪夢方向に振っていますが、タッチが似ているユーリ・ノルシュテインみたいな、セルロイドに緻密に描き込んだ切り絵アニメーションになったら悪夢観そうなレベルです。いつかそんな作品を見て観たいものです。

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◆関連リンク
ホラーアンソロジー『Madhouse』
  John Palisano ,
Miss Mandible , Cyrus Wraith Walkerらによるアンソロジーのカバーをエアロン・アルフリーが描かれています。
Madhouse ホラーアンソロジー (公式HP)
 その公式HP、アルフリーの絵が少しだけアニメーションで動いています。

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2021.11.01

■感想 田中千智展「記憶の川」@美濃市 Gallery Collage

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田中千智 展「記憶の川」GALLERY COLLAGE (公式HP)
 田中千智展「記憶の川」Gallery Collage @美濃市、観てきました。
 白い顔の子供と鮮やかな装飾と黒い背景が特徴的な鮮やかな作品。ちょっとだけ星野之宣に似たキャラクター(特に上記右画像)が良いですね。下の写真にあるような、美濃和紙とのコラボもなかなか素晴らしい。

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 このギャラリー、初めて行きましたが、蔵を改造したようで、なかなか静謐な雰囲気でとても良かったです。
 またこのギャラリーは、絵を観ながらコーヒーも飲めて気持ちの良い空間でした。

 以下、今回は撮影可ということだったので、絵画等のご紹介です。
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 またこのギャラリーの奥には旅館があって、その一室が30分500円で貸し出されていて、ゆっくりと作品を鑑賞したい方にはお薦めです。
  この部屋、宿泊もできるとのことです。詳細はこちら
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2021.04.26

■感想 小松美羽ライブペインティング@身延山久遠寺


21年4月17日 小松美羽ライブペインティング@身延山久遠寺

"小松美羽はかねてより熱心に全国の寺社仏閣を訪問
身延山久遠寺にも、何度か参拝している

小松は、INORI(祈り)のアーティストとして、
仏教の霊山である身延山からも、大きなパワーを感じてきた

「日蓮大聖人ご降誕800年にあたり、
日本仏教三大霊山のひとつ・この身延山において
INORIのライブペイントを行わせていただけることに喜びを感じます
感謝をこめて描き上げます」"

 4/17(日)にYoutubeでライブ観戦しました。日蓮宗の経が詠まれる中、憑かれた様に描く小松美羽、唇の赤が血のように鮮烈です。

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 以前「小松美羽展 DIVINE SPIRIT 〜神獣の世界〜」を一宮市で観た時、数日のズレでライブペイントを見逃したのが残念でならなかったのだけれど、今回、配信とはいえ、生ライブを観られたのはとても嬉しかった。やはり録画の動画を観るのと生では、(気分だけとはいえ) 臨場感が全く違う。
 
 絵具のチューブを絞り、大胆に手と筆を使って力強く描かれる絵画の迫力。
 経典が音楽の様に鳴り響き、その場のピリピリする空気感が伝わってくる。何者かが憑いた様に描いている様は、作家が登場人物自らが動き出すというあの感覚と同種のものでないかと思う。

 自らの内なる衝動(無意識だったり、身体に修行によって染み付いた身体的なプログラミングによる自動運動みたいなものか、、、)に突き動かされて描かれた芸術は、ある時代には憑物と言われたり、狂気と呼ばれる様なものと同種だろうが、それは決して霊的なものではなく、自己の脳と身体に染み付いた経験とその場の空気を作家が感じて生み出す作品なのだと思う。

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身延山久遠寺(公式HP)
 こちらのお寺には、加山又造の「黒龍」と名付けられた11メートル四方、23,500枚の金箔に墨で描かれた作品がある様です。
 小松の絵はYoutubeの動画の中では、この久遠寺に飾られるという。合わせて、観られるものなら、一度、伺いたいものである。

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2021.04.12

■感想 企画展 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」@岡崎市美術博物館 マインドスケープミュージアム

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企画展 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」(土日祝日事前予約制)

"会期:令和3年4月3日(土曜日)から5月16日(日曜日)
「どうぶつ家族」は館内展示(有料)、「ねこ科」は屋外展示(無料)
「どうぶつ家族」の入場は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため土日祝日に限り日時指定事前予約制(ホームページ予約)を導入します。"

 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」@ 岡崎市美術博物館 マインドスケープミュージアムへ行って来ました。

 何と言っても4月の快晴の空の下、猫たちの大判(2m弱位)の写真パネル50枚ほどを観られるのが素晴らしかったです。コロナの影響かもしれないけれど、この屋外展示、実は企画を知らなかったので、かなり嬉しい気持ち良さでした(しかも屋外は無料展示)。

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 館内の有料展示は、一部外部展とダブっていましたが、もっと大きなパネルもあり、岩合ワールドを堪能できます。
 しかしやはり屋外と比べるとその気持ちよさ、開放感(動物たちも溌剌として見えます)が屋内は残念に見えてしまい、通常の写真展と変わらないのに何故か減点的に見えてしまいました。

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 最近、家で4Kテレビのドキュメンタリーや岩合ネコ歩きを見ているので、どうしても展示のパネル写真のプリントの解像度がちょっと足りないとか、動くダイナミズムはやはり動画だよね、とかいらぬことを感じてしまったのでした。もちろん、写真としての一瞬を切り抜くシャッターチャンスの冴えは充分感じるのですが、、、。

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 あと掲載した、このマインドスケープ美術館の外観。実は20数年前から何度もここには来ているのに、すぐ南の池の公園から見たことはなかったのですが、今日は天気も良いし散歩して、美術館の全景を見てみると、今更ですが、この景観がとても素晴らしい。

 特に美術館のクールなガラスと打ちっぱなしのコンクリートの建築と、春の新緑と五月晴れの空のマッチングが恐ろしく心地よいw。
 そして特撮ファンならw、この景観から何だか建物が未来建築に見えてくる、、、僕は「シン・ウルトラマン」の科特隊基地はきっとこんなじゃないかと、ジェットビートルの飛び立つ姿を観たような気になりました。この美術館の外観だけでも見ものです。

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 ここで以前、「ブラザーズ・クエイ展」とかダークなのもやっていたりして、奇想建築下のアンダーワールドだったわけで、ますます好きになってしまいました。ちょっと家からは遠いのだけれど、また気候の良い時に行ってみたいものです。

◆関連リンク
当ブログ 岡崎市美術博物館 関連記事



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2021.03.24

■写真レポート リトルワールド 特別展「こわいモノ」


リトルワールド「こ・わ・いモノ」篇
 近所の愛知県犬山市「リトルワールド」へ久々に、"1日世界一周" 行ってきました。コロナ禍で遠出はできないけれど、近場で世界一周気分が味わえるここは、今最高かも(^^)。ということで春の気候の良い天気で、まあまあ混んでましたが、大部分が屋外なので三密の心配はありません。

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 特別展「こわいモノ」というのがやっていて、民族学的な怖いものを展示している特別展があり、その冒頭に飾られた「大威徳明王 ヴァジュラ・バイラヴァ」、ネパールから運ばれた3.3mの像が素晴らしかったです。全体の力強さと、細部の造形の見事さ。そしてなりより呪われそうな形象の迫力。

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 文化人類学的展示もリニューアルされていて、上の写真のように広大なホールに世界の彫像等が見事に展示されています。
 大阪の国際民俗学博物館に近い仮面コレクション他、迫力でした。
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 そして屋外は世界の多様な街並み、建築が一同に介している。
 ミニミニ世界旅行気分も楽しいのだけれど、それぞれの国の建物等、ここを使った映画ロケとかも良いのかもしれないなぁとのんびり散策してきました。
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2021.01.20

■感想 歌舞伎『風の谷のナウシカ』


新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』ディレイビューイング本予告

 歌舞伎『風の谷のナウシカ』前半3時間をNHK BSPで観ました。

 中村七之助のクシャナと坂東巳之助のミラルバが良かったですが、やはりナウシカが全然ナウシカに見えてこないのが残念でした…。後篇では巨神兵オーマがどう描かれるかが注目ですね。

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 歌舞伎『風の谷のナウシカ』後篇、オーマの具象化とクライマックスのシュワの墓地、なかなかの迫力でした。

 歴史的日本SFの到達点である原作漫画第7巻の映像化として、あの壮大なイメージをリアルに描写せず、歌舞伎という手段で一種抽象化したのが、なかなか良かったのではないかと思いました。
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 原作やアニメ映画に寄った造形よりも、歌舞伎古来の表現にダイナミックに置き換えたシーンの方がどちらかと言えば、雰囲気を出せていた様にも思い、いっそナウシカやオーマの造形もそちらに振ったものを観てみたい気持ちになりました。

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2020.12.16

■感想 ヒューマニエンス 40億年のたくらみ「“自由な意志” それは幻想なのか?」

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 ヒューマニエンス 40億年のたくらみ「“自由な意志” それは幻想なのか?」@ NHK BSP録画見。

 伊藤計劃他、SFの先端が最近描いているテーマをわかりやすく解説した良番組でした。何と言ってもベンジャミン・リベットの例の実験を映像とグラフで見せてもらえたのはありがたかった。

 出演者のいとうせいこう氏が語るかつて神と考えられていたものを脳科学がこうした形で無意識の意志決定という形で捉えた時に哲学はどう答えていくのかとか、文学者が自動書記することとの関係が興味深く聴けました。

 番組ではあまり触れられていないけれど、じゃあ意識って何なのということがこのテーマの中心なのではと思ってしまう。

 無意識の自動的な決定が人間を駆動しているとしたら、本来の人の本体はそちらで、自由意志と錯覚している意識は実はその従属物である。
 このテーマはそんなふうに考えた時に、正に近代をひっくり返す、大きな哲学的テーマになるのだと思います。

 そこに新しい文学だったり、エンターテインメントが生まれると考えてみるとワクワクするのです(^^)。

◆感想
当ブログ 「意識」関連記事

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2020.11.23

■情報 最新シュヴァンクマイエル・インタビュー

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Jan Švankmajer: Plenty of Reasons to Revolt(Google翻訳)
 (反乱を起こす理由はたくさんあります)

"「アートはほとんど死んでいる」とあなたは映画ルナシーズの冒頭で言います。これは、現代アーティストが単なるネクロマンサーであり、彼らの作品がゾンビであることを意味しますか? それにもかかわらず、あなたはまだいくつかの現代のアーティストを注目に値すると思いますか?

シュヴァンクマイエル
私は、映画に限定するならば、私はここ[チェコ共和国で]David JařabとKarel Vachek。David Lynch または Quay兄弟の名前を挙げるでしょう。

近年、3D映画のトレンドが高まっています。「立体」映画には、商業的だけでなく創造的な可能性もあると思いますか?

シュヴァンクマイエル
 個人的には、3Dではないかもしれないシネマトグラフィーにもっと興味がありますが、より触覚的で、嗅覚的で、味を伝えることができるようになる方法を探しています…
 私の意見では、映画だけでなくすべての芸術は、共感覚の更新を探すべきです。話題性に関しては、私たちの文明は、全体論的な見方を犠牲にして、ますます狭い専門分野に引き寄せられていると私は信じています。共感覚は、ある感覚から別の感覚に感情をこぼすことによって、私たちの創造的なプロセスに感情的な可能性全体をもたらします。"

 2020年11月3日付でネット公開されたらやん・シュヴァンクマイエルの最新インタビュー。
 上は、興味深い部分を抜粋し、Google翻訳の日本語を掲載。

 特に興味深いのは、シュヴァンクマイエルが映画の分野で、注目する現代のアーティストとして、クエイ兄弟と並んでディヴィッド・リンチの名を挙げていること。どの作品に興味を持っているのか、不明であるけれど、シュヴァンクマイエルとリンチのファンである自分としてはとても嬉しい。

 本当は、リンチの今のところの映像作品の最新作、『ツイン・ピークス リミテッドシーズン』の感想を聞きたいところだけど、特にここには具体的な作品については述べられていない。

 引用した後半の質問。3Dに関する質問で、3D好きの私としてはとても興味深い質問なのですが、残念ながら、3Dより触覚聴覚映画への興味の方が大きいようです。もちろん触覚のシュルレアリスムを標榜するヤン監督のことですから、想像できる回答ですが、今後のVR技術の進化で、触覚の記録再生ができるようになったら、ぜひ、作品を作って頂きたいものです。

◆関連リンク インタビューで挙げられているチェコのアーティストについて以下、リンクです。
David Jařab (wiki) (Google翻訳)
 1971年生まれのチェコの監督で、今までに2本の長篇があるらしい。ブルノシュルレアリストグループAIVの一員とのこと。Google動画検索
Karel Vachek (wiki) (Google翻訳)
 1971年生まれのチェコのドキュメンタリー映画の監督とのこと。Google動画検索
 お二人の作品、いつか観てみたいものです。







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